鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

唐草に文散図鍔 和泉守直正 Naomasa Tsuba

2014-07-09 | 鍔の歴史
唐草に文散図鍔 和泉守直正小池与四郎


唐草に文散図鍔 銘和泉守直正小池与四郎

 平安城象嵌の流れを汲む手法で、鉄地板鐔の全面に唐草を真鍮象嵌し、その隙間に家紋のような別造の真鍮地の文を象嵌した鐔。作者は、この種の鐔では最も良く知られ、在銘作品があることにより、この種の鐔を「与四郎鐔」と呼ぶほどに有名な和泉守直正小池与四郎。前回の唐草文鐔と、この種の鐔とではどちらが古いのかというと、ちょっと分らないが、流れとしては唐草文の完成度が高まった後に別の文様表現が加わったであろうと考えるが、実は前回の鐔の方が新しいのかもしれない。さて、この鐔には、別造りの透かし文がある。これによって欄間透かしなどとも呼ばれることがある。真鍮線象嵌ではなく、完全に透かした部分に別の文を嵌め込むという手法を採っており、新しさが確認されよう。小池与四郎は、鐙などに平象嵌を施した工の出である。73ミリ。