田舎家春秋図鐔 加納夏雄
田舎家春秋図鐔 甲子仲夏於東都造夏雄(花押)
表裏異なった素材を用い、明暗を強く印象付ける作風を昼夜(ちゅうや)造りと呼んでいる。言葉通りに昼と夜を意味する場合もあるが、春秋のように季節の違いを表現した例もある。この鐔では、その両者を、即ち、まだ梅も蕾の早春の夜の様子を鉄地高彫として三日月のみ金象嵌で表現し、生い茂る秋草を朧銀地に片切彫平象嵌で明るい空間として表わしている。鉄地と朧銀地を表裏鍛着した鐔である。空を大きくとって田舎家の藁葺き屋根の一部をわずかに表わすという大胆な図は、自然や風物を自由に切り取って再構成するという夏雄の得意としたもの。草花の咲き茂る様子も、片切彫と毛彫を組み合わせて太く細くと彫り重ね、色絵は金と銀のみながら様々な色が想像される。夏雄の技術が鮮やかに示された作品である。
田舎家春秋図鐔 甲子仲夏於東都造夏雄(花押)
表裏異なった素材を用い、明暗を強く印象付ける作風を昼夜(ちゅうや)造りと呼んでいる。言葉通りに昼と夜を意味する場合もあるが、春秋のように季節の違いを表現した例もある。この鐔では、その両者を、即ち、まだ梅も蕾の早春の夜の様子を鉄地高彫として三日月のみ金象嵌で表現し、生い茂る秋草を朧銀地に片切彫平象嵌で明るい空間として表わしている。鉄地と朧銀地を表裏鍛着した鐔である。空を大きくとって田舎家の藁葺き屋根の一部をわずかに表わすという大胆な図は、自然や風物を自由に切り取って再構成するという夏雄の得意としたもの。草花の咲き茂る様子も、片切彫と毛彫を組み合わせて太く細くと彫り重ね、色絵は金と銀のみながら様々な色が想像される。夏雄の技術が鮮やかに示された作品である。