昼行灯(だった)トキの大雑把なひとりごと

クレヨンしんちゃんよりもユルく生きていた(当面過去系)私の備忘録と、大雑把なひとりごと。時々細かく語ることも。

フィギュアスケート!

2013-12-30 21:40:16 | Weblog
スポーツは大の苦手(特に走るのと登山)だが、観るのはそんなに嫌いではない。
ただし、ジャンルがものすごく偏っている。
仙台は楽天球団、サッカーのベガルタ、バスケの89ersなどプロチームが多い。楽天の日本一も記憶に新しい。
しかしこれらに、筆者はあまり関心がない(さすがに今年の楽天だけは注目せざるを得なかったが)。
私が好むのはプロレス、K-1、総合格闘技、大相撲などのプロ格闘ショー、又はより競技色の強いボクシング、アマチュアでは柔道など、いずれにせよ「格闘」である。
それ以外では、幼い頃母と一緒に観戦していたバレーボール、マラソン、駅伝、フィギュアスケートなど。

さて、年末のこの時期は、数年前までの格闘技ブームの時代であれば、K-1グランプリ、大晦日の格闘技興行、年明け1月4日の新日本プロレスと、格闘技三昧を楽しんでいたものだが、今や往年のブームは去り、格闘技はボクシングと大相撲を除き地上波のゴールデンからは消え、プロレスが密かに新規ファンを開拓し復興しつつあるという状況。
しかし私の場合、格闘技は生中継でないと楽しめない。勝敗の結果を先に知ってしまうと興味が失せる。
だから、大晦日興行合戦のような「生中継イベント」が消え去ってからは、どうにも心を熱くするスポーツ観戦の機会には恵まれなかった。

妻がスポーツ観戦にほとんど関心がないこともあって、結婚してから、観戦の機会は格闘技を除いてそもそも減っていた(格闘技は、同世代の妻もそれなりに理解しているので一緒に観てくれた)。そんな中、共通に関心を持てるジャンルだったのが、フィギュアスケート。
彼女は幼い頃、バレエを習っており、浅田真央登場時には「この娘の滑りはバレエを採り入れている」と喝破したものである。以来、時間が合えば、毎シーズンTV観戦をしている。
仕事が多忙を極めているここ5~6年は、ゆっくりスポーツを観戦するのも中々難しかったが、数年前にテレビを液晶デジタルに買い替えた際、丁度フィギュアスケートのシーズンであったことから、よく観戦した。
クリアな大画面でスポーツ観戦というのは、デジタル放送の実に適切な楽しみ方だと感じ入った。

そのフィギュアスケートだが、前々回のトリノ五輪前から今シーズンに掛けて、日本フィギュア界が黄金期を迎えている。
まずは女子シングル。
最後のシーズンとして臨んだ荒川静香の「不動心」が掴んだ日本勢発の五輪金メダルが、一つ目のピークである。
その荒川静香と同世代の選手として、諦めずに現役を続けた(今も!)、ライバル村主章枝。
世界初の4回転ジャンプ少女として華麗にデビューし、その類い稀な美貌と相まって、次代のエースとして、常にマスコミの注目を集めていた安藤美姫。彼女は美貌故に女性としての関心も高く、芸能人以上の過熱報道に悩まされると共に、20歳前後になると身体成長から4回転が飛べなくなり、怪我もあって苦悩の低迷期に入る。
そこから、表現力に磨きをかけての復活劇。さらに2年間の競技生活ブランクと、衝撃のシングルマザー告白。競技者として、女性として、両方を揺れ動き、どちらも求めたある種「泥臭い」生き様も、魅力の一つである。
そして、既に一定の評価を得ていた浅田舞の妹であり、まさかの2人目の4回転少女として彗星の如きデビューをした浅田真央。現在の日本女子シングルの不動のエースである。一度は引退した絶対世界女王、キム・ヨナとの、他の選手とは一線を画したライバル対決は、前回の五輪に引き続き、今回も期待されている。
ブランクから復帰したヨナか、求道者の如く、不調の時も好調の時も,よそ見をすることなく自分の演技を磨き続けていた浅田か。
女子フィギュアのシングル世界大会は、事実上、彼女たちのサシの勝負である。ヨナにいくらブランクがあっても、そのライバル関係は変わらない。まるで「ヒカルの碁」における塔矢アキラと進藤ヒカルのように。或いは高永夏と塔矢又は進藤ののように。
それから次の世代。浅田の背中を追い、素の無邪気さはそのまま、徐々に大人の演技を身につけつつある村上佳菜子。さらに、ジュニア勢からいち早く抜け出した宮原知子が猛追している。
そして、異色・出色の存在として、20台半ばから遅咲きの花を咲かせ、現役最年長グループに属しながら、今なお大輪の花を大きく育てている鈴木明子。

宮城は、民間のスケートリンクがジュニア育成に力を入れていたこともあり、競技フィギュアとは縁が深い。荒川は宮城県育ちであるし、鈴木は東北福祉大時代に宮城のリンクでも練習に励んでいた。しかも仙台は、日本での本格的なフィギュアスケートの発祥の地ともされている。
その日本初のフィギュアのリンクとなったのは、旧制二高前の堀であった。故に日本人初のフィギュアスケーターは、おそらく男子である。
そこで男子フィギュアに目を移すと、何と言っても今は、発祥の地・仙台から、始めはジュニアの「王子様」として登場した羽生結弦。先シーズンから爆上げで一挙に世界一を争うレベルまでジャンプアップし、このシーズン中にも成長を見せつけ、圧巻のグランプリファイナル優勝を成し遂げた。今や男子シングルの最強王者パトリック・チャンと並ぶ、紛れもない「ソチ五輪金メダル第一候補」である。
そして、日本男子フィギュアを世界とメダルを争える地位に持っていった立役者で、今なおエースの高橋大輔。
彼に続いて、様々なアクシデントはありながら、競技者としてはひたすら高レベルを維持してきた、その血筋も話題の一つである織田信成。
織田、高橋を追う世代として、着実に実績を積み重ねてきた小塚崇彦。
加えて今シーズン、羽生の快進撃をピッタリとマークするように、一気に上記ベテラン勢を追い抜いたと言っていい町田樹。

今年の日本フィギュア界は、おそらく史上最高に生き残り争いが激しい。ベテランも新人も入り交じった苛烈な競争が繰り広げられている。
勿論、ソチ五輪代表の3枠を巡って、である。
通常のシーズンは、GPシリーズファイナルでのメダル・順位が一つのゴールとなり、その後の世界選手権へと続く。
その間にある全日本選手権はあくまで国内大会。普通の年であれば、注目度は低い。
しかし今年は、全日本選手権の結果が、五輪への切符を大きく左右する。まず、それまでの成績がどうであれ、全日本選手権優勝者は、自動的に五輪出場者に決定する。
とはいえ、GPファイナル優勝の浅田と羽生は、全日本での結果がどうあれ、すでに五輪出場は確定と言ってよい。そうすると、残り2枠の争いとなる。
これ一本に絞って来たのが、女子の安藤美姫。安藤は、ブランクもあり、Aランク大会への出場ができず、予選を勝ち上がって全日本への切符を手にした。
優勝で一発逆転、五輪切符を手にしたい。
かつては闘志が演技に現れすぎていた安藤だが、今シーズンは自然体でスムーズな演技ができている。ブランクを感じさせない。ひょっとしたらひょっとする。慣れ親しんだ久しぶりの会場で、満員の観衆の注目の中でも、平常心を維持できるか。
他方、昨シーズンまで好調を維持していた鈴木明子。28という年齢もあり、今シーズン限りでの引退を表明。GPシリーズに出てはいるものの、昨シーズンに比べていまひとつパッとしなかったが、それでもGPファイナルへの切符を手にし、見事に入賞を果たした。
村上は、丁度少女から大人の女性への転換期に入り、演技構成が難しい年代に差し掛かっている。安藤も、浅田も、この年代は苦しんだ。彼女も同様に思える。同世代に彼女に匹敵する選手が現れない中、先輩に割って入ることができるか。

男子では、羽生が今シーズン、一気に世界最高峰のフィギュア選手になり、浅田・ヨナのような2トップ体制を、パトリック・チャンとの間に築いたといっていい。しかも、ヨナと浅田の立場とは逆転し、絶対王者が羽生になったと言っても良いと思う。もう、羽生が金メダル第一候補で異論はないだろう。
その羽生を追う第二グループの先頭が、急速に成績を伸ばした町田樹である。派手ではないが、着実で力強い演技をする。
小塚は今季、やや出遅れていた。なかなか調子が出ていない。それでもGPシリーズ出場は果たしている。
織田は、難しい。先シーズンまではショートが素晴らしく、フリーでスタミナが切れて主要タイトルは3位以下止りということが多かったが、今シーズンは引退予告で背水の陣を敷いたこともあってか、安定感が増している。GPシリーズはトップこそなかったが、2位、3位の入賞を繰り返している。仕上がりは悪くない。
高橋は、不運だ。これまでも怪我に悩まされ続けていたが、NHK杯を制しGPファイナル出場権を得ながら、またもや怪我に泣かされ、ファイナルを辞退。全日本を制して3度目の五輪出場決定を最優先とした。安藤と同じである。

こういった、これまでになく厚い選手層が、氷上の闘いを、舞いを、熱くしている。
そして、このような闘いが観られるのは、今シーズンが、最後だ。
上記の選手の大半が、今シーズン限りでの引退を表明している。鈴木と織田については既に書いたが、男子最年長の高橋、そして織田と同年代の安藤、さらに女子のエース浅田までもが、今季を最後と決めている。
つまり、男子は小塚、町田、羽生が残るが、女子は村上、宮原しか残らない。これまで長く、日本のフィギュアシングルは女子が牽引してきたが、来季からは、羽生を軸に、男子が主役となるであろう。

そのような背景を踏まえた、全日本フィギュア選手権を、注目していた。
ますはショートプログラム。
男女どちらにも共通していたのが、滑走順の早い選手が素晴らしい演技を見せたこと。男子なら町田が圧巻であった。そして女子は、結果的に全員がほぼノーミスという、おそろしくハイレベルでの闘いとなった。
そんな中、怪我の影響が長引く高橋大輔は、不満足な滑りであった。彼はSPを終えた段階で、もう悔し涙が目から溢れていた。翌日のフリーが現役最後の滑りになることを予期し、震えていた。まるでボブ・サップにボコボコにされたアーネスト・ホーストのようでもあった。
フリーは、明暗を分けた。女子では悲願の優勝で五輪を勝ち取りたい安藤が、難しいジャンプに賭けた。男子も、羽生、町田の若手勢を追い落とさんと、ベテラン勢が挑んだ。その結果。
事前の予想では、男女ともGPファイナル金の羽生、浅田が1位通過との観測が大半だったように思う。男子は羽生が、次元の違う滑りで皆の予想通り1位通過。2位は、非常に安定している町田樹がそのまま食い込んだ。そして3位には、これまで余り目立てなかった小塚崇彦が滑り込む。織田、高橋は、ミスが響いて、下位に甘んじた。
女子は、浅田以外の2枠を誰が取るかという点が注目されていたが、その浅田がまさかの3位に終わる。1位は、なんと男女通じて最年長の鈴木明子!昨シーズンよりも技の完成度を上げ、しかも表現力では浅田を上回るのではとも思える演技で、五輪第一切符を手にした。

この結果を踏まえ、五輪出場者が決する。競技は、長引いた。

女子は、鈴木以外は浅田、村上で決定である。安藤は残念だったが、やはり現役をずっと続けていた者に、勝利の女神は微笑んだ。彼女は彼女なりに納得した表情で、競技者としての生活に、本当のピリオドを打てた。その笑顔は、胸を打つものであった。
男子が、非常に難しい。羽生、町田は決定である。安定感抜群で隙がない。そうすると、ベテラン勢から3枠目に入るのが誰か。
今シーズンは怪我で不調ながら、過去2回の五輪出場経験があり、GPシリーズNHK杯で金を取っている高橋か。
GPシリーズ優勝はないものの、安定して入賞している織田か。
全日本の舞台に来て、ようやく実力を発揮してきた小塚か。
場内が、固唾を飲んで、結果発表を待っていた。

結果は、御存知の通りである。日本連盟は、高橋に、五輪の切符を与えた。
もう現役を退く覚悟をしていた高橋への、最後のプレゼントのようにも思えた。しかし他方、「メダルを取れる選手を」という意見で彼が推されたとも言う。怪我の回復にいま少しの時間がある。そこに、賭けたのだろう。高橋は、不満足な出来ながらも、GPファイナル出場を蹴った賭けに、勝った。
織田は不運としか言えない。今季比較的安定していたフリーが、ここに来て,乱れた。彼は四大陸選手権代表に選ばれながらこれを辞退。全日本選手権を最後に、現役引退を表明した。
小塚も、彼らに比べればまだ若いが、次の五輪では今の高橋と同年齢になる。今季を逃してしまったことは、悔しいだろう。

女子は、浅田とヨナの対決にも注目だが、とにかく完成度が上がり続けている鈴木が、五輪の舞台でどこまで行けるか注目したい。精神面ではもう十分に安定している。アクシデントさえなければ、2シーズン前の荒川静香のように、勝利の女神が微笑む可能性も十分にある。

今年のフィギュアは、凄かった。格闘技ブームの頃と同じくらい、熱くスポーツ観戦をすることが出来た。
各人各様、とてもドラマチックな生き様を魅せてくれた。
五輪での活躍にも、期待し、注目していきたい。


(追記)黄金期の立役者、荒川静香の結婚の報道があった。プロとして、解説者として、引退後も八面六臂の活躍を「自然体」でこなしている彼女。高校時代までを過ごした宮城が被災したことに心を痛め、様々なイベントで積極的に支援活動を続けてくれた一人でもある。祝福を述べておきたい。

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