すずめ休憩室

日々のこと、好きなこと、飼っていたペットのことなどなど・・・。
気の向くままにつづってみました。

イキガミ

2007年10月11日 | 漫画・本
   
「イキガミ」 間瀬元朗 小学館 1~4巻(以下続刊)

「生きることの大切さ」を認識させるため、全ての国民に小学校入学時「国繁予防接種」が義務付けられた。だが、その予防接種の注射器の中には命を奪うナノカプセルが混入され、それにより1000人中1人の若者が、18歳から24歳までの、あらかじめ設定された日時に命を奪われることとなっていた。
しかもその運命を知らせる死亡予告通知書(イキガミ)が彼らの元に届くのは、死のわずか24時間前・・・今まで健康で何事も無く生きてた若者にある日突然届く1枚の非情なる宣告書
「明日の今頃は君は死ぬんだ」と告知された人々は残る24時間をいったいどう生きるのか?!


アヤネさんが教えてくれ、興味があったのでさっそく購入したところ、偶然にもその翌日にまちるださんも読んだと知ってなんか不思議な感覚。人を惹きつける漫画というのは何かあるんですね。

さて、国家繁栄の為に公的殺人が行われていくというストーリーのこの漫画。読んで、ふと思い出したのが星新一さんの「生活維持省」(「ボッコちゃん」所収)という、ショートショート。
あれもまた平和で秩序ある国民生活を維持するため、コンピューターが公平に選んだ人間を生活維持省という国家公務員が間引いていく(殺していく)話なんですが、あれは選ばれた人間が苦痛を感じないように知らされる間もなく、殺人が行われるのに対し、こちらは死までのタイムリミットが教えられ、その当人達が死と言う恐怖と向き合い迎える24時間と、薄々この体制は間違っていると認識しながらも、自らの命を守るためにはその思いを表に出してはならないと葛藤し続ける「逝き紙」配達人である主人公の心の揺れが一層のドラマを生み出しています。

自分の命があと24時間だと宣告されたら、人はどう生きるか・・・
そして人は何の為に「生きる」のか・・・

そんなことを問いかけしている様に思えてなりません。
まちるださんと同じく、私も誰しも「自分が生きた証」を残したいと思うのではないかとチラリと思ったり。
それがとんでもなく立派なことじゃなくても、そして形に残らないものでも誰かの記憶の片隅に残っていたい、そんな風にも思うけど、日々をぼーっと生きている自分にはそれはそれで難しいのかなとも思ったり
まぁ私ならヘタレなので、オロオロしている間にタイムリミットを迎えそうな気がしますが(苦笑)

ちなみに星さんの「生活維持省」でのラストはその公的殺人を行っていた役人本人がコンピューターに選ばれ、その国を揚げてのシステムになんら疑問すら思わず「争いの無い時代に、こんなにも生きられて良かったな」という言葉を残し終わっています。
読んでいる側はその言葉に疑問すら持たない憐憫さと洗脳される事の恐怖を感じる終り方となっていますが、はたしてこの「イキガミ」はどのようなラストを迎えるんでしょう??

いつの時代も「国民全てが公平に責務を負う」となってても、必ず例外はいるんですよね(例えば国の中枢にいる方とか、要人とか)また暗部に気づく登場人物も出てくることでしょう。そしていつの世にも必ず「間違い」に気づく人もいるはず。
4巻ではようやくこの「国繁法」に異議を唱える人が出てきましたが、そういう部分が今後どのような形となって出てくるのか、そして「逝き紙」を配達し続ける主人公の心の葛藤がどのような形になって表に現れるか、これからの構成によって「ありがち」になるか「傑作」になるか分かれ目のような気もします。今後の続刊に注目です

そして最新刊の帯を見たところ2008年秋に映画化がされるとの事。
どういう話を持ってくるのか、そして現行ではまだ連載中のこの話をどうまとめるのかも楽しみですね


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19 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
イキガミ (ひぃ)
2007-10-11 19:31:30
・・・何か怖いですぅ。
1000人に1人になっちゃうと24時間前に死の宣告ぅ!?どうしようもなくもがきそうです。
もがいても時間が刻々と過ぎていってしまう。
秒針が耳に聞こえてきそうですよ!!!
この内容でハッピーエンドって考えられないんですけど・・・どうなるんじゃい!
映画化、どんな配役になるのかマンガを読んでないのに気になります(笑)
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ちょっと違うかもだけど (なごいく)
2007-10-11 20:36:08
藤子不二雄先生の短編にもその手の話があります。「間引き」というタイトル。もしかしたら、ぶちょーのトコにある短編集に収録されてるかもね。
その作品は姥捨て山状態かな。一定の年齢以上の人にはカロリーを提供しない(食べ物を与えないって感じ)という法案が可決されたとかそんな内容でしたね。
で、カロリーの配給が足りないのでだんなさんを奥さんが殺して、自分の取り分を増やそうとするオチでした。ブラックです~(涙)。

暗い話はダメダメな私ですが、実は…こういうテーマには少し関心があるの。この作品は買ったのかな?もしぶちょーの蔵書なら、今度お借りする時に是非入れてくだされ~。先客あるかな?
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えっ?? (たれぞ~)
2007-10-11 21:44:29
ひぃさん
怖い話でしょ?
1000分の1って少ない確率のようで、実はかなりの高確率。
日本の人口が1億だとしたら10万人。。。交通事故死する人の10倍ですから

ほんとこんなになったら24時間なんてあっという間なんでしょうね~
私なんてヘタレだから、うろたえたまま何も出来ないような気がするし(苦笑)

最近はドラマも映画も漫画が原作というのが多いですね~
私は漫画好きなんで、勝手なイメージが出来すぎて実写化はあまり・・・というイメージなんですが、内容が内容だけにちょっと気になります


なごいくさん
藤子先生の短編集にもあるんですか~!未読ですわ。

ってちょっと気になったのですが、私自身は藤子不二雄先生の漫画って1冊も持っていないのですが、なごいくさんの「ぶちょーのトコにある短編集に収録されてるかもね。」とコメでちょっと気になったのですが、私なごいくさんから藤子先生の短編集お借りしていました?
「T・Eぼん」はお借りしたけど、短編集はお借りした記憶がないのだけど、気になって・・・・。

お借りしたのは全てお返ししていたと思っていたのですが、もし無いのがあるのでしたら言ってください~!!

ちなみに「イキガミ」は私の蔵書です
次回の箱にいれますね~
でも痛いの悲しいのが苦手ななごいくさんの趣味とは思えないのだけど・・・う~ん(苦笑)
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ついに! (まちるだ)
2007-10-11 21:50:22
読まれたんですねー。いつレビューがアップされるかと楽しみにしていました。マンガのことで私の名前が出るなんて、もうこれから先ないかもしれないから、記念日にします!!笑。
そしてそして、たれぞ~さんのレビュー、じっくり読ませていただきました。さすが読みこなしている人は違うなーという感動すら!!
ちなみに私にとっての「生きた証」はまだわかりません。笑。
でもなんとなく、少ない財産を福祉施設に寄付するとか、
献体なんかは考えると思います。私というものを、今生きてる
人で何か援助が必要な人のために(子供とか)使ってもらうのがいいかなー。

そして映画かすることも初めて知りました。
マンガは映画やドラマのもとになる傑作が多いですね。
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読んでみたい、、。 (母宮)
2007-10-11 22:36:00
前にこの作品のことをお聞きして、、。
色々考えさせられますよね~。
「24時間で何ができるだろう?」
とりあえず、お借りしている漫画をお返しして、
大量にある漫画を売り飛ばす!?
まず、隠してあるBLを処分せねば、、。(笑)

『自分が生きていた証』はつねづね残せるものなら、、と思っていました。
でも、何も見つからないの、、。

星さんの作品は
「生活維持省」(「ボッコちゃん」所収)だったのね~。
読んだはずなのに、、。忘れてた。。あらすじを読んで思い出しました。。

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私も (アヤネ)
2007-10-11 23:22:32
「イキガミ」のアップいつされるのかなあと
まちるださんと同様待っていました。
まちるださんも私と同時期に読まれていたんですね。
いくら話題作とはいえ、やはりすごい偶然ですよね。

たれぞ~さんもまちるださんも、この本を読んで、
とても上手に、うまく感想を書かれていて、
いちいちうなずきながら、読みました。

そか~「自分の生きた証」ですか~
それはあまり考えなかったですね。
身辺整理はいまさらはしないだろうし。。。

自分ではそのときになってみないと
わからないです。

24時間はあまりにも、短すぎる時間です。

ラストはどういうふうに終わらすのか、
興味深いです。映画も、興味あります。

つい数週間前に、漫画の貸し借りをしたり、
バイク仲間だった友人が、がんで亡くなり、
つらいのと、なんで?という気持ちと、
ほ~っと虚脱感?でした。
お葬式で会った別の友人は、「最後に会った時、
けんかした、もう一度会って、仲直りしてたら
よかった」と後悔してました。

ご家族によると、彼女は最後まで前向きで、
明日のことばかり言ってたそうです。
治療はかなりつらかっただろうに、
一言もぐちを言わなかったそうです。

ゴスペル仲間で、長男(当時6歳)を交通事故で
亡くされた友人は、いつも死は現実だと言って
いました。だから、なるべく、長女と次男は
送りだすときには、抱っこしたり、手を握ったり
してるそうです。

本当にこんな本や漫画を読むと、
いろんな事を考えたり思い出したりします。
話題がそれて、すんませんです。





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ありり?ごみんなさい~ (なごいく)
2007-10-12 06:16:42
近所の友達に貸したのかも~(笑)。
「愛蔵版・藤子不二雄短編集1 カンビュセスの籤」というすっごい分厚い本なので、見覚えがなければ絶対埋まってはない筈(目立つから!)なので、近所の友達かも~ごめんなさいね。確認してみます。

お騒がせしました~。
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私も読みましたぁ(^o^) (トーコ)
2007-10-12 22:29:20
私もイキガミ4巻まで読みました~^^
どの話も読み応えがありますよね。
私も「ボッコちゃん」読んだのに、その話忘れてました~(><)
映画化かぁ・・・。
シマばあちゃんの話も感動的ですが、映画だったら
角膜移植あたりが作りやすそうかしら?
アテロミンも面白いけどラストが悲しすぎるしなぁ。
国繁がどうなって終わるのか、楽しみですね。
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読んだこと無いけど (haroharo)
2007-10-13 21:30:54
人にはもともと寿命があって 明日だって一応わからないのですが、この話だと 国家が殺人 するっていうとこが主題なんでしょうね?

昔だったら 国が養えなくなるぐらい人が増えると 戦争して 間引きしたわけだし。

今の世の中では 第二次大戦後 その間引きすることが難しくなってきていますから 戦争以外の方法で間引きするしかないわけで、それが エイズだったりするのかもしれまません。治療薬が手に入る国 また 感染を防げる国が 残れますから。


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若い頃・・・ (ぶ~ば~)
2007-10-15 07:12:34
星新一さんのショートショートの大ファンで
読みまくってたのよーー^^

SFが(ごめん古いよね;;;)とにかく大好きで^^
最近・・とーーんと読書しなくなったわ~~~@@

そう言えば読書の秋だったねーーー!!
またいろんな本を読みたくなったわ~~~~^^
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