認知行動療法(CBT)といわれるやり方を、自分のコーピング技術として使いだしたのは、2013年ごろからだと思う。認知行動療法は唯一日本で保険診療の利く心理療法なので、今や何でもかんでも認知行動療法。という感さえある。何しろ社会的にはスピリチュアル系とされている、このページで掲載したホ・オポノポノも、自らを認知行動療法の亜流と称している。
定義づけは心理学者に任せるとして、私にとって認知行動療法は当事者研究と暴露療法である。ちなみに5マス法や7マス法も試してみたが、心理士主導の認知行動療法は私には効果がなかった。私に有効感をもたらしたのは、もっぱら自ら主体的に行う認知行動療法である。
当事者研究とは”当事者が自ら研究すること”(向谷地,2009)などと定義されているが、これは北海道浦河界隈の精神保健福祉で1990年代から大規模に導入されていた認知行動療法をして、当事者が自分のことを自ら研究すると称して、当事者を関与させアセスメントしていく方策。ともいえると私は思う。
当事者研究には認知行動療法のアセスメント部分だけではなく、AA( アルコール・アノニマス)などから得た知見(自己病名を名乗る、否定しない、など)も取り入れ、ユーモアのセンスを大事にしている。今や日本にとどまらず世界中で実践されている、日本由来の福祉的実践となっている。
暴露療法は、自分の体験、とりわけトラウマ的な体験を、あえて自ら想起し再体験させる、という方法である。私はこれをやることで、フラッシュバックをコントロールできていると判断されたことがある。
もっとも、神田橋先生に言わせてみれば、私のフラッシュバックのコントロールは不十分であり、今でもえも言えぬ感情と遭遇し、それは過去経験を想起させる刺激を受けることによって生じることがあると、神田橋先生から習った指気功で止めることもある。トラウマ記憶の想起により残った残滓でもやもやすることがあるが、それらはツボ押しなど自律神経を整える方法で解消できることがある。それらコーピング技術については、後日詳細に書きたい。
認知行動療法は自らを俯瞰(当事者研究的に言えば「自分を眺める」)することで状況を明らかにし、対処を周りの人たちも交えて考えていく方法である。これからもこの営みは続く。
※引用文献
向谷地生良 2009 技法以前 べてるの家のつくりかた 医学書院