鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

宝尽し図鐔 古赤坂 Akasaka Tsuba

2020-10-06 | 鍔の歴史
宝尽し図鐔 古赤坂


宝尽し図鐔 古赤坂

 宝尽と呼ばれる文様は、鍵、打ち出の小槌、分銅、丁子、隠れ蓑、宝袋などを組み合わせたもので、現世での福徳を求める思想が背景にある。耳と切羽台を文様で繋ぐ図柄は尾張や金山など古くからあり、この鐔は、その変化形で、赤坂鐔工の求めた新趣の構成といえよう。洒落た空間構成が魅力だ。十文字と各要素の巴状の構成もいい。

梅花図鐔 古赤坂 Akasaka Tsuba

2020-10-05 | 鍔の歴史
梅花図鐔 古赤坂


梅花図鐔 古赤坂

 赤坂鐔の評価で良く言われるのが「粋」という感覚を漂わせていること。だが粋の言葉は江戸時代も降ってのものだから、初代の頃にはこれを粋とは言わなかったろうなと思う。古赤坂の作風はどことなく武骨な風合いが強く、次第に図柄の種類も増えていく。独島の透かしで恰好がいいから大いに流行したと思われる。赤坂鐔工のような洒落た風合いを漂わせる文様化が、江戸の文化を造っていったことは間違いない。この鐔は時代の上がる風合いが濃密だが、なんとなく粋へと変質していくように感じられる。

松竹梅図鐔 古赤坂 Akasaka Tsuba

2020-10-03 | 鍔の歴史
松竹梅図鐔 古赤坂


松竹梅図鐔 古赤坂

 松竹梅もお目出たい席で好まれている。図の下方に構成されているのが良くわからない。赤坂鐔による主題の草体化は独特で、時に分かりにくいものがある。これなどがその典型で、松竹梅が冬の植物として採られているのであれば雪、長寿にかかわるものと捉えられているのであれば霊芝(キノコ)であろうか。ちょっと面白い文様である。

蓬莱図鐔 古赤坂 Akasaka Tsuba

2020-10-02 | 鍔の歴史
蓬莱図鐔 古赤坂


蓬莱図鐔 古赤坂

 高砂にも通じるのだが、お正月やお目出たい席で好まれたのが蓬莱飾りだ。長命を願って松、竹、鶴、亀などが描かれる。耳と切羽台を図柄で繋ぐ手法は、古正阿弥や金山、尾張など古くから透かし鐔の文様表現として存在する。例えば家紋、扇、雁金などで耳と切羽台を繋ぐ図が多いのだが、赤坂鐔工は、このような洒落た陰影で表現した。