リヤカー部隊の風情も残る西新商店街、30年程前にオープンした知人の店を思い出した。恐らく開店前日は一睡もできず天候を気にして朝一番に店へ。目玉商品やPOP、装飾、掃除など再三の最終点検を済ませいよいよ客を待つばかりである。
店の小窓から覗くとシャッターの外には長蛇の列、客はオープン時間を今か今かと待ち侘びていた。開店と同時に客がどっと押し寄せ瞬く間に店内はごった返し、店主は客に笑顔で応え、注文や要望にも何でも叶えようとした対応した筈である。
年月は瞬く間に過ぎ、シャッターの外を覗いても一人の客も、冷やかし客すら居ない。そこで店主は考えあぐね、やっと開店の日の気持ちを思い出すのだ。どの商売、ビジネスも客を創り続けないことには成り立たないのである。