そう、分かっていた。今夜の星はやたら瞬いている。丘の周囲はほとんど風が無いが、上空の気流はずいぶん悪いのだろう。昇ったばかりの土星はその影響をもろに受けるはずだ。案の定、カメラのファインダーの中の土星は、形がよく判らないほど揺らめいていた。どうしよう、高度が上がるまで待とうか。しかしこのシーズンの惑星の軌道はそれほど高くならない。それに、昼間の大工仕事でかなり疲れていた。
そうだ、このゆらゆらを写してみよう。8センチ屈折に5ミリの接眼レンズを繋ぎ、カメラ感度3200、露出5分の1秒で立て続けに撮ってみた。それを繋いだのが上のGIF動画だ。普通は気流が収まるのを待って、何十枚も撮影した画像の中から綺麗なものを何枚も重ね合わせて1枚の画像を作る。今回はありのまま。しかも黄砂まみれの赤茶色だ。これもリアルで良いかな。
高度を増した月が、身にまとったベールとともに海を照らす。時刻は午後9時をかなり回っていた。もう帰ろう。こどもの日もあと少しで終わる。連休も明日を残すだけだ。