大工仕事をしているうちに日がとっぷりと暮れた。観測デッキの屋根を開けてみると、西の空に冬の星座たちが沈もうとしている。さようなら、ごめんね、忙しくて逢いに来ることが出来なかった。バーナードループももっとかっちりと撮りたかったけれども、今年の冬までのこれも宿題。それよりも、この観測デッキでゆっくりと満天の星を楽しむ幸せを感じていたかった。本当に年々忙しくなってゆく。この先どうなるんだろう。
目を東に向けると春の星座のうしかい座やおとめ座が昇ってきている。 「春の大曲線」 今の季節プラネタリウムに行くと必ずこの言葉を聞く。
明るい星が形作る幾何学模様はそれぞれの季節にある。もっとも有名なのが冬の大三角。夏にはこと座とわし座、はくちょう座のアルファ星が作る三角形がある。アンドロメダとペガサスが形作るのは秋の四辺形だ。これに対して春はめぼしい星の連なりがほとんど見当たらない。そこで思いついたのが、北斗七星のひしゃくの柄の曲がりをそのまま伸ばしていく方法だった。
対角線魚眼のレンズでは少しひずんでいるが、北斗の柄はかなり美しいカーブをなしている。このカーブをそのまま伸ばしていくと行き当たる二つの星。うしかい座のアークトゥールスとおとめ座のスピカ。この線を春の大曲線と呼ぶ。これは少し無理じゃないかと、思うのは僕だけだろうか。スピカの上で輝いているのは木星。曲線の焦点あたりにみえる星の塊はかに座の泡ぶくだ。
それはともかく、今夜は望遠鏡を使うつもりが無かったから敢えてセッティングはしなかったが、いい加減に望遠鏡とPCの接続もやり替えなければそのうち動かなくなる。だいたい観測デッキのPCのOSは二台ともWindowsXPのままだ。今の増築部分の工事が一段落したらここの工事にもかからなければ、そのうち望遠鏡で星が撮れなくなってしまう。増築部分と言えば今日の昼間までに壁が三分の一と屋根裏の一部の断熱材貼りを終えた。はは、まだまだだ。
まあ、いつかは出来るだろう。出来なくても仕上がりは頭の中にある。それを思うだけでも幸せな気持ちになれる。
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