レンタル店で借りて観た映画『小説の神様』の感想です。
繊細で研ぎ澄まされた文章で独特の世界観を表現する千谷一也(佐藤大樹さん)は中学生で作家デビューし、執筆活動を続けているものの売れない高校生の小説家でした。ある日、一也が通う高校、同じクラスに小余綾詩凪(橋本環奈さん)が転校してきます。彼女は、ヒット作を次々生み出していた売れっ子人気作家でした。底辺作家と人気作家、性格も立ち位置も全く逆の二人で、最初は考え方が違っていたり、反発しあったりしていた間柄でした。そんな二人に、二人を担当していた編集者からある提案が持ち込まれます。それは、プロットを詩凪が考え、文章を一也が綴っていくという共同作業でひとつの物語を作り上げていくという提案でした。お互いに足りないものを埋め合い、紡いで出来上がって行く行程を通して、お互いを認め合い、二人の距離が少しずつ埋まって行きました。一也も詩凪も自らの小説をSNSで酷評されていた同じ経験を持っていたということ、小説が人を動かす力があると本当に思っていたこと、小説を書くことが本当に好きだったことなどが同じだったことを知ります。一也が入っていた文芸部の部長、一也の小説の大ファンで、文芸部に入部してきた成瀬らとともに、小説が大好きな高校生たちが自らの夢に向かって進んで行く姿がとても微笑ましく、青春時代はやっぱりいいなあと思いました。名前を名乗らず酷評したり、バッシングするのに利用されているSNSがこの映画の中でも出てきていました。ネットの世界で便利になったものも多いけれど、知らない人の言葉に傷ついたり、ネット世界の怖さが盛り込まれていた映画だったなあと思いました。