西王母図小柄 加納夏雄
西王母図小柄 加納夏雄
古代中国の仙人の中でも最高位の女仙、西王母(さいおうぼ)の優しい姿を描いた作品。作者は、幕末から明治にかけて活躍した名工加納夏雄(かのうなつお)。長常に私淑した夏雄は、長常の下絵帳などの資料を収集し、その技術をさらに進化させて華麗な作品を生み、江戸時代の工芸を近代芸術へと導いたのである。
この小柄は、赤銅の漆黒、鮮やかな金、明るい銀などの色金を活かすため、中間色に当たる褐色味の強い朧銀地を下地とし、表面を磨地に仕上げ、平象嵌の面の上にさらに平象嵌による面と片切彫の線を組み合わせるという複雑な技法を駆使したもの。西王母が清楚に立つ姿は輪郭が強弱変化のある片切彫で捉え、赤銅、素銅、銀の平象嵌で主体を描いている。髪の毛や衣服の皺は平象嵌の上に片切彫で表わし、要所に三角鏨を打ち施し、また、強弱変化のある三角鏨を地叢状に加えて雲の湧き立つ様子に独特の動きを与えている。裏板は片切彫による籠と、わずかに色を違えた二色の金と素銅の平象嵌の組み合わせによる蟠桃(ばんとう)。
古代中国の仙人西王母が管理する蟠桃を食べると三千年生きるといわれている。歴代の皇帝はこれを求めたように、不老長寿への憧れが強く意識された図であることがわかる。
西王母図小柄 加納夏雄
古代中国の仙人の中でも最高位の女仙、西王母(さいおうぼ)の優しい姿を描いた作品。作者は、幕末から明治にかけて活躍した名工加納夏雄(かのうなつお)。長常に私淑した夏雄は、長常の下絵帳などの資料を収集し、その技術をさらに進化させて華麗な作品を生み、江戸時代の工芸を近代芸術へと導いたのである。
この小柄は、赤銅の漆黒、鮮やかな金、明るい銀などの色金を活かすため、中間色に当たる褐色味の強い朧銀地を下地とし、表面を磨地に仕上げ、平象嵌の面の上にさらに平象嵌による面と片切彫の線を組み合わせるという複雑な技法を駆使したもの。西王母が清楚に立つ姿は輪郭が強弱変化のある片切彫で捉え、赤銅、素銅、銀の平象嵌で主体を描いている。髪の毛や衣服の皺は平象嵌の上に片切彫で表わし、要所に三角鏨を打ち施し、また、強弱変化のある三角鏨を地叢状に加えて雲の湧き立つ様子に独特の動きを与えている。裏板は片切彫による籠と、わずかに色を違えた二色の金と素銅の平象嵌の組み合わせによる蟠桃(ばんとう)。
古代中国の仙人西王母が管理する蟠桃を食べると三千年生きるといわれている。歴代の皇帝はこれを求めたように、不老長寿への憧れが強く意識された図であることがわかる。