鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

提灯揚げ図小柄 Kozuka

2013-03-05 | 小柄
提灯揚げ図小柄


提灯揚げ図小柄

 輪違の家紋であろう。商家であろうか、誇らしげに高々と掲げたその様子が窺える。看板と同様に提灯は、近代に盛んにネオンサインなどが用いられたように富の象徴でもあった。人物に比較して大きく描いた様子にも、富裕なる商人の意識が窺いとれる。時代の風俗が描かれた面白い図柄である。


眼鏡図小柄 Kozuka

2013-03-04 | 小柄
眼鏡図小柄


眼鏡図小柄

 老婆が何やら短冊を見ているのだが、その手には眼鏡がある。レンズの渡来は室町時代だと言われており、他の器具や武器と同様に渡来と同時に我が国でも製作が始まったとみえ、江戸時代初期には既にかなり眼鏡が流通していたようだ。それが精密な機器の製作や装剣小道具などの金工作品を生み出す背景になったとも考えられる。素銅地を肉合彫にし、赤銅と金の色絵。

岩茸採り図小柄 高随 Takayuki Kozuka

2013-03-02 | 小柄
岩茸採り図小柄 高随


岩茸採り図小柄 銘 高随

 岩茸は湿った岩場に自生する地衣類で、独特の食感があるため、古くから美食家の間で人気のある食物であったが、さて、採取するとなると険しい場所に生えており、しかも容易には成長しないことから、収穫量は極めて少なく、自ずと人の入らない危険な場所での採取となる。そのため滑落死があとを絶たなかったという。この小柄は、死をも恐れぬ岩茸採りが、吊り籠という手段をとっている面白い姿が再現されている作。