すずめ休憩室

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「天上の虹」20巻

2007年03月01日 | 漫画・本
「天上の虹」 里中満智子著 講談社

紀元645年、皇極天皇の息子・中大兄皇子と蘇我氏の遠智娘の間に2番目の皇女が生まれた。その名を鸕野讃良皇女(うののさららのひめみこ)。彼女は幼い頃から父・中大兄の冷徹さとそれ故に非業の死を遂げた母と祖父を目のあたりにし、絶対に父よりも偉くなってみせると心に誓うのだった。時を経て夫である天武天皇が亡くなった時、讃良は自らが女帝となるのだが・・・。

やっとでましたね~
前巻19巻が出てから4年ですよ、長かった(笑)
掲載誌が廃刊になってから全てをコミックス用に書き下ろしているのですが、執筆中に遺跡が発見されたり、新たな事実が判るなとがあり、なかなか完結までにはいたりませんね

この20巻では讃良の孫に当たる文武天皇が即位し、讃良が太上天皇となっていた頃が舞台です。
作中でも讃良の体調が芳しくない様子も書かれていますが、実際文武天皇の即位後、5年ほどで持統天皇こと讃良がこの世をさるのですから、もう物語もラストスパートってトコですね。

すでに晩年という言葉が相応しくなってきましたこの20巻ですが、段々と讃良の孫の世代が中心となってきました。今回、やはり注目だったのは氷高皇女でしょうか。

史実では後に母の元明天皇(阿閉皇女)から皇位を継いで、独身のまま35歳で元正天皇となります。妹である吉備皇女は先に嫁いでいるのに、「美しい」と評判の氷高皇女が35まで独身で居ることは当時としてはかなり異例なことではなかったのでしょうか。
幼い頃から皇位継承者として定められていれば、独身を通すということは考えられますが、まだ当時はそうではなかったと思いますし、初婚年齢の早い当時に一度も結婚しなかったというのは何らかの意志や意図があったはず

それをこの20巻で里中流に著しています

本当に氷高皇女と新田部皇子の間にこういう話があったかどうかは判りませんが、これもある種の愛の形なんでしょうね。「守る」形もそれぞれなんだな・・・。

それにしてもこの巻で新田部皇子を見直しましたよ~私(笑)
最初出てきたときはなんか計算高い人だなぁと思っていたけど、こんなに思慮深い人だなんて。
この新田部皇子の憂いが図らずも後々の「長屋王の変」などとして当たるのでしょうね。
新田部皇子の子供達である塩焼王・道祖王も色々な思惑を含んでいるであろう事件に巻き込まれ、非業の死を遂げていますし。

主人公・讃良の没年まであと数年

里中さんがこの歴史大河をどう完結させるか見ものです