(2021年2月12日)レヴィストロースは仏翰林員(アカデミーフランセーズ)会員に選出されているを持ってして碩学の程が高等だから、下世話話をクダケた言い回しでクリ回すなど試みていない。部族民蕃神として「近親婚の禁止」を分かりやすく解説せんとして、卑近な証例を持ってこれに当たると決めた。何故に「心理起因」が禁止という社会制度と結びつかないかを、令和の婚姻事情と重ね合わせてA列車のテンポを守って急行で論調していくつもりだ。
前回(2021年2月10日)投稿「親族の…中」でフロイトらのエデプスコンプレックスについて「もしこの傾向が純粋に心理起因であり、かつそれ以上ではないとしたら、何故これほどに社会的掣肘を受けるのかに説明がつかない」とレヴィストロースは指摘した。そして「集団に、関与した個人とそれらの子孫に危険性が存在するとして、禁止の起源はこの危険…」で前回(下)を締めた。
この論点を逆説から解釈すると「婚姻相手への選り好みが心理起因にあっても、それが心理にとどまる限り社会から掣肘を受けない」となる。別の言い方では「純粋心理起因」はレッセパッセ(laisser passer)好きに任せるとなる。令和の今様、時代の習俗を借りてこの点を説明したい。
婚期も盛りの若者にして嫁に求める条件は「一麗二良」であるとネットで読んだ。その内訳は「見目麗しく気立て良く、控えめ良心」だとか。なるほどと感心したがそれも120年前の流行り「♪妻を娶らば才長けて見目麗しく…♪」鉄幹なるが明治32年に謡った詩歌だが、以来男の好みは少しも変わっていないと覚える。変わらない事情はそうした女性は稀にであるが必ず、存在するから。今の世ならばワカオ文子様ですね。
一方、娘が婿さんに選びたい条件はひろく人口に膾炙している。それは「三高」。三とは給与、学歴、身長でありいずれも低きは好まれず、いずれか高きをもって必要条件、三つ揃って十分条件で合格だそうだ。娘らの本音がこの十分にあろうとまことしやかに伝わる。ちなみに三高だって立派に存在する。それが誰かなんて部族民として悔しいから例を挙げない。
好みは心理から発生する。心理で回りその帰結は個である。社会にしても民衆にも心理には規制も制度も設けられない。一麗二良にしても三高にも、そんな選り好みなどはレッセパッセだ、個人の勝手と放置する。もし君が一麗二良の理想嫁と婚約できたとする。家族、友人らはその選択は「人倫に劣る」なり「欠陥を持つ子が生まれる、考え直せ」などと諫めたりはしない。せいぜい「うまくだまくらかしたな」とヤッカミを受けるだけだ。
聞いても見てもの「三高婿さん」を従え悠然と闊歩する散歩嫁に出会った友人が「あなたの結婚には呪いがかかっているわ、すぐに別れたら」の嫌みを向ける横槍もない。
婚姻に際しての選り好みには、男にも女にも「レッセパッセ勝手にしやがれ」が適用される。これが普通なのだが。
この逆説のもう一捻りの逆を考えよう;
対局には「選り外し」が構えている。娘のそれは「三低」で分かりやすく、それが何かを説明する要はない。そして若者が避けたいのは「一醜二悪」であると最近、ネットつぶやきで教わった。その三とは「醜い、陰険、出しゃばり」が心である。誰がそに当たるかは大ぴらにすると面倒だから匿名にして某大学女名誉教授としておこう。
娘達が若者らが、婿を嫁を選ぶにさいし、こんな低悪な条件が絡まる物件、おっと間違い、人物には填りたくない。こう願うが人情、心理。令和の婚姻事情である。
「選り好みも外し」も心理、人情であるとした。
故にいかなる世の規則、社会の制度が介入する気配など見あたらない。三高との結婚願望は三低への差別だ。一麗二良などとウツツを抜かすは一醜二悪への侮蔑だ(文子を諦めキリンにしろと脅されている気がする)などとして、社会が規制制度を発効させて「シコメ婚推奨」「安被俸給者救済」なんて動きは今の処、聞いたことがない。でも何故か?

ミノタウロスは王女と雄牛の婚たはけで生まれた。王女の父はその異形を怖れ迷宮ラビリンス(クレタ島)に押し込めた。

絵はギリシャ古壺の模様、ネットから採取
そうした罰が濃厚なる近親婚の禁忌と比較してみよう。
心理学的説明は「母親への憧憬が近親婚願望に向かうフロイトら、第9回投稿2月10日」「(近親女との同居で)性的関心を亢進させないから制度が禁止Havelock Ellisら第8回投稿2月8日」。
これらは「選り好みと選り外し」の心理作用である。それら心理が向かうベクトルは今様の三高などと変わるところはない。変わるのは一方には社会的掣肘が控え片方はレッセパッセ好きにしたらで許される。この社会反応の差は一体どこから来るのか。
それが冒頭に申した「個人とそれらの子孫に存在するとして、禁止の起源はこの危険だ…」である。近親婚が個人、子孫、集団にもたらす危険は「社会」存続の危険なのである。
この視点を軸に「親族の基本構造」が書き上げられているわけであり、近親婚から相互性、2重構造…と進展し「限定交換」の部族民社会のあり方を論じている。次回は「近親婚...」の社会学的考察に入ります。
(2021年2月12日)親族の基本構造10心理からの説明の下の了
追:最新の女性調査では「三高」はもはや古いのだそうだ。「三優、優しさ」がトレンドナウなんだそうだ。自宅にとどまる時間が多くなった働き方と関連しているとの分析がある。ブカンコロナは女の心理まで変えたのだ。
前回(2021年2月10日)投稿「親族の…中」でフロイトらのエデプスコンプレックスについて「もしこの傾向が純粋に心理起因であり、かつそれ以上ではないとしたら、何故これほどに社会的掣肘を受けるのかに説明がつかない」とレヴィストロースは指摘した。そして「集団に、関与した個人とそれらの子孫に危険性が存在するとして、禁止の起源はこの危険…」で前回(下)を締めた。
この論点を逆説から解釈すると「婚姻相手への選り好みが心理起因にあっても、それが心理にとどまる限り社会から掣肘を受けない」となる。別の言い方では「純粋心理起因」はレッセパッセ(laisser passer)好きに任せるとなる。令和の今様、時代の習俗を借りてこの点を説明したい。
婚期も盛りの若者にして嫁に求める条件は「一麗二良」であるとネットで読んだ。その内訳は「見目麗しく気立て良く、控えめ良心」だとか。なるほどと感心したがそれも120年前の流行り「♪妻を娶らば才長けて見目麗しく…♪」鉄幹なるが明治32年に謡った詩歌だが、以来男の好みは少しも変わっていないと覚える。変わらない事情はそうした女性は稀にであるが必ず、存在するから。今の世ならばワカオ文子様ですね。
一方、娘が婿さんに選びたい条件はひろく人口に膾炙している。それは「三高」。三とは給与、学歴、身長でありいずれも低きは好まれず、いずれか高きをもって必要条件、三つ揃って十分条件で合格だそうだ。娘らの本音がこの十分にあろうとまことしやかに伝わる。ちなみに三高だって立派に存在する。それが誰かなんて部族民として悔しいから例を挙げない。
好みは心理から発生する。心理で回りその帰結は個である。社会にしても民衆にも心理には規制も制度も設けられない。一麗二良にしても三高にも、そんな選り好みなどはレッセパッセだ、個人の勝手と放置する。もし君が一麗二良の理想嫁と婚約できたとする。家族、友人らはその選択は「人倫に劣る」なり「欠陥を持つ子が生まれる、考え直せ」などと諫めたりはしない。せいぜい「うまくだまくらかしたな」とヤッカミを受けるだけだ。
聞いても見てもの「三高婿さん」を従え悠然と闊歩する散歩嫁に出会った友人が「あなたの結婚には呪いがかかっているわ、すぐに別れたら」の嫌みを向ける横槍もない。
婚姻に際しての選り好みには、男にも女にも「レッセパッセ勝手にしやがれ」が適用される。これが普通なのだが。
この逆説のもう一捻りの逆を考えよう;
対局には「選り外し」が構えている。娘のそれは「三低」で分かりやすく、それが何かを説明する要はない。そして若者が避けたいのは「一醜二悪」であると最近、ネットつぶやきで教わった。その三とは「醜い、陰険、出しゃばり」が心である。誰がそに当たるかは大ぴらにすると面倒だから匿名にして某大学女名誉教授としておこう。
娘達が若者らが、婿を嫁を選ぶにさいし、こんな低悪な条件が絡まる物件、おっと間違い、人物には填りたくない。こう願うが人情、心理。令和の婚姻事情である。
「選り好みも外し」も心理、人情であるとした。
故にいかなる世の規則、社会の制度が介入する気配など見あたらない。三高との結婚願望は三低への差別だ。一麗二良などとウツツを抜かすは一醜二悪への侮蔑だ(文子を諦めキリンにしろと脅されている気がする)などとして、社会が規制制度を発効させて「シコメ婚推奨」「安被俸給者救済」なんて動きは今の処、聞いたことがない。でも何故か?

ミノタウロスは王女と雄牛の婚たはけで生まれた。王女の父はその異形を怖れ迷宮ラビリンス(クレタ島)に押し込めた。

絵はギリシャ古壺の模様、ネットから採取
そうした罰が濃厚なる近親婚の禁忌と比較してみよう。
心理学的説明は「母親への憧憬が近親婚願望に向かうフロイトら、第9回投稿2月10日」「(近親女との同居で)性的関心を亢進させないから制度が禁止Havelock Ellisら第8回投稿2月8日」。
これらは「選り好みと選り外し」の心理作用である。それら心理が向かうベクトルは今様の三高などと変わるところはない。変わるのは一方には社会的掣肘が控え片方はレッセパッセ好きにしたらで許される。この社会反応の差は一体どこから来るのか。
それが冒頭に申した「個人とそれらの子孫に存在するとして、禁止の起源はこの危険だ…」である。近親婚が個人、子孫、集団にもたらす危険は「社会」存続の危険なのである。
この視点を軸に「親族の基本構造」が書き上げられているわけであり、近親婚から相互性、2重構造…と進展し「限定交換」の部族民社会のあり方を論じている。次回は「近親婚...」の社会学的考察に入ります。
(2021年2月12日)親族の基本構造10心理からの説明の下の了
追:最新の女性調査では「三高」はもはや古いのだそうだ。「三優、優しさ」がトレンドナウなんだそうだ。自宅にとどまる時間が多くなった働き方と関連しているとの分析がある。ブカンコロナは女の心理まで変えたのだ。