昨日、八幡浜市大島へ船で渡って、島内を散策してみた。その際、若宮神社の境内に数多くの珊瑚が積まれているのを見つけた。手水鉢の脇に山積みされており、長期間、雨ざらしで放置されていたようで、一見、普通の石かと見誤ってしまいそうなほど、表面は汚れていた。古くに地元の者が神社に奉納したままになっているのだろう。ただ、これを見つけたのが船の出航15分前と時間が限られていたので、地元の人に珊瑚奉納の話を聞くことができず残念であった。
神社境内に珊瑚が供えられる例は、宇和海沿岸ではよく見ることのできる光景である。西宇和郡三崎町正野にあるエビスの祠にも珊瑚が供えられていたのを見たことがあるし、隣町の瀬戸町足成(あしなる)の八幡神社の境内社恵美須社の拝殿の前にも供えられている。南予地方の海岸部ではそう珍しくない光景で、私もこれまで一つ一つ記録することなく、見過ごしていたのだが、珊瑚はかつては貴重品であり、神社への奉納物の一つとして注目しておく必要があるだろう。(ちなみに、珊瑚については明治時代の漁業絵図である愛媛県立図書館所蔵『漁業図説並びに解説』に珊瑚採りの絵が含まれている。宿毛湾で行われていた珊瑚漁の様子を描いたもので、愛媛県史民俗編の口絵写真にも紹介されている。)
さて、神社の奉納物の代表的なものに絵馬があるが、真珠やオーストラリア貝を飾った絵馬を海岸部の神社ではよく見ることができる。いずれもその生業の盛興を祈願してのものである。珊瑚の奉納については、網漁でたまたま引き上げたものを綺麗だからといって供えたのか、珊瑚漁の豊漁祈願として供えたのか、どちらなのだろう。佐田岬周辺では珊瑚の密集率は低いというが、この地方でも珊瑚漁が行われていたのだろうか。
珊瑚の奉納の意味について今後調査してみたいと思うようになってきた。
2000年09月9日
神社境内に珊瑚が供えられる例は、宇和海沿岸ではよく見ることのできる光景である。西宇和郡三崎町正野にあるエビスの祠にも珊瑚が供えられていたのを見たことがあるし、隣町の瀬戸町足成(あしなる)の八幡神社の境内社恵美須社の拝殿の前にも供えられている。南予地方の海岸部ではそう珍しくない光景で、私もこれまで一つ一つ記録することなく、見過ごしていたのだが、珊瑚はかつては貴重品であり、神社への奉納物の一つとして注目しておく必要があるだろう。(ちなみに、珊瑚については明治時代の漁業絵図である愛媛県立図書館所蔵『漁業図説並びに解説』に珊瑚採りの絵が含まれている。宿毛湾で行われていた珊瑚漁の様子を描いたもので、愛媛県史民俗編の口絵写真にも紹介されている。)
さて、神社の奉納物の代表的なものに絵馬があるが、真珠やオーストラリア貝を飾った絵馬を海岸部の神社ではよく見ることができる。いずれもその生業の盛興を祈願してのものである。珊瑚の奉納については、網漁でたまたま引き上げたものを綺麗だからといって供えたのか、珊瑚漁の豊漁祈願として供えたのか、どちらなのだろう。佐田岬周辺では珊瑚の密集率は低いというが、この地方でも珊瑚漁が行われていたのだろうか。
珊瑚の奉納の意味について今後調査してみたいと思うようになってきた。
2000年09月9日