マッキンゼーからファーストリテイリング(ユニクロ)社の副社長(当時)堂前宣夫氏と萩原和巳氏のインタビューは、まさにシステムと業務改革の関連性を考えさせられるやり取りである。今のところ、業務システムに関する最も価値ある書籍の内容だと考えています。
【ITの前に、まずは①ビジネスで儲かるコンセプト②それを実現するための経営の仕組みづくり(業務改革)③結果、道具としてのIT】
①生産計画と販売計画からの在庫の微妙な調整が命
②この在庫調整点を実現するための会議体・業務への落とし込み
業務改革を一つ一つ業務プロセスや会議体の仕組みに落とし込んだ。
「会議を開くのでこういう数値資料を用意して集まってください」
実務内容について喧々諤々の議論。判断プロセスが固まったら
帳票の自動化などをシステムに落としていく。帳票の項目を観たときに
判断すべきポイントを議論を通じて明示していくと担当者自ら考えるように
なっていく。
ITやシステムはこのためのメモ帳でしかない。
システムに落とす前に新業務を試験実行する。更なる改善点の洗い出しながら、
新業務の効果やこだわり、いわば魂を込めていくとのこと。
以上ができて初めて
③②をITに乗せ、さらなる業務改善ポイントの見極め
・・・・・・ファーストリテイリング社(ユニクロ)のミッション:
「いつでもどこでも誰でも着られるファッション性のあるベーシックカジュアルを
市場最低価格で継続的に提供する。」
実現のためには、
①店舗運営標準化とマニュアル化
徹底的なローコストオペレーションの実現が不可欠。
②商品展開の絞り込み
同一商品を大量に完全買取することで他社より良い商品をよりやすく仕入れる。
100店舗まで⇒生命線となる在庫調整⇒本部集権型
ところが、
200、300店舗になるにつれて、社長の柳井氏がどんなに懸命に語りかけても
本質が伝わらなくなっていた。
200・300店舗⇒在庫調整⇒店舗自律型へ移行する必要性
悪い意味でのマニュアル化。
お客様の要望にもっと向かい合うべき⇒店舗自律型へシフト。
非常に面白い。
-----------------------------
書名:マッキンゼー ITの本質
著者名:横浜信一、萩原和巳、金平直人、大隈健史
編著・監訳:琴坂将広
訳者:鈴木立哉
出版年:2005年3月
出版社:ダイヤモンド社 2000円プラス税
-----------------------------