終戦記念日を迎え 今回から思い出についても書いていこうと思います。
この世に生を受けて 最初にしてかつ強烈な記憶といえば「空腹」に始まる食べ物関連のものである。祖国の敗戦とともに、朝鮮満州の国境から命からがら引き揚げた我々家族は、文字通り着のみ着のままの無一文で、粗末なバラックに収容され、間違いなく最底辺の極貧層であった。
植民地における支配層で、軍事物資を供給する企業の生産担当幹部の父は特別に徴兵を猶予されており、食生活も含め、かなりハイレベルな生活を送っていたという。それを歳の離れた姉と兄は懐かしく語ってくれた。「少年少女期に天国と地獄を経験した」と。しかしそれまでの私の経験に天国は無かった。
当時の食の記憶と言えば進駐軍から配給された家畜飼料(あわ、ひえ、コーリャン、コーンの屑等)時折農家の好意により無償で提供されたイモの葉っぱ、茎等をかじり、野草をむさぼり、それさえ無い時には、水を飲むしかなかった。それだけにまともな食べ物にありついた記憶は鮮烈である。最初の記憶は生卵である。しかしながら1つの卵を水で割って18人で食べたため、味は分からなかった。そして次がスイトン、これは泣けるほど旨かった。間を飛ばして小学校の給食。
ランドセルも晴れ着もなく、麻袋を背負い兄のおさがり仕立て直しである中古の国民服での入学ではあったが、幸運にもその年から学校給食が始まった。最初のメニューは忘れもしない。コッペパン、脱脂粉乳、そして鯨の竜田揚げ、これらはもう筆舌に尽くせないほど美味であった。小学校入学によって私はこの世の天国を知ったのである。今もって私の辞書に「好き嫌い」の文字は無い。
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ミネソタスタディー
そのような戦後があって今の社会があるのですね、改めてありがたみを感じております。