鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

糸巻に唐花透図鐔 古正阿弥

2010-08-01 | 
糸巻に唐花透図鐔 古正阿弥


糸巻に唐花透図鐔 無銘古正阿弥



 古典的な優雅な風合いを漂わせる作例。鉄の下鍛えも強みがあり、鍛得た鎚の痕跡が残る肌も鑑賞の要点。
 唐花は唐草と同様、シルクロードを経て伝来した文様の一つで、古い時代の貴族が用いた太刀拵などの装飾模様として知られている。これを戦国時代の刀の装飾に採るのだから、何とも洒落ている。実は、鎌倉時代を経て以降の太刀金具にはこの趣の文様があり、美観優れているところから、時代を超えて好まれたものと推測される。もちろん江戸時代に入ってからも、同種の文様は多々見られる。美しい構成の作である。□