昨日は朝からべた曇だった。しかしどうせ作業に行くのだし、たいした荷物でもない。そう思って持って出掛けた大きい方のカメラ。
竹取庵に到着したのは午後も3時を回っていた。出迎えたみかんの丘の番犬、太郎と話をしてからレンガ貼りに掛かる。ほぼ6時間の作業で貼れたレンガはわずか26個。何でこんなに手が遅いのだろう。そう思いながら後片付けをして外に出ると西の空の雲が切れ掛かっていた。
もしやと思って二階の観測床に上がり、カメラとフィルターをセットして屋根を開ける。その間に雲はすべて東に去り、満天の星が僕を迎えてくれた。
以前から晴れていたら撮影したいものがあった。NGC2237、通称「薔薇星雲」。冬の天の川の真ん中にあって、きらびやかな散開星団と重なる赤くぼんやりとした散光星雲だ。それはまさに、宝石箱に咲く1輪の薔薇の花だ。
目で見てもそれがどこにあるのか分からない。近くの輝星ベテルギウスを基準に、導入はコンピューター任せ。僕はカチカチという赤道儀の修正音を聞きながら、すぐそばに広げたやぐら炬燵にもぐった。寝転がって見上げると素晴らしい星空が覆いかぶさってくる。目の脇を大きな流れ星がひとつ流れた。そうだ。今日はふたご座流星群の極大日だ。夢のような時が流れていった。
(カメラの感度は4000、光害カットのLPS-P2フィルターに赤色強調フィルターを組み合わせて15分ずつの露出6回。このうちの3枚を重ね合わせました。ガイド鏡のロックが甘かったのか、星が少し流れました。)