TULIP DIARY

届くといいな やさしい風に乗って

グランド・ジャーニー

2021年08月17日 | 映画鑑賞日記

レンタル店で借りて観た映画『グランド・ジャーニー』の感想です。

絶滅寸前の渡り鳥を救おうと卵から孵化した鳥たちをフランスの湿地帯があるカマルグからノルウェーまで超軽量飛行機に乗り、渡り鳥たちに渡りの安全なルートを教えるというプロジェクトを試みた父クリスチャンと息子トマの冒険物語でした。気象学者で野鳥愛好家であるクリスチャン・ムレイクの実話をもとに作られた映画です。

母親とその恋人と3人で暮らしていた14歳の息子のトマは、母親の仕事の都合で離れて暮らしていた父クリスチャンに、5週間ほどの夏休みの間、預けられることになります。自宅でゲームに明け暮れていた生活だったトマはWIFIも繋がりにくいような父が住む家での生活に少しうんざりしていたのですが、野鳥たちを育てて、計量飛行機で渡りを教えるプロジェクトに父とともに係わりながら、野鳥たちの愛おしさやそのプロジェクトの大切さを実感するようになり、自ら考え成長していく姿がとても素晴らしく頼もしかったです。父の自宅にあった本棚に並べてあった「ニルスの不思議な冒険」のような大冒険をしたトマを通して、いろいろなことを教えてもらえたような気がしました。

野鳥たちは大方はカリガネガンという種類の鳥でしたが、一羽だけカオジロガンの種類の鳥が卵の中に混じっていました。たった一羽のカオジロガンをトマはアッカと名付け、他のカリガネガンとともに大切に育てて行きました。計量飛行機の操縦方法を父から学び、渡りを教えるというプロジェクトを遂行していた途中で、手続きなどの問題で、この計画を取りやめなければならない事態に陥ります。計画の取りやめに納得できなかったトマは、たった一人で軽飛行機を操縦して、この計画を敢行することを決め、言葉が通じなくても片言で、現地の人々と交流し、ガソリンや食料を分けてもらったりと人々の温かさを体得して行きます。14歳のトマが一人で渡り鳥たちに渡りのルートを教える旅を続けていた経緯はその場で会った少女によって動画が初めてSNSにアップされたことでどんどん広まって行き、多くの人々がこの冒険を見守り、メディアにも取り上げられるような大冒険の旅になりました。このプロジェクトに反対していた自然史博物館の所長や世間をも動かし、その次の年には渡り鳥たちがカマルグに戻ってくるという成功を納めたという心温まるようなお話でした。

この映画を観て、子供が大きく育って行くのはこのような冒険の中だったりすることが多いのだろうなあと思いました。旅が人を成長させるということ、地球上で生きているのが人間だけではないということ、すべての命の大切さをもっと大事にするような環境保全のありかたを再認識しました。トマが誰にも頼らずに一人で空の上で野鳥たちとともに一所懸命飛んでいた姿は感動的でした。一羽だけ違う種類の鳥だったアッカとの友情やトマがアッカを思う気持ちがとても美しく純粋に描かれていたのが印象に残りました。観終えてよかったと思えたオススメの映画になりました。

 

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