「酔漢先輩。引越しの荷物も片付いた事ですし、一度遊びに来てくださいよ」
「行ってもいいよ。でも、酒くらいあるんだろうな?」
なんとも意地悪な返事です。
ですが、彼は僕のお酒の一番の犠牲者なんです。
例の「気の抜けたコーラにヨードチンキを垂らしたような味」
と、ラフロイグの感想を語りましたのは、彼でございます。彼独身です。
「酔漢先輩も独身の頃、一人暮らしだったんですよね?」
「そうだけど、料理は気にならないから、いろいろ肴を作っては、一人でのんでたなぁ」
「だいぶ呑んでたんですか?」
「その頃には、スコッチにはまって。まぁウィスキーはもとから好きだったけど、給料の三分の一は、酒代だった」
こんな会話をお昼にしまして、次の休み、彼のアパートへ。
「おぉ、いるかぁー」
「あっ先輩今開けます」
こぎれいな、ワンルーム。
「お前にしては、きれいにしてるじゃないか」
「たまたまですよ」
「酒はあるっていうから、とりあえずお前さんの好物買ってきたゾ」
と酔漢は、ケンタッキーフライドチキンを見せました。
「酔漢先輩。バーボンは呑みます?」
「お前がバーボン?急に台風が来そうだな」(まったくもってよいお天気)
こいつなんです。
「『アーリータイムズ』じゃないか」
「嫌いですか?」
「まぁ、呑める酒だぁ」(結構尻尾振っております・・)
「でもな。これを巷と同じように『バーボン』と呼んだら、こいつがかわいそうだぞ」
「どうしてですか?バーボンじゃないんですか?」
「アメリカの法律上は『バーボン』だけど(原料の51%がとうもろこし。度数80度以下で蒸留。内側を焦がした新オーク樽で2年以上熟成)ここのラベルになんて書いてる?」
「『ケンタッキー』とかいてますよね」
「そう、こいつは『ケンタッキー』と呼ばれたいのさ」
この「アーリータイムズ」も結構複雑な歴史をもったお酒なのでした。
「アーリータイムズ」とは、村の名前。ケンタッキー州・バーボン郡・アーリータイムズ村。これが、正式名称です。
やはり、スコットランドから移住してきた人達によって誕生しました。
南北戦争の前年1860年の頃です。
「やっぱし、おらほの酒ば、呑みてぇなや」と、麦の変わりにとうもろこし。ピートがないから「樽ば焦がしてみっぺ」とできましたバーボンです。
「なんだか、こいづはうめぇっちゃ」と広まりましたが、禁酒法の制定です。
「密造すっか?」
「お上に逆らうと、いいことねぇべさ。いい方法ねぇかや」
ということで。
「こいづは、『酒』でねぇぐて、『薬』で売ったらいいんでねぇか!」
と、なんとか、禁酒法の網の目を逃れることが出来た。と思いきや、蒸留所は閉鎖に追い込まれます。
ところが。
「おらほが何とかすっぺし」
と、手を挙げてくれましたのが「オールドフォレスター」を作っていた会社「ブラウンフォーマン社」でした。
この会社が事実上「アーリータイムズ社」を買収し、現在にも至っているわけです
「先輩、『ケンタッキー』って酒。あんのすか?」
「そう、呼んでいるのもいるし。そうでない奴もいるが、俺は『ケンタッキー』でいいと思うんだよね」
「以前、『ジャックダニエル』もバーボンでないと聞きましたが?」
「あれこそ『バーボン』というのは全く間違い。作り方(熟成方法など)が違うしあれは列記とした『テネシーウィスキー』だよ」
酒が進んできました。奴さん、一人暮らしで競馬好き。(酔漢は、やりませんが)
「ケンタッキーダービーくらい聞いた事あるだろ」
「先輩から、競馬の話ですか?なんでまた」
「だってさぁ『ケンタッキーフライドチキン』喰いながら『アーリータイムズ』呑んでいるわけでしょ。そしたら、ケンタッキーもう一つ?欲しくなるじゃない」
「聞いたことはありますが、ピンときませんね」
「五月の第一土曜にそのダービーは開催される。三歳馬のサラブレッドの王座決定戦みたいなもんだ。2週間のお祭り騒ぎだって。で、その会場で世界で一番多く呑まれるカクテルがあるのも、知らないだろうな。。」
「カクテル?それが名物なんですか?フライドチキンじゃないんですか?」
「これは、俺もマネして作ったことがある。『ミントジュレップ』っていうんだけどな」
「どんな味ですか」
「バーボンベースのカクテルさ。クラッシュドアイスたっぷりにしてな、ミントの香りとバーボンの香り、そして何よりも、強い!」
「強い?」
「ああ、強い。ミントにだまされて、いい気になって呑んでると、やられる」
「こいつがダービー祭り開催期間中10万杯も出るんだ」
「本当に、名物なんですね」
「おい。今気づいた。もう酒ねぇぞ。あるのか?」
いい気になって呑んでおりましたのは、酔漢でございました・・
「お前、俺が買ってくる酒が『あやしい』って思ったんだろう?」
「だって、この前の酒も凄い味したもんで・・」
「次はもっと凄い味のする奴買って来よう!決めたゾ!」
へへへ次は「カリラ」買っていくもんね。アイラアイラだぞ!
このアーリータイムズでございますが、ラベルの色で2種類、味が違っております。
「ブラウンラベル」と「イエローラベル」です。
呑むんだったら「イエローラベル」
「ブラウン」は日本向け用なのです。とうもろこしが少し少なめで作られております。
「ミントジュレップ」は「イエロー」のほうが、断然旨い!
そしてもう一言。
「ミントジュレップ」はレシピは簡単なのですが、ミントのこだわりとかあるバーテンさんですと、より美味しいですし、お店、お店で味が相当変わります。
花火を見ながら、「ミントジュレップ」 いいですよ。
本日のお話も宮城とは関係ないので、ケンタッキーにお住まいの方々には申し訳ございませんが、宮城語で語ってもらいました。
あれ?酔漢さんは?
今日はいつもの、神奈川語で語りました・・じゃん?
「行ってもいいよ。でも、酒くらいあるんだろうな?」
なんとも意地悪な返事です。
ですが、彼は僕のお酒の一番の犠牲者なんです。
例の「気の抜けたコーラにヨードチンキを垂らしたような味」
と、ラフロイグの感想を語りましたのは、彼でございます。彼独身です。
「酔漢先輩も独身の頃、一人暮らしだったんですよね?」
「そうだけど、料理は気にならないから、いろいろ肴を作っては、一人でのんでたなぁ」
「だいぶ呑んでたんですか?」
「その頃には、スコッチにはまって。まぁウィスキーはもとから好きだったけど、給料の三分の一は、酒代だった」
こんな会話をお昼にしまして、次の休み、彼のアパートへ。
「おぉ、いるかぁー」
「あっ先輩今開けます」
こぎれいな、ワンルーム。
「お前にしては、きれいにしてるじゃないか」
「たまたまですよ」
「酒はあるっていうから、とりあえずお前さんの好物買ってきたゾ」
と酔漢は、ケンタッキーフライドチキンを見せました。
「酔漢先輩。バーボンは呑みます?」
「お前がバーボン?急に台風が来そうだな」(まったくもってよいお天気)
こいつなんです。
「『アーリータイムズ』じゃないか」
「嫌いですか?」
「まぁ、呑める酒だぁ」(結構尻尾振っております・・)
「でもな。これを巷と同じように『バーボン』と呼んだら、こいつがかわいそうだぞ」
「どうしてですか?バーボンじゃないんですか?」
「アメリカの法律上は『バーボン』だけど(原料の51%がとうもろこし。度数80度以下で蒸留。内側を焦がした新オーク樽で2年以上熟成)ここのラベルになんて書いてる?」
「『ケンタッキー』とかいてますよね」
「そう、こいつは『ケンタッキー』と呼ばれたいのさ」
この「アーリータイムズ」も結構複雑な歴史をもったお酒なのでした。
「アーリータイムズ」とは、村の名前。ケンタッキー州・バーボン郡・アーリータイムズ村。これが、正式名称です。
やはり、スコットランドから移住してきた人達によって誕生しました。
南北戦争の前年1860年の頃です。
「やっぱし、おらほの酒ば、呑みてぇなや」と、麦の変わりにとうもろこし。ピートがないから「樽ば焦がしてみっぺ」とできましたバーボンです。
「なんだか、こいづはうめぇっちゃ」と広まりましたが、禁酒法の制定です。
「密造すっか?」
「お上に逆らうと、いいことねぇべさ。いい方法ねぇかや」
ということで。
「こいづは、『酒』でねぇぐて、『薬』で売ったらいいんでねぇか!」
と、なんとか、禁酒法の網の目を逃れることが出来た。と思いきや、蒸留所は閉鎖に追い込まれます。
ところが。
「おらほが何とかすっぺし」
と、手を挙げてくれましたのが「オールドフォレスター」を作っていた会社「ブラウンフォーマン社」でした。
この会社が事実上「アーリータイムズ社」を買収し、現在にも至っているわけです
「先輩、『ケンタッキー』って酒。あんのすか?」
「そう、呼んでいるのもいるし。そうでない奴もいるが、俺は『ケンタッキー』でいいと思うんだよね」
「以前、『ジャックダニエル』もバーボンでないと聞きましたが?」
「あれこそ『バーボン』というのは全く間違い。作り方(熟成方法など)が違うしあれは列記とした『テネシーウィスキー』だよ」
酒が進んできました。奴さん、一人暮らしで競馬好き。(酔漢は、やりませんが)
「ケンタッキーダービーくらい聞いた事あるだろ」
「先輩から、競馬の話ですか?なんでまた」
「だってさぁ『ケンタッキーフライドチキン』喰いながら『アーリータイムズ』呑んでいるわけでしょ。そしたら、ケンタッキーもう一つ?欲しくなるじゃない」
「聞いたことはありますが、ピンときませんね」
「五月の第一土曜にそのダービーは開催される。三歳馬のサラブレッドの王座決定戦みたいなもんだ。2週間のお祭り騒ぎだって。で、その会場で世界で一番多く呑まれるカクテルがあるのも、知らないだろうな。。」
「カクテル?それが名物なんですか?フライドチキンじゃないんですか?」
「これは、俺もマネして作ったことがある。『ミントジュレップ』っていうんだけどな」
「どんな味ですか」
「バーボンベースのカクテルさ。クラッシュドアイスたっぷりにしてな、ミントの香りとバーボンの香り、そして何よりも、強い!」
「強い?」
「ああ、強い。ミントにだまされて、いい気になって呑んでると、やられる」
「こいつがダービー祭り開催期間中10万杯も出るんだ」
「本当に、名物なんですね」
「おい。今気づいた。もう酒ねぇぞ。あるのか?」
いい気になって呑んでおりましたのは、酔漢でございました・・
「お前、俺が買ってくる酒が『あやしい』って思ったんだろう?」
「だって、この前の酒も凄い味したもんで・・」
「次はもっと凄い味のする奴買って来よう!決めたゾ!」
へへへ次は「カリラ」買っていくもんね。アイラアイラだぞ!
このアーリータイムズでございますが、ラベルの色で2種類、味が違っております。
「ブラウンラベル」と「イエローラベル」です。
呑むんだったら「イエローラベル」
「ブラウン」は日本向け用なのです。とうもろこしが少し少なめで作られております。
「ミントジュレップ」は「イエロー」のほうが、断然旨い!
そしてもう一言。
「ミントジュレップ」はレシピは簡単なのですが、ミントのこだわりとかあるバーテンさんですと、より美味しいですし、お店、お店で味が相当変わります。
花火を見ながら、「ミントジュレップ」 いいですよ。
本日のお話も宮城とは関係ないので、ケンタッキーにお住まいの方々には申し訳ございませんが、宮城語で語ってもらいました。
あれ?酔漢さんは?
今日はいつもの、神奈川語で語りました・・じゃん?
僕ら、よく城の発泡ワインを「シャンパン」って言ってるけど、あれ、うるさいこと言うと「シャンパーニュ地方産の発泡白ワイン」しか「シャンパン」じゃないんだってね。
確かにドイツでも「シャンパーニュ地方産の発泡白ワイン」は「シャンパーニャー」(Champagner)だけど、それ以外の発泡白は「ゼクト」(Sekt)です
ドイツには「純粋令」という法律があります。1516年(今から五百年前、日本なら室町時代だよ)にバイエルンの殿様が「ビールの原料は麦芽とホップだけにせい」と言ったのが始り。この規定は現在のドイツ酒税法にもきっちり生きております。ドイツビールのラベルを見るっていうと、きっちり印刷してあるんだよ。>> Gebraut nach dem deutschen Reinheitsgebot << (ドイツ純粋令ニ従ヒテ醸造)って。もっと強力なのは、バイエルンのビール。deutschen(ドイツの)じゃなくてbaierischen(バイエルンの)ってなってます。
つまりどこだかの国やどこだかの国みたいに米だのコーンスターチだの混ぜたのはビールじゃないってこと。オトロシイですね!!
・・・なんてこと書いてたら、森鷗外の『独逸日記』に「三片酒」ってのが出てくることを思い出しました。勿論シャンペンのことです。でもこの三片酒、正しくシャンパンなのか、ただの発泡白ワインなのか、鷗外がどっちの意味で使ってたか興味ある所です。え?「鷗外先生に対して無礼であろうぞ」ですって?御手討ちばかりは平に御容赦を・・・
本題のバーボンからずれそうなので(激しくズレたか)、この辺りにしております。
「アーリータイムス」「ジャックダニエル」
「ターキー」昔よく呑んでましたね~
。名前は忘れてしまいましたが、一次スコッチにもはまりまして、いい酒はストレートじゃないと・・・なんて一丁前な口を利きながら、高級なスコッチを頂いてましたね~
若い頃は、シーバスリーガルが好きでよく飲んでましたね~ 今でこそ安いですが、当時は普通の酒屋でも1万円はしましたね。
私は海外に行くことが多く、その頃免税では、1800円で手に入りました。
だから飲めたのですね。
ウイスキーとは何ぞや?ということもロクにわかろうとせずに、ひたすら呑んどりました。
今は…ゆっくり、しんみりと。
松島とか野蒜あたりの海べり、奥新川の川べりとかでしたな。
金がないのでお店ではなかなか飲めないし、一応ばれるとマズイので、ちょっと遠隔地まで遠征してました。
たいがいレッドかホワイトでした。
一度、午前中に飲んで、午後から川内に出勤したことがあります。
元気だったよなー。というかムチャクチャ。
飲酒喫煙がバレた友人の一人は、教師との司法取引が成立して、生徒会会長をやらされていましたっけ。
丹治様
ドイツ内におけるバイエルンは、日本内における東北地方に、立場が似てませんかねー。
辺境の大領邦でありながら、国家の中での主導権は握れずじまい。
中核の都市が明確に存在しており、またある時代には、反動の発信源であり...
なんで、あの当時、ウィスキーは高かったのでしょうね?みんな(家の親父も)ありがたがって?呑んでおりました。
シーバスリーガルのメインはストラスアイラです。機会がありましたら、一度お試し下さい。
結構いけますよ。
「呑めればいい」とか「酔えればいい」とか
若い頃はお金もありませんしね・・
ゆっくり呑むのは、味がお解かりになられた証拠では?
さんざん呑みました「赤」「白」「鳥」「熊」があったからこそ、今の自分があるのは、間違いありません。
だって「髭」「角」「古」はその後ですし。
場所は本当に選ばなかったなぁ。
バイエルンの話はプロにお任せします。
私も勉強したいと思います。
やはりビールが美味しいのでしょうか?
どちらかと言えば、そっちの方が・・・
クロンシュタット様と同様。なんだかドイツ・独逸してまいりました。
いつか、ビールも語らなくてはなりませんか?
是非、ご教授を、お願いします!
でも確かにあってもおかしくありませんね(ない方が却って変か)。スコッチはスコットランドで作られたウィスキー(現地ではスコッツとかスコッティッシュとかいうそうですね)。アイルランドで作られたウィスキーはスコッチじゃなくてアイリッシュだし・・・
シャンペンも正確に言えばシャンパーニュ地方で作られた発泡白ワインなんだそうですね。ドイツではシャンぺンをシャンパー(Champagnier)といいますが、シャンパーニュ地方以外の発泡白はゼクト(Sekt)っていいます(こう書いてきたら集合の○と○の図を思い出しました)。
森鷗外の『独逸日記』を読むと「三鞭酒」ってのがしょっちゅう出てきます(三片、それとも三辺だったかな)。鷗外先生、シャンパーニュの産を三鞭と言ってたのかしら。それとも普通の発泡白も区別なく・・・え、「鷗外先生に無礼であろうぞ」ですって?いかにもたこにも仰せの通りでございました。どうか御手討ちのみは平に平に御容赦を・・・
酒の定義といえば、かの独逸には「純粋令」というのがございます。1516年にバイエルンの殿様が「ビールは麦芽とホップだけで作ることにせい」と言って始った法律で、現在の独逸酒税法にもこの規定がきっちり生きております。五百年も前の法律が今でも遵守されているなんて、いかにも独逸だって感じがしませんか(かういふ時はやはりドイツではなくて独逸です)。EUの域内関税が撤廃されてからどうなったかは、不勉強にて存じませぬが・・・
この定義に従うと、米やコーンスターチが入った某国や某国のビールは「こんなのビールぢゃねぇ」ってことになるんですから、何ともオトロシイ話ですね。日本では某社のヱ○スや某社の×ルツ、某社のブラ△マイスターがドイツビールの風味を保っていると思います。それから各地の所謂「地ビール」もドイツ式に醸造されております。
尤も米やコーンスターチが入るってぇと喉越しがよくなんだそうでして・・・入ったヤツを「こったものビールでねぇ」って思うか、ドイツビールを「重たくて飲まんね」って思うか、個人の嗜好の問題ってことになるでしょうね(小生、ドイツビールは大好きです)。
その「純粋令」ですが、ドイツビールのラベルを御覧下さい。大概「ゲブラウト・ナハ・
デム・ドイッチェン・ラインハイツゲボート」(ドイツ純粋令ニ従ヒテ醸造」って書いてあります。さらに強力なのは、この法令の御本家バイエルン。ドイッチェン(ドイツの)じゃなくて、しっかりバイエリッシェン(ばいえるんノ)ってなっております。
バイエリッシェン