三連休最後の日、午後遅くにみかんの丘に登った。竹取庵に入り、屋根を開く。見上げると夕暮れの空に月が掛かっていた。月齢6.6。あれ、今日は気流が安定している。そうだ、今夜は月も撮ろう。
月を狙うのは口径45センチのかぐや姫と決めている。姫はまだ仮の玉座。自動で星を追うことが出来ない。だが月ならば撮影できる。カメラを取り付けスイッチを入れる。ライブモードのモニター画面に現れた月面はこれまでになく安定していた。この月齢が一番たくさんクレーターを眺めることができる。
その昔、二つの惑星が衝突した。その勢いでお互いの星の中身が宇宙空間に飛び散り、やがて再びそれぞれの星に落ちていった。今の月と地球はそうして出来たのだと天文学者は言う。小さいクレーターが大きいクレーターの上に出来ていてもその逆は無い。重い塊から先に落ちていったからだそうだ。
容赦なく降り注ぐ赤く焼けた岩石。僕は戦いのさ中の砦を想像した。あばたはその激戦の爪あとだ。