朝、社長さんから電話。
今、預かっている仕事の追加データをメールで送ったから、ということだった。
「元気ないわね、何かあったの?」と聞かれて、「同じ病気で励ましあっていた友達が亡くなった連絡を一昨日受けて、動揺しています」と話したら、「あらそう」と一呼吸おいて、「大丈夫? でも仕事は仕事だと割り切ってやらなくちゃね。息子さんや娘さんもいるのだから、早く元気になってね」と言われた。
仕事人だ、社長さんらしいと思った。
一昨日、昨日と、手がつけられずにいた仕事に、今日はとりかかった。
私はプロだ。この仕事で食べている。穴はあけられない。
まだよく食べられないので、お昼にスープごはんを食べた。
でも、娘の誕生日なので、ケーキも食べたよ。
夕ご飯はピザをとる約束をしていたので、少し食べようと思う。
娘は今日で19歳になった。誕生日なのに母親がこんなにめそめそしていて申し訳ないと思う。
何をしていても、涙が出る。
暮れに注文した、ミスチルのライヴのグッズが、今日の発送になっていた。多分、明日届くだろう。
R子さんも買うって言ってたけど、買ったのかなあ。届いてももういないんだね。
借りてたミスチルのDVD、まだ観てないんだけど、もう観られないと思う。
一緒にライヴに行ったことがついこの間のような気がするのに、一緒に笑ったR子さんはもういない。
ミスチルは私の中で、封印される。きっともう、聴くことはできない。
私は本当に、友達を大事にしていないなあと思う。
いつももらってばかりの私が、R子さんに初めて贈った誕生日のプレゼントが、最後のプレゼントになってしまった。
R子さんはそのプレゼントを受け取ったその日に、薬を飲んで運ばれたそうだ。私の贈り物を見て、彼女は何を思っただろう。
私はそのプレゼントを、会って渡そうと思っていた。仕事と体調が折り合わずに宅急便で送ることにしたのだけど、そんなに孤独だった彼女にどうして会って手を握って「お誕生日おめでとう、生きていてくれてありがとう」と言わなかったのだろう。
「タラさんはいつもやさしいね。ずっと仲良しでいてね」と最後のメールになってしまった1月12日のメールにあった。
「タラはやさしいね」と、夫も亡くなる数日前に私に言った。
やさしいって何だ。みすみす近しい人を死なせるやさしさって、何だ。