達磨図鍔 金家
達磨図鍔 銘山城國伏見住金家
金家はいくつかの達磨図を遺している。いずれも風貌を異にしている。これについて誰も疑問を抱かないのだろうか。丸顔ででっぷりとした様子、細身の小柄な体躯、ごつい顔立ち、品のある顔つきなど。金家はいろいろな達磨を表現しようと考えたのだろうか。そこまで風貌を違える必要はなかろうと、普通に考える。金家の作品は画題が問題ではないんだよ、と言われればそれまでだが。金家は鍔に同時代の風景や事物を描き込んだことでも良く知られている。年紀がないことから、描かれた場面がいつのものなのか不明である点が惜しい。それが故に製作年代を特定する試みも行われている。それはそれで面白い。とすると、描かれている達磨なる人物は、実は同時代を生きた実在の僧ではないだろうかと考えたくもなる。あるいは羅漢図。それであれば多様な顔つきがあってもよいのだが、どうだろう。
さて、金家の特徴として良く知られているのが、共鉄象嵌の手法である。鉄地の地面を鋤き込み、高彫した鉄地の塑像をそこに象嵌し、表面を巧みに処理して自然な肌合いに仕上げている。錆び込みの微妙な違いで象嵌の境い目に筋が見えることがあり、これによって共金象嵌であることが想像され、レントゲン撮影によって実証された。鋤き込んだ部分が、ごくごく微妙なくぼみであることは、地の薄さでも理解できよう。わずか1ミリほどの地面に象嵌するのだから、しかも扱い難い鉄地の処理である、高い技術をそこに見ることができる。
達磨図鍔 銘山城國伏見住金家
金家はいくつかの達磨図を遺している。いずれも風貌を異にしている。これについて誰も疑問を抱かないのだろうか。丸顔ででっぷりとした様子、細身の小柄な体躯、ごつい顔立ち、品のある顔つきなど。金家はいろいろな達磨を表現しようと考えたのだろうか。そこまで風貌を違える必要はなかろうと、普通に考える。金家の作品は画題が問題ではないんだよ、と言われればそれまでだが。金家は鍔に同時代の風景や事物を描き込んだことでも良く知られている。年紀がないことから、描かれた場面がいつのものなのか不明である点が惜しい。それが故に製作年代を特定する試みも行われている。それはそれで面白い。とすると、描かれている達磨なる人物は、実は同時代を生きた実在の僧ではないだろうかと考えたくもなる。あるいは羅漢図。それであれば多様な顔つきがあってもよいのだが、どうだろう。
さて、金家の特徴として良く知られているのが、共鉄象嵌の手法である。鉄地の地面を鋤き込み、高彫した鉄地の塑像をそこに象嵌し、表面を巧みに処理して自然な肌合いに仕上げている。錆び込みの微妙な違いで象嵌の境い目に筋が見えることがあり、これによって共金象嵌であることが想像され、レントゲン撮影によって実証された。鋤き込んだ部分が、ごくごく微妙なくぼみであることは、地の薄さでも理解できよう。わずか1ミリほどの地面に象嵌するのだから、しかも扱い難い鉄地の処理である、高い技術をそこに見ることができる。