旅の思い出を書いて居ますが、
私が一人旅を始めた頃、旅をしているアジア人はそのほとんどが日本人でした。
一般の中国人もタイ人も韓国人もまだ旅に出る前のことです。
旅先で日本人と告げるとインドでは必ずと行っていいほど
「おお、ヒロシマ、ナガサキ」と言われました。
当時は何も考えず、日本のイメージは原爆を落とされた国として見られているのだと思い
対して深くかんがえませんでした。
でも後になって、インドも英国の胃は以下の元あの戦争に加担していたのだ知り、
原爆を落とされて敗戦した国として見ていたのでしょう。
戦争を知らない子供だった私は戦争の勝敗などあまりかんがえたことがありません。
敗戦国、なんてイメージは自分の中にまるっきり無いのだから
思い至るわけがなかったのです。
若い人は
「ホンダ、カワサキ」と言いましたね。
これはバイクのメーカーです。
カワサキは自分が知らなかったので、
カワサキって何?というと有名なオートバイだよと
返ってこちらが教えてもらいました。
それからしばらくすると
メイドインジャパン、ソニー、パナソニック、ヒタチ、と
メイドインジャパンの名が世界に広がっていく時代だったのです。
電気屋には
「SUNY」とか「PONASONIC」とか「HGITACHI」とか書いたラジオなどが並んでいました。
日本名をもじったアルファベットが書いてあるけど
よく見るとみんな形が同じでメーカー名だけ違うのです。
どんなんや、と呆れてしまいますが。
そういうのを見つけると笑えました。
日本が高度成長する時代には
貧乏旅行者でさえ
日本の名の下に結構ちやほやされたものです。
今思えばいい時代でしたね。
あの頃、確かに日本人はいいものつくりをしていました。
世界に恥じない日本製を世に出そうと、誰もが意気に感じて
昼も夜も働いていた時代です。
でも今は違いますよね。
今、人々はあの頃と同じものを作っていたら商売が上がったりだと
気がついてしまったのです。
いいものを作ればずっと使い続けてしまうので次が売れません。
それでテクノロジーを介して
今やちょうどいい時期に壊れるように作っています。
最近のメイドインジャパンも昔とは違うと思いませんか。
家電は六年、車は十五年、などなど今朝いい通りに寿命を終わらせるテクノロジー。
開発したのでしょう。
私はそう思うんです。
資本主義って怖いですね。
あの頃は旅をしているアジア人は日本人だけなので
知らない街で向こうから歩いてくるのが日本人だとすぐにわかりました。
当時でも結構若い旅人に多々会いました。
概してインドを旅するのは若い人だけだった気がします。
そういえば一度
バスの仏教遺跡ツアーでシニアの団体にあったことがありました。
そういう人たちは料金もホテル食事こみで支払っているのです。
私たちのように自分で鉄道でもなんでも予約して
ホテルもレストランも有るとこ任せな旅は
若い人に限られる、
そんな固定観念のはびこっている時代でもありました。
そう思うと時代は変わるものです。
メールもFAXもなかったけれど手紙は郵便局で受け取れました。
カルカッタなどその都市のG,P.O宛に手紙を送ると
郵便局で専用のボックスに保管してくれるのです。
いつでも閲覧自由で大抵が
学校の下駄箱のように四角い箱が並んだ木の棚でした。
アルファベット順に並んだ箱に無造作に重ねて入れらた手紙やハガキの類は
誰でも手に取ることができました。
つまりは人のハガキとかも自由に読めたということです。
封書はさすがに読めませんが、ハガキは裏を返せば読めるでしょう。
今だったら信じられない時代です。
でも楽しい時代でした。
インドは当時まだ国を閉じている時代で
外国の製品に膨大な税金をかけていました。
輸入が禁止されているものも多く、
インドの金持ちは闇でいろいろなものを調達することにあくせくしていた時代です。
日本のものはなんでも喜ばれました。
私は百円ライターを二十個ほど持って行きましたよ。
ガイドブックにも
ライター、ボールペン、カメラなどはとても喜ばれるので
持参すると何かと重宝するって書いてありました。
二十個のライターをどうしたのか、それは
覚えていませんが、
一つだけ記憶しているのは
駅に行っても列車の席が取れず困っている時に
宿の主人がチケットをなんとかしてくれました。
それでお礼にあげてとても感謝された記憶があります。
インドではあの百円ライターにガスを充填してくれる路上のサービスがあるのです。
この商売は今でも絶対にあると思いますよ。
大抵は靴の修理屋が兼業していましたね。
使い捨てのあのライターの底にドリルで穴を開け、
ガスを充填すると
その穴をどうやって閉じたと思いますか?
それがびっくり。
見ているとなんと縫い針を細い穴に差し込んで
止まったところでペンチでチョキン。
出っ張った部分をヤスリで軽く擦って終わりです。
誰が考えたのか、頭の良さに感心しました。
縫い針は先が細くて後太くなっていますから
栓として使うのに最適なのです。
どこにでも売ってるし。。。
使い捨てのライターがインドの路上でこうしてリサイクルされているのでした。
日本製の使い捨てライターはものが良く、
何回でもリサイクルできるので皆が欲しがりました。
日本で今欲しいのはこんな小さな節約のためのビジネスです。
ライターを買ったことがありますか?
使い捨てのライターは今三個百円のもありますが、
実はあれ、安いのはすぐに使えなくなってしまいます。
ガスが早く無くなったり、途中で壊れたり、でしょ。
結局安物を買って
プラスチックのゴミを増やしているだけなんです。
こんな商売はやめるべきです。
インドのようにガスを充填してくれる場所があればいいのです。
ホームセンターで安売りされているあの
使い捨てライターを見ると
これがまたゴミになるのかと心が痛みます。
使い捨てライターって中のガスを使ったらあとはゴミですからね。
あれ、なんとかならないかなっていつも思います。
インドで簡単にリサイクルできるのを知っているから
そんな些細なことに目がいくのでしょう。
これもインドを旅行した賜物なのです。