筒井筒図縁頭 加納夏雄
筒井筒図縁頭 辛酉冬日夏雄
我が国の古典文学の一、『伊勢物語』の『筒井筒』に取材した、夏雄の縁頭を紹介する。
つついづつ井筒にかけしまろがたけ
過ぎにけらしな妹見ざるまに
くらべこし振り分け髪も肩過ぎぬ
君ならずしてたれかあぐべき
この歌を素材に能『井筒』を生み出した世阿弥は、主人公を在原業平とその妻である紀有常の娘に定め、両者に交わされた細やかな愛情を、有常の娘の霊が思い浮かべるという筋立てとしている。
夏雄は幼い頃の記憶の中の一場面を採り、ほのぼのとした空間構成としている。しかし、素材は極上質の赤銅地を微細な石目地に仕上げ、薄肉彫ながら立体的で奥行き感のある図とし、衣服には得意とした金の平象嵌による繊細な文様を加えて華やかに描き出している。夏雄らしい演出である。
筒井筒図縁頭 辛酉冬日夏雄
我が国の古典文学の一、『伊勢物語』の『筒井筒』に取材した、夏雄の縁頭を紹介する。
つついづつ井筒にかけしまろがたけ
過ぎにけらしな妹見ざるまに
くらべこし振り分け髪も肩過ぎぬ
君ならずしてたれかあぐべき
この歌を素材に能『井筒』を生み出した世阿弥は、主人公を在原業平とその妻である紀有常の娘に定め、両者に交わされた細やかな愛情を、有常の娘の霊が思い浮かべるという筋立てとしている。
夏雄は幼い頃の記憶の中の一場面を採り、ほのぼのとした空間構成としている。しかし、素材は極上質の赤銅地を微細な石目地に仕上げ、薄肉彫ながら立体的で奥行き感のある図とし、衣服には得意とした金の平象嵌による繊細な文様を加えて華やかに描き出している。夏雄らしい演出である。