酔漢のくだまき

半落語的エッセイ未満。
難しい事は抜き。
単に「くだまき」なのでございます。

ヤクルトスワローズの話その2 プロ野球編

2007-07-04 12:33:27 | 野球の話
 6月は酔漢の会社の決算月でございました。で思いのほかハードに仕事をしておりまして、更新が出来ませんでした。(言い訳だっちゃ!)で前回の続きです。

「酔漢、放課後に職員室に来い!」
「おめぇ、何やった?」
「相変わらず、成績わるいからな、進路変えろとかでねぇか」
高校3年生9月。仙台向山高校3年3組。酔漢自慢ではありませんが、高校時、成績は下位の方でした。井上ひさし先生流に言えば、「おめぇ、また6組でねぇか」です(青葉しげれる 参照)9月ですから、具体的な進路を決めなくてはなりません。
「酔漢、おめぇまだ、国立さぁねらってんのか?」
「まだ、変えてねぇけど」
「共通一次(現センター試験)受けんのか?」
「やっぱりね、地元の教育大学受けたいんだけど」
悪友との会話です。何を話されるんだろう。正直不安でした。
で、放課後です。
「失礼します。酔漢入ります」
「おぅ、酔漢。まぁ座れや」
「先生、なんでしょうか」
「おめぇ、ヤクルトファンか?」
(はぁ、なしてだべ。いきなりヤクルトの話すかや。進路の話じゃぁぁ)
「はぁぁい(面喰らった返事です)そうですが」
「実はな、俺もなんだ」
「はい?先生もすか?」
「俺はでもおめぇよりかなり古いど。国鉄からだかんな。で、来週ヤクルト仙台に来るべっちゃ。ゲーム差はあるけど、広島との首位攻防だかんな。応援さぁ一緒にいかねぇか。チケットはあるし。かみさん(つい先々月結婚したばかりでした)が都合あって行けなくなったからな」
「でも先生、なして俺さば。。。」
「おめぇも生徒会長だのなんだの忙しかったべ、たまにはいいんでねぇか。で、切符渡しておくから、なくすんでねぇど。で、帰りは俺の車でおめぇの家まで送っていぐからっしゃ。しんぺぇしねぐていいど」
「先生、おらいんち知ってんのすか?」
「おめぇが多分幼稚園位の頃から、俺、酔漢の家しってんのっしゃ」
「先生なして」
「俺は塩釜市立第二小学校の卒業生だど。おめぇの小学校の先輩だべ。そして、学校の帰りによくおめぇの家の前通って帰ったもんだっちゃ。松本商店(今はありません)の先、左さぁ曲がればいいんだべ」
「先生当りっしゃ」
「んで、当日な」「分かりました」
そうです。当時の学級担任「やまさん」は小学校の先輩で、化学の先生でした。おまけに酔漢と同じ、ヤクルトのファンなのでした。

で、試合当日。先生からよこされたキップは当時宮城球場「い」の位置。前から約8列目あたり、いわゆるバックネット席でした。今フルスタはどうか分かりませんが、フルスタが出来るまで、日本で唯一の「い、ろ、は・・・ほへと」順の座席だったのです(伝統は残してもらいたかったなぁ、みきたに君!)座席に座りながら、打撃練習をみておりましたら、ライトスタンドに岡田さん(故、ヤクルト応援団長。どんな人かは、がんばれタブチくん を読んでみてください)がいるではありませんか!「気合入ってんなぁ」と先生が遅れてやって来ました。
「今日の先発は 福士か。今調子いいからな。おらほは、尾花だな」
この年のヤクルトは前年の広岡監督のシーズン途中の解任を受け、武上監督の1年目でした。首位カープとは3ゲーム差を離されての仙台2連戦です。
初回、高橋慶彦のヒットから木下の送りバント3番衣笠のヒットでワンナウト1、3塁。4番山本浩二のファウルフライのあと、5番水谷を迎えました。1-3からの4球目がライトスタンドへ一直線。一回の表にいきなり3点のビハインドです。
「今日の尾花、球が高いな」
「この試合どうなるんだべ」正直、見ていて、尾花の投球に不安を感じずにはいられませんでした。
ヤクルトは若松のヒット、大杉の犠牲フライで、ようやく1点を返し、7回裏を向えます。5番杉浦がヒットで出塁。6番角の内野安打で、ノーアウト1塁・2塁。7番地元出身のキャッチャー八重樫を打順に迎えます。
「やえがしぃー」球場が大きな期待に包まれました。そして4球目。カァーンと打球音。ショート高橋の横を抜けるかと思えば、高橋のよこっとび!そのまま2塁木下、ファースト水谷に渡り、ゲッツー。3塁に杉浦を残し、2アウトとなりました。「あぁぁぁl」球場がため息でいっぱいになりました。
で、武上監督代打を告げます。「代打 立野」2年目の外野手を代打の送りました。若松二世の呼び声高い彼は今ヤクルトで売り出し中の若手です。広島は福士をそのまま続投させるようです。で、その初球。
カッキーーーーン!鋭い打球音。ライトスタンドへ一直線。僕らは立ち上がりました。ライトルバック。ジャンプ。捕ったぁーー。
ほんのあと数十センチでホームラン同点のところを。  やられた
で、お決まりの最終回。江夏豊の登場。あっさり3人で片付けられ。ゲームセット
結局3-1でヤクルトが負けました。この2連戦。2連敗。結局大きく広島に水を開けられたまま、このシーズンは終わりました。
帰り、先生の車の中。
「どうだ酔漢、このまま広島の優勝でねぇかな」
「先生、奇跡は起きますよ!」
「江夏がなぁ。まだ球はぇぇな」
「先生ありがとうございました」
「俺も自分の生徒と野球観るとは思わなかったからな。勝てばもっと楽しかったのにな」(やまさんはまだくやしいようでした)
「これからは、最後の追い込みに専念しろよ。今年ダメでも来年に繫がる勉強すんだど。今受かるって思わなかったら来年もダメだかんな」
(そんなにダメって言わなくてもいいんでねぇかや)

現在、宮城県築館高等学校学校長。山村悦夫先生とのお話です。酔漢が尊敬する先生の一人でもあります。常に、生徒の目線で物事を理解してくれている先生でした
今でも変わらないでいるんだと信じております。矢本高校の卒業生であれば、教頭先生でしたか。で、先生からの年賀状の一部「神宮まで、出かけて試合を観戦すると、決まって負け試合です」
酔漢、息子と出かけた一昨年の試合で、広島戦連敗8がようやく途切れました。先生と試合を見てから、20年近くかかりました。
なしてだべ。

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