TULIP DIARY

届くといいな やさしい風に乗って

車掌さんの恋

2008年05月15日 | 読書日記
車掌さんの恋 有吉玉青 著 講談社
電車を背景にさまざまな人間模様を描いた短編小説。
第1話は乗務員室に乗り込んできた女子高生との淡い恋心をもつ車掌さんの話だった。
電車の後ろに乗っている車掌さんから見た毎日の電車の風景、
ドアを閉めるときの光景が描かれていた。
車掌さんの立場に立ってみたらかけこみ乗車の意味も違う意味を持つのだ。
第2話は電車の中のアイドルが載っている中吊広告を泥棒する中高生のお話。
最近の中吊広告は立体的なものや見本がついているものとか凝ったものも
見かけることが多いが、ときどき敗れていたりするのは泥棒されているからなのか
もしれないと思いを巡らせた。
第3話はお互い夫と妻がいる男女二人が旅行に出かける。
ボックスシートに座ったときの視点に焦点をあわせて物語が展開していく。
ボックスシートに座ったいろいろな乗客とこの男女との会話を通して
電車の中でよく見かけそうなリアルな光景が上手に書かれていた。
JRの快速で通勤していたときはボックスシートしか席が空いていないことが
多かったのでこの席によく座った。
この小説の中で、通路側にしか座らない人々の心理とかが書かれていた。
同じことを思ったことがあった。
著者も同じ思いをしたことがあるのかなあと思いながら読んだ。
第4話はキセル常習犯の成績優秀な女子高生の話。
第5話はあみだなの上の忘れ物が主人公の男性の心残りの象徴なのだろうか、
銀河鉄道のように電車を運転して花畑に辿り着く死への旅立ちの物語。
コメント
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