蕃神義雄 部族民通信

レヴィストロース著作悲しき熱帯、神話学4部作を紹介している。

神話学第4巻「裸の男」続き 序

2020年03月09日 | 小説
(2020年3月9日
部族民通信は過去、レヴィストロース神話学第4巻「裸の男、L’homme nu」の解説をGooBlogに取り上げている(2019年10月31日~11月18日、全6回)。これを加筆、書きなおししてホームサイト(WWW.tribesman.asia)には「裸の男を読むと」して全3回で掲載している(2019年11月15日~30日)。

この時点で取り上げたのは「英雄イシスの冒険」(M529 Klamath-Modoc族伝承)およびその派生神話である。しかるにイシスの冒険はその反対主題(アンチテーゼ)として「Dame Plongeon、アビ女」の神話群が後頁に控えている。英雄イシスとアビ女を併せての紹介、解説が必須だったのだが、その時(昨年11月)はこれを断念してしまった。

図:本書87頁から。昨年11月の時点では全く理解できなかった。故に紹介せず、頬被りでイシスの冒険神話を語っていたのだ。再度挑戦し、よく見ると三角形が二つ。これが理解のカギだった。

理由は掲載する図式の解釈がまとまらなかった事に尽きる。この図はイシスとアビ女神話を挟んで挿入されている。当然、図式はしっかりと、しかるべく文言とそれなりの行句でもって解説されているのだが、読めば読むほど、だんだん理解が遠くなる。読んで理解に至らない背景とは、これはレヴィストロース一流の修辞法なので、その修辞に惑わされ、論証の本舞台に立ち入れていないに尽きる。このまま苦闘しても時間損出を呻吟するのみ気付いた。一旦、頭から修辞も苦吟も放逐し、後日、虚心して取り組むしかない路は開けないとしった。故に、昨年はすっかり忘れた。
本年も2月に入ってしばしの頃、この図に立ち止まり少しながら読みかえした。すると;

ある2点が気にかかった。

図:右方向が「火」が支配する文化の弁証法的発展、左は「水」の文化。

1 図を上下2の三角形の合成である。上の三角形はS(=systeme、システム)の集体であり、下は「神話」の現れ様をみせる。
2 現れの様とは経時性を示す。文化が勃興し、その生まれ落ちる様と後の進展をこれら神話が物語るに他ならない。するとこれは、上の三角を上部構造として、下三角は文化のdialectique(弁証法)を表すのだ。

さて文化の有様の共時性をみせる図式を小筆はかつて発表している。
文化の三角形である。

文化を取り囲む「非周期性」の罠。文化が存立する唯一の帯域は、両側(非周期性)から隔離した周期性のある場のみ(2019年9月25日投稿)

すると、上図の文化三角形は文化の基盤を共時性として分析し、
文化の2重三角形の図はそれを経時性として表現したものとされる。

2の図は対となり文化を説明しているーと理解するに至った訳です。

本投稿はアビ女の神話を切り口にして、神話が文化をいかに語るかを焦点にとります。
続く

追記:(私事なので時間のゆとりある方のみに)
一昨週土曜(2月29日)浅川土手を自転車にて移動中、思わぬ寒風に真向かいから遭遇しすっかり喉をやられた。医院に行けば薬を処方してもらえるが、安部首相メッセージ「不要不急の外出を控える」を遵守して、間に合わせの売薬で凌いでいた。幸い、流行感冒症状の高熱3日、肺不全は出現せず本日、机に向かえるまでに回復した。メッセージ遵守としたが、時期だけに大騒ぎされても困ってしまうが本音である。引きこもり、内向性向が正しかったかは分からぬが、平素は(小筆は扁桃腺持ちなので寒風には弱い)3~4日で復調が8日を費やした。これまで通りの投稿頻度を確保したく、目はスクリーンに固定し飴を喉、キー打ちに励む。


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