酔漢のくだまき

半落語的エッセイ未満。
難しい事は抜き。
単に「くだまき」なのでございます。

たまにはミュージカルでも!

2010-12-24 11:21:16 | 大学演劇部の頃の話
河北新報(かほぐすんぽ)はメールマガジンで拝読いたします。やはり、こちらでは宮城のミクロ的な情報が少なく、購読してから、数十年が経ちました。
ネットでの購読であり、例えば、高校総体結果などは掲載されておりませんが、(母校サッカー部の活躍は昔の話だなぁ)仙台の情報はある程度覗くことができます。
一昨日の記事。
「劇団四季によるコーラスラインが仙台公演」との記事。
「そうかぁ、劇団四季によるものとはいえ、ついに仙台でもコーラスラインかぁ」
とつぶやきました酔漢です。
このミュージカル。相当の思い入れがございます。
さて、先の写真はコーラスラインとは無関係でございます(関係あるのかなぁ)。
1987年2月19日。酔漢がニューヨークで観ましたミュージカル「42ND STREET」のパンフレットでございます。
酔漢がニューヨークに行きました理由の一つにブロードウエイミュージカルを肌で感じる。というのがございました。
その最初のミュージカルが「42ND STREET」だったのです。
ですが、このミュージカル。実は「44 STREET」にございました「マジェスティック劇場」での公演。
「二つばかりずれてっちゃ」です。(正確には245W 44TH ST)
このミュージカルは前年のトニー賞を獲得した、当時もっとも人気のあるミュージカルでした。酔漢は金がない、貧乏旅行でしたので、観たい作品を全部みることは出来ませんでした。ですから、本題に出てまいります「コーラスライン」と他に一つという制約があったのでした。
「キャッツ」にするか「42」にするか迷ったあげく、チケットが偶然手に入りました「42」を見ることに。
「コーラスラインを見るため練習だべ」(こんな練習あるかや?)というわけです。
誤解なさらないで下さい。ブロードウエーはニューヨークの街中をななめに突っ切っている道路なのです。まっすぐ歩いているつもりでも、どんどん道がそれていく。
仙台駅から東北大片平キャンパスへまっすぐな通りをつくるようなものです。(距離ははるかに違いますが)ですから、「おのぼりさんは、やたらと道に迷います」正常な道の影に潜んでいる通り。で「ブロード」なのでした。
その道へ迷わない為の練習です。
自転車と徒歩で一日歩きました。(ニューヨークでも自転車だった酔漢です)
「42」はそれは素晴らしい作品でした。
「ニューヨークさぁ来てえがったっちゃ」
でも、本命、「コーラスライン」はその明後日。
チケットはダフ屋さんから買いました。初公演から年月がたっておりましたが、まだまだ人気の高いミュージカルだったのです。

話はその一年前、仙台片平丁の友人下宿先から始まるのです。

「酔漢今度の落語会のポスター原案が出来たんだけど」
話の主は以前写真掲載しました「寄せ集め会ポスター」を作成しました「ほうとく」君です。宮城教育大学落研と演劇部に同時に席を置き、「アタック25」と「タイムショック」で「100万円をゲット」したクイズマニアでもある彼です。(こいつの多彩さには、甚だ脱帽です)
「これでいぐべ」と決まった日です。
かれは、クイズで得た賞金でもってそれはそれは豪勢なオーディオセットを6畳一間の部屋にデーーンとおいているのでした。そのとき、流れていたのが。
「コーラスラインのサウンドトラック」初演公演のものでした。
「こいづはなんの曲すか?」
「コーラスライン。ブロードウェーミュージカルでトニー取ったやつ」
「酔漢、ミュージカルは?」
「おれ自身踊れねぇおん。んでも、小学生の頃、電力ホールで劇団四季の『二人のロッテ』さぁ見たっちゃ」

 ライトに音楽用意はいいか
 道具も衣装も支度はいいぞ
 手を叩いて 幕を開けよう

これは、酔漢最初のミュージカル観劇でした。
(上の曲は今でも使われておりますネ!)

「コーラスラインは聞いたことあったけんど、あんましストーリーさぁしゃねぇおんなや」
と話を振ったのが間違い。
彼はその後、一時間もかけてそのストーリーを話してくれたのでした。
そして、最後にカセットテープを一本。
「これに全部録音してある。まぁ家に帰ってじっくり聞いてみてヨ!」
ということで。
ミュージカルですから、実際どのように演技、芝居。そして踊っているのか想像を働かせる以外に方法はないのです。しかも、日本語の歌詞が当時ないまま。
これは、酔漢自身で翻訳(あとから解ったのですが誤訳のオンパレードでした)しました。でも、これにすっかりはまったのです。
もう卒業論文はこれを聞きながら書いておりました。
ですから、ナンバーのほとんどを頭に入れておりました。

Step, kick, kick, leap, kick, touch...Again!
Step, kick, kick, leap, kick, touch...Again!
Step, kick, kick, leap, kick, touch...Again!
Step, kick, kick, leap, kick, touch...Right!
That connects with.
Turn, turn, out, in, jump, step,
Step, kick, kick, leap, kick, touch.
Got it?... Going on. And.
Turn, turn, touch, down, back, step,
Pivot, step, walk, walk, walk.

Right! Let's do the whole combination,
Facing away from the mirror.
From the top.
A-Five, six, seven, eight!

「なんだや、練習風景だすぺか?」
最初のオーディションの場面です。基礎となるステップのテスト。
その場面です。
「ステップ ステップ キック 歩け!左だ!右だ!」
その声のすぐ後。
「おらいさぁ仕事けらいん!」の曲が掛かります。(本来はI Hope I Get It)

I need this job, oh God, I need this show.

最初のナンバーから引き込まれるこの感じ。
緊張感が音だけからでもひしひし伝わってまいります。
「観さぁ行きてぇなや」
本当にそう思いました。
「日本さぁくっごとあんだべか?」
そして数か月。
「コーラスライン映画化決定」のニュースが。
「酔漢、映画になるんだ」と、ほうとく君。
「んだ、監督はリチャードアッテンボローだべ。これは、んでも、社会派超大作ばかり監督してるアッテンボローにしてはめずらしいべ。『ガンジー』の次だすぺ?その前は『遠すぎた橋』だっちゃ」
彼のやはり下宿の部屋です。
「酔漢は、この前アガサクリスティーの戯曲『招かれざる客』出演したんだよな」
「んだ。ジュリアンファラーの役だったっちゃ」
「『ねずみ取』は知ってると思うけど」
「劇団河鹿でかんの君(例の魚拓の写真家)が演じたんだっちゃ。あれは、傑作だべ」
「それなら話は早い。これ見てみぃ」
と一冊の洋書を酔漢に渡したのです。
「The Mousetrap」と書かれております。
「何っしゃ!原文でねぇか!」
「ここの配役の『トロッター刑事』のところを見てみ!」
「トロッター・・・リチャードアッテンボロー・・・。出てたのすか!しゃねがった!」
「そうなんだ。彼は映画監督以前にロンドンの舞台俳優だったわけさ」
そうなんです。彼は舞台俳優でした。そのアッテンボローの最新作が「コーラスライン」
ロケも何もない。金もかからない(かけない)彼らしくない?作品です。が。
「真っ先にみに行くべ!これでどんな風に踊ってか。わかっぺ!」

映画を観ました。これはこれで、作品としては秀逸。仙台駅前「日の出」で観ました。
観客はまばら。
映画文法を丁寧に見せていた同作品ですが・・。
「何だかものたりねぇべ。本場の舞台をみてぇなや」が感想でした。
しかし、話のストーリーは学習出来ましたし、あらかたダンスも把握で来ました。
「んでも、ニューヨークさぁなんて行けねぇおん」

夢は叶う。
酔漢、今ニューヨークブロドウェーを歩いております。
映画鑑賞から半年後の事です。

1987年2月21日。午後8時。開演。
「シューベルトシアター」です。(現在の「ラッセル・バンクシアター」です)
ダフ屋からかった市価より60%以上高いチケット。おんぼろの劇場。
「42」のマジェスティックシアターよりかなり小さな、照明も暗い劇場。
でも、舞台が近い!
開場すぐ到着。
20分もすると満席。
「日本人がジャックしている」との噂があたのですが、「いない!」
緊張しました。
幕が開き、ミュージック。
ステップの音がすさまじい!客席の床も震動してくるような音!音!
カセットテープが擦り切れる程聞いていたあのナンバーが次々流れてまいります。

Everything was beautiful at the ballet.
Graceful men lift lovely girls in white.
Yes,
Everything was beautiful at ballet.
Hey!
I was happy... at the ballet.

「バレエこそ全て」(酔漢流)

瞬きするのがもったいない!
もう全身の神経をとがらせて観て、そして聞き入っておりました。

「Dance: Ten, Looks: Three」
アジア系の女優が歌うナンバー。
他のメンバーより小柄な彼女は、小さいけれダンスのテクニックは抜群。
ただし、普通はラインダンサーには不向きな体系。
アップテンポながら短調がかったこの曲も名曲。

Dance: ten; Looks; three.
And I' still on unemployment,
Dancing for my own enjoyment.
That ain't it, kid. That ain't it, kid.

そしてフィナーレ間近。
あの名曲が流れます。
しかし、この最初の「One」は本番の為の練習。
ここでディレクターは各々に罵声を浴びせます。

Kiss today goodbye,
The sweetness and the sorrow.
Wish me luck, the same to you.
But I can't regret
What I did for love, what I did for love.
Look my eyes are dry.
The gift was ours to borrow.
It's as if we always knew,
And I won't forget what I did for love,
What I did for love.
Gone,
Love is never gone.
As we travel on,
Love's what we'll remember.
Kiss today goodbye,
And point me t'ward tomorrow.
We did what we had to do.
Won't forget, can't regret
What I did for
Love

「What I Did for Love」

「経歴書にない、お前らのすべてをここで話してもらう!」
ですが、オーディションを受けにきた「ディナ」と嘗て恋人同士だった、このディレター
でした。切ない恋のナンバーですが、この一言。
「私は決してあきらめない!」
感動です。
そして、最後のフィナーレ。
全員での登場。

One singular sensation
Every little step he takes.
One thrilling combination
Every move that he makes.
One smile and suddenly nobody else will do;
You know you'll never be lonely with you know who.
One moment in his presence
And you can forget the rest.
For the guy is second best
To none,
Son.
Ooooh! Sigh! Give him your attention.
Do...I...really have to mention?
He's the One?
She walks into a room
And you know

全員総立ちの拍手!
涙が出て止まらない!
「ニューヨークさぁ本当に来られたんだべ!」
夢が実現したのでした。
舞台に落ちる俳優達の汗さえ見える小さな劇場。
あのゴールドタキシードにも汗が滲んでいるのが見えます。
この臨場感を味わえたのは、忘れもしません。
暫く、席を立てずにおりました。

我に帰って思い出した事。
「んだ、パンフレット買うべ」
と入り口へ向かいます。
ところが、「トラベラーズチェックでは買い物ができない」と返事。
「んで、カードにすっぺ」と出しましたら。
「アメリカンエキスプレス以外ダメ」だと。
「キャッシュは小銭がなく紙幣を出したら(何ドル札か失念)」
「釣銭がないから細かくならないか」
ねばっても・・・・ダメでした。
本当は、掲載の写真が「コーラスライン」であれば、良かったのですが。
ブログで語るなんて想像もしておりませんでした故・・・。

冬の仙台での「劇団四季」の「コーラスライン」
あの迫力は充分伝わるのでしょう。
「キャッツ」のような大舞台でもなく、「ライオンキング」ような派手さもない。
ですが、踊りの基本そして体だけで見せるミュージカル「コーラスライン」
この舞台に立っている俳優達も本当厳しいオーディションを通過したメンバーなんだと。
ふと、そのストーリーをも知りたくなる。
そんな「コーラスライン」なのでした。

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11 コメント

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メリークリスマス&ハッピーニューイヤー! (すず)
2010-12-25 08:42:57
>コーラスライン

 映画版をスクリーンで観ました。ミュージカル版を愛しておいでの方には、ご不満かもしれませんが、素晴らしい出来栄えでした。まったく無名の新人あり、”ソロ”であった過去の栄光にすがることなく”コーラス”のオーデションに参加する者あり、ゲイを告白する者あり、ラストの万感の思いのこもったエンディングまで、舞台芸術に心血を注ぐ創造者たちの、圧巻の作品でした。たかが”コーラス(脇役)”それですら、全てが輝く。ブロードウェイの魂のような作品でした。

>フォーテイセカンドストリート
 
 これも名曲揃いの素晴らしい作品でした。しっかし、自分でも不思議なんですが、映画版だと受け入れられるんですが、どうにもミュージカル版は耐えられない!偏ってますねェ(苦笑)
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ミュージカル (ひー )
2010-12-27 14:58:28
コーラスラインは見ていませんので、何ともコメントのしようがないのですが、舞台で見るミュージカルは感動的ですね。
叔母さんは、浅草国際劇場のダンサーでした。
もう劇場も無くなり叔母さんも数年前に亡くなりました。
よく、衣装に付けてあった沢山のビーズや背中に付けてる孔雀のような羽を貰いましたよ。
芸名は草笛まり…ブロマイドもありました。
ミュージカルではありませんが、コーラスラインそのものをやっていたはずです。

それよりもよくNYに行くことができましたね。
感心します。
あの頃は1ドル360円だったですかね ?

返信する
Unknown (ひー )
2010-12-27 15:03:40
コーラスラインじゃ無くてラインダンスの方でしたね。間違えました。
当事は日本のカードをは信用がなかったのですね。
よく両替すると 100ドル紙幣がきますが、小さい店ではお釣りがないので使わないで下さいと言ったものです。
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映画は観ましたヨ (酔漢です )
2010-12-28 19:36:50
流石にアッテンボローの映像の美しさでした。
とくにミラーを使った最後のシーンは圧巻。
ダンスも役者も素晴らしい出来でした。
42はNHKで放映されました。
あのときの主人公をそのままNYで見られました。
返信する
ひー様へ (酔漢です )
2010-12-28 19:39:33
叔母様素敵ですね。
素晴らしい芸名です。
当時、1ドル240円位だったかと思います。
今では考えられない相場です。
10ドルで考えると、相当違いますよね。
そうですか、そこまで知識がありませんでした。細かくしてもってなければいけなかったのですね。もっとも、この件以来、小銭を持つようにしました。
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今年も (ひー)
2010-12-31 21:27:42
お世話になりました。

来年も宜しく御願いいたします。
返信する
今年もあとわずか・・・ (ぱるえ)
2010-12-31 22:18:31
ニューヨークまで行かれたなんてスゴイ! 本当にお好きなんですね!
私が見たミュージカルで思い出深いのはやはり劇団四季。そして東京キッドブラザース。
四季は「ウェストサイド・ストーリー」だったかな。
部活のみんなと立ち見で見たのを憶えています。途中、疲れて階段に座っちゃたりして・・・
その時のトニーが山口祐一郎。カッコよかった!
すっかり熱を上げてしまい「ジーザスクライスト・スーパースター」も見に行ったっけ。
ついつい懐かしくなって思い出を語ってしまいました。

今年もあとわずかです。
また来年もよろしくお願いいたします♪
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しばらくぶりでございました… (おばらあつひろ)
2011-01-02 21:50:17
新年あけましておめでとうございます。
そしてご無沙汰しておりました。

まったく関係のない話ですが、ジャズなんかで演奏される曲群にはミュージカルナンバーが多かったりします。アタクシはミュージカルは疎いので、その方面でしか解せなかったりします→と言いつつも、ジャズもよくわからずに聴き漁っておるのですが…。

相も変わらず、フラフラと書き綴っております。それではまた…。
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ひー様へ (酔漢です)
2011-01-07 19:07:44
今年も宜しくお願いいたします。
新年のあいさつが遅れました。申し訳ございません。
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ばるえ様へ (酔漢です)
2011-01-07 19:09:42
七ヶ浜より新海苔が到着。
「今年は出来が悪くってっしゃ」との事。
ですが、故郷の香を堪能しております。
東京キッドは仙台公演を観ました。
感動でした。
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