表題8回目の投稿(4月27日)
ネットは便利な道具で、メルロポンティが指摘したとおり「ビット」を媒介してくれる。前投稿で論じた旧石器が作成される確立(420万回に一回)は、これまででは計算機をアトム的に引き出して2を基数にとってこれをイチニサンシと数えながら22回累乗していたが、ネットのサイトではワンクリックでビットが答えてくれる。
420万は卓上の計算機でも答えるがシェークスピア、ハムレットの有名な一節;
To be or not to be (生きているのか死んでいるか、原文ではこれが問題だと続く)を弾き出すにはどれほどの確立なのかを計算していただいた。
条件としてアルファベットキーの選択は26通り、この一節はスペースを入れて18の語でできているので18回叩く。ここでいまだに構造主義を理解していない猿に出場を願う。猿はTo be …の成句を知らない。しかしナントカ努力してこの成句をタイプで打ち出して貰いたい。一匹では頼りないので一万匹をタイプの前に座らせて、パチパチと叩かせる。18回叩いて紙をソートしたらバナナを一本やる。これくらいのサービスを施さないと直に飽きてパニック(猿らっきょうとも伝わる)に陥る。一日で一匹100回の成文を作るのがノルマ。すると猿軍団は一日に1万枚のタイプ紙を叩く。これを1年続ける、休日も必要だから290日働き290万枚の紙が仕上がる。頼もしいな!
監督官のK氏が調べると「To be or」が出てきた、「猿だってやるじゃないか」とにんまり、しかしその後が「Tu es fou」となって訳が分からなくなった。(ネタを明かすと左記はフランス語で、お前はバカ、K氏はフランス語を知らないから怒らなかった)
こんな1年を幾歳重ねたら、猿シェークスピアが生まれるのか。26を18乗すると2.9に0が26続く組み合わせがあるとサイトが答えている。一年290万枚でやって10京年 (1に0が18桁連なる)経過すればTo be…が一枚だけできる、これは確立です。たとえ短い一節であろうと、頭に思想を持ってない猿では10京年かかる例です。
より複雑な例として芭蕉を取り上げると;
♪古池や蛙とびこむ水の音♪
猿に打たせるとして和文タイプの前に1万匹座らせた。見慣れぬキーボードに猿共は戸惑うが、バナナの誘惑には勝てず17回ひたすら叩く。しかし監督官のK氏の顔色は冴えない、すでにこれを10年やっているから、バナナ切れを起こしてきた。けれど一向に猿芭蕉が現れないのだ。そこでネットで計算させた。基数は17(俳句の字数)、指数は50(イロハニホヘト…)エイヤとクリックしたら数字が並んで最後にE+61とあるが、何が何だか分からない。きっとサイトのコンピュータでも放りなげる、とてつもない低い数字なのだろう。これでは♪古池…でなくとも♪旅にやんで…だって永遠に猿はモノにできない。シェークスピアに化けられなかった猿は、宇宙が終わるまで頑張っても、芭蕉には成れないが証明された。頭に思想を持たない猿の完敗である。
しかし友人のK氏が投稿子にクレームをつけてきた。「猿芭蕉の例は極端すぎる。メルロポンティは知覚が領域から信号を拾うのだから、芭蕉の頭に思想(表象)が備わって無くとも、芸術家としての知覚を発動すれば♪古池…の俳句はできる」と。K氏は構造主義に批判的らしい。
そこで投稿子は「古池の俳句を字数ではなく語数でとらえ、各語においての選択肢の数を推察する」を考えた。すなわち猿とヒトを比べるのではなく、知覚と表象を比べる。
この17字の俳句にはフルイケ、ヤ、カワズなど7の語が含まれる。目の前の「フルイケ」を芭蕉が選ぶときに、彼の知覚はミズタマリ、オオイケ、アライケ、ヤマノイケ、モリノカゲなどを選択する過程があり得た。見たものはカエル、それ故にカワズの代わりにトノサマ、ガマ、カジカ、ドングリを捻ったかもしれない。単純化して各語に6通りの代替語を知覚が教えたとすると、その可能性は11万7千の組み合わせとなる。芭蕉がひっそりの池、蛙ポッチャンの世界を目にしてその状景は
♪ミズタマリトノサマカエルガポッチャンミナゲ♪
だったかも知れない。しかし芭蕉の感興は、11万7千の可能性なかで他の可能性を一切排した♪古池…であり、他ではない。11万7千の組み合わせを知覚で吟味して抜き取った状況ではなく、そもそも頭のなかに表象として漂っている芭蕉の芸術を17字にしたものだと思う。
「池、蛙、静かな環境」などの見えている物、それが存在で、芭蕉の信念「静けさ、自然の永久性、自然との協和」これらが思想とすれば、存在と思想の二重性の対照としての俳句が浮かび上がります。♪古池…は自然の中にあったのではなく、芭蕉の心にあったわけです。
これまで構造主義の由来を考えてきましたが、次回からは悲しき熱帯TristesTropiquesにおいての構造主義の展開を述べます。乞うご期待!
(これまでの出稿4月5,6,8,10,13,16,25日、次回予定は5月1日)
ネットは便利な道具で、メルロポンティが指摘したとおり「ビット」を媒介してくれる。前投稿で論じた旧石器が作成される確立(420万回に一回)は、これまででは計算機をアトム的に引き出して2を基数にとってこれをイチニサンシと数えながら22回累乗していたが、ネットのサイトではワンクリックでビットが答えてくれる。
420万は卓上の計算機でも答えるがシェークスピア、ハムレットの有名な一節;
To be or not to be (生きているのか死んでいるか、原文ではこれが問題だと続く)を弾き出すにはどれほどの確立なのかを計算していただいた。
条件としてアルファベットキーの選択は26通り、この一節はスペースを入れて18の語でできているので18回叩く。ここでいまだに構造主義を理解していない猿に出場を願う。猿はTo be …の成句を知らない。しかしナントカ努力してこの成句をタイプで打ち出して貰いたい。一匹では頼りないので一万匹をタイプの前に座らせて、パチパチと叩かせる。18回叩いて紙をソートしたらバナナを一本やる。これくらいのサービスを施さないと直に飽きてパニック(猿らっきょうとも伝わる)に陥る。一日で一匹100回の成文を作るのがノルマ。すると猿軍団は一日に1万枚のタイプ紙を叩く。これを1年続ける、休日も必要だから290日働き290万枚の紙が仕上がる。頼もしいな!
監督官のK氏が調べると「To be or」が出てきた、「猿だってやるじゃないか」とにんまり、しかしその後が「Tu es fou」となって訳が分からなくなった。(ネタを明かすと左記はフランス語で、お前はバカ、K氏はフランス語を知らないから怒らなかった)
こんな1年を幾歳重ねたら、猿シェークスピアが生まれるのか。26を18乗すると2.9に0が26続く組み合わせがあるとサイトが答えている。一年290万枚でやって10京年 (1に0が18桁連なる)経過すればTo be…が一枚だけできる、これは確立です。たとえ短い一節であろうと、頭に思想を持ってない猿では10京年かかる例です。
より複雑な例として芭蕉を取り上げると;
♪古池や蛙とびこむ水の音♪
猿に打たせるとして和文タイプの前に1万匹座らせた。見慣れぬキーボードに猿共は戸惑うが、バナナの誘惑には勝てず17回ひたすら叩く。しかし監督官のK氏の顔色は冴えない、すでにこれを10年やっているから、バナナ切れを起こしてきた。けれど一向に猿芭蕉が現れないのだ。そこでネットで計算させた。基数は17(俳句の字数)、指数は50(イロハニホヘト…)エイヤとクリックしたら数字が並んで最後にE+61とあるが、何が何だか分からない。きっとサイトのコンピュータでも放りなげる、とてつもない低い数字なのだろう。これでは♪古池…でなくとも♪旅にやんで…だって永遠に猿はモノにできない。シェークスピアに化けられなかった猿は、宇宙が終わるまで頑張っても、芭蕉には成れないが証明された。頭に思想を持たない猿の完敗である。
しかし友人のK氏が投稿子にクレームをつけてきた。「猿芭蕉の例は極端すぎる。メルロポンティは知覚が領域から信号を拾うのだから、芭蕉の頭に思想(表象)が備わって無くとも、芸術家としての知覚を発動すれば♪古池…の俳句はできる」と。K氏は構造主義に批判的らしい。
そこで投稿子は「古池の俳句を字数ではなく語数でとらえ、各語においての選択肢の数を推察する」を考えた。すなわち猿とヒトを比べるのではなく、知覚と表象を比べる。
この17字の俳句にはフルイケ、ヤ、カワズなど7の語が含まれる。目の前の「フルイケ」を芭蕉が選ぶときに、彼の知覚はミズタマリ、オオイケ、アライケ、ヤマノイケ、モリノカゲなどを選択する過程があり得た。見たものはカエル、それ故にカワズの代わりにトノサマ、ガマ、カジカ、ドングリを捻ったかもしれない。単純化して各語に6通りの代替語を知覚が教えたとすると、その可能性は11万7千の組み合わせとなる。芭蕉がひっそりの池、蛙ポッチャンの世界を目にしてその状景は
♪ミズタマリトノサマカエルガポッチャンミナゲ♪
だったかも知れない。しかし芭蕉の感興は、11万7千の可能性なかで他の可能性を一切排した♪古池…であり、他ではない。11万7千の組み合わせを知覚で吟味して抜き取った状況ではなく、そもそも頭のなかに表象として漂っている芭蕉の芸術を17字にしたものだと思う。
「池、蛙、静かな環境」などの見えている物、それが存在で、芭蕉の信念「静けさ、自然の永久性、自然との協和」これらが思想とすれば、存在と思想の二重性の対照としての俳句が浮かび上がります。♪古池…は自然の中にあったのではなく、芭蕉の心にあったわけです。
これまで構造主義の由来を考えてきましたが、次回からは悲しき熱帯TristesTropiquesにおいての構造主義の展開を述べます。乞うご期待!
(これまでの出稿4月5,6,8,10,13,16,25日、次回予定は5月1日)
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