京都府の乙訓2市1町のごみ処理を担う乙訓環境衛生組合は、勝竜寺埋立地(長岡京市)の容積拡大に向けた調査を始めた。すでに8割近くが埋まって いることに加え、2027年度末には焼却灰を搬出している大阪湾の処分場が使えなくなることへの措置だ。ただ、容積拡大には時間がかかり、代替地もない。 期限に間に合うのか、大きな課題が差し迫る。
組合に搬入されたごみ総量は13年度約4万700トン。このうち可燃ごみについては、焼却灰約6150トンを近畿2府4県の自治体が出資する大阪湾広域臨海環境整備センター(大阪湾フェニックスセンター)の処分場に搬出している。
勝竜寺埋立地は1981年の供用開始以来、31万8千立方メートルのうちすでに75%が埋まっている。
このまま推移すれば、「フェニックス」処分場は27年度末に満杯となる。以後は勝竜寺埋立地で焼却灰の処分を行うことになり、31年度末には搬出可能な最終処分場がなくなる計算だ。
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そこで、組合は勝竜寺埋立地の容積拡大を検討し始めた。ただ、敷地面積を広げるには土地がなく、粘土層で汚水が河川に染み出す恐れがあるため掘り下げるこ とも難しい。組合は擁壁のかさ上げを視野に入れているが、一部擁壁の外側に新幹線が走っていることもあり、どこまで効果があるかは不透明だ。
時間との戦いもある。組合議会のある議員は「もっと早くに手をつけておくべきだった」と憤る。一般的に廃棄物処理施設の整備・拡大には、地元関係者の同意取り付けや環境アセスメントなど多くの手続きが必要になり、「10年以上かかるケースもある」(府循環型社会推進課)
乙訓環境衛生組合総務課の山本昌一課長は「どのくらい時間がかかるかも含めて調べる。早く手続きを進めないといけない」と焦りを見せる。
「フェニックス」は、府内では北部地域を除く自治体をはじめ近畿一円からのごみを受け入れている。乙訓地域を含めた広域的な連携が必要だが、活発な動きは ない。「こういう時こそ関西広域連合の出番なのに…」と組合関係者に嘆く声もある。「大阪湾のフェニックス頼み」の限界が差し迫る。
新た な処分場を確保する前提条件として、国はごみの減量化を提示している。2市1町では一般廃棄物の排出量について21年度までの目標数値をそれぞれ定めてお り、向日市は1万6205トン(13年度実績1万4587トン)、長岡京市は2万316トン(同2万2076トン)、大山崎町は3757トン(同4029 トン)。向日市はすでに目標を達成しているが、長岡京市は人口増もあり、「目標達成はかなり厳しい」(市環境業務課)という。
2市1町のごみ処理にかかる経費は、収集分を除いても年間7億円を超える。ごみを減らし、適正に分別を行うことが住民一人一人に求められている。
【 2014年07月01日 10時59分 】
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