梅雨が明けて、小中学校は今日から夏休み。確かに猛暑が夏を演出してはいるけれども、いつになったらちゃんと晴れるのか。計画では昼間に建て増しの大工作業をして、日が暮れたら星を撮る。そのつもりだったのにこの空。今日も材木を持って上がった丘から見た風景は雲と靄のパイ皮だ。
丸鋸で柱材を切り、ノミと金槌でほぞ穴を開けてゆく。かなり前から気が付いていたが、ノミを叩き始めるとホオジロが鳴き出す。カンカンカンと言う音とあの「一筆啓上仕り候」(僕にはそうは聞こえないが)と言う鳴き声は全く違うと思うのだが。彼の見張り場は竹取庵から70メートルほど離れた電線だ。写真を撮ってやろうと思うのだが、そのためには観測デッキから望遠鏡を持って来なくてはならない。そうしているうちにどこかに行ってしまうだろう。
柱にほぞを切ってほぞ穴を開け、壁板を貼り付けるみぞを作ったあとクレオソートを塗る。丘のふもとで5時のミュージックサイレンが鳴り始めた頃、ようやく1本仕上がった。一休みした後立ててみる。3時間もかけてまだたった1本だ。
今日はここまで。工具を片づけておばさんに挨拶をする。明日は仕事だ。撮影に来る事は出来ないが天気はどうだろう。丘を下ってしばらくすると、行く手に落日が見えた。これは夕焼けとは呼ばないだろう。明日も曇りかな。そう思いながら帰路に就いた。