愛媛の伝承文化

大本敬久。民俗学・日本文化論。災害史・災害伝承。地域と文化、人間と社会。愛媛、四国を出発点に考えています。

みちのく怪談コンテスト2011 募集要項

2011年09月11日 | 日々雑記
第二回目の「みちのく怪談コンテスト」の募集要項が発表されました。その要項を抜粋転載します。

http://d.hatena.ne.jp/michikwai/


【募集要項】
〈みちのく〉をテーマとした未発表のオリジナル怪談作品(商業誌・商業サイトに発表済みの作品は不可)。本文800字以内(タイトルは含めず、行アケは1行で換算。スペース、句読点も1文字として数えます。また、文字化けを防ぐため半角文字は使用しないでください。1字でも字数オーバーすると審査対象外になりますのでお気をつけください)。創作・実話は問いません。

【ご投稿は下記アドレスまで】
michikwai@gmail.com
※本コンテストはメールのみの投稿受付となります。

募集開始 2011年9月11日(日)午後1時より
募集締切 2011年12月11日(日)午前10時30分まで
結果発表 2012年2月予定(詳細日時は決定次第、発表いたします)

選考委員 高橋克彦/赤坂憲雄/東雅夫
賞品 大賞1作と優秀賞2作には〈みちのく〉にちなんだ賞品を準備中です。
また、大賞・優秀賞をはじめ、優れた作品を収録した作品集を〈荒蝦夷〉より出版予定です。

【選考委員からのメッセージ】

ほんとうにおもしろいのはここからだ 高橋克彦(小説家)

〈みちのく怪談コンテスト〉第2回の開催である。このようなコンテストは、回を重ねるごとにおもしろくなってくる。第1回は、主催者にしても投稿者にしても、どのようなコンテストになるか、どのような結果になるか、わからないままに手探りで進まざるを得ない。そこがまた新しい試みのおもしろさではあるのだが、第1回を終えるとコンテストの道筋が、性格が見えるようになる。ほんとうにおもしろいのはここからなのだ。その意味で、今回はどのような作品が寄せられるのか、期待している。それだけ選考の楽しみも大きい。さらに、東日本大震災を経ての第2回である。もちろんコンテストそのものは大震災をテーマとして実施されるものではない。昨年と同様、広く「みちのく」をテーマとしたコンテストである。それにしても、今回の場合、この「みちのく」と東日本大震災のイメージは被ってしまうところが大きいかもしれない。大震災をテーマとした作品も寄せられることだろう。800字と短いなかで大震災の悲劇をどのように料理してくれるのか。また、東北人ばかりではない書き手のみなさんが、今回の大震災をどのように捉えたのかも興味深い。楽しみに待っている。


新たなる〈みちのく〉への道行きを 赤坂憲雄(学習院大学教授)

〈3・11〉を経て、みちのく/東北のイメージは大きく変わった。地震により、津波により、そして原発事故により、暴力的に変化を余儀なくされた。この変化はこれからも続くだろう。着地点は、いまはまだ見えない。悲劇と苦悩を刻印された果てに、みちのく/東北はどのようなイメージを抱え込むことになるのか。誰にもわかりはしない。みちのく/東北には、恐山信仰や出羽三山信仰など、現世と来世がきわどくせめぎあう宗教的民俗知がある。あるいは『遠野物語』的な、あの世とこの世のあわいを認める民俗知がある。「みちのく怪談」にこと寄せれば、怪異と交感する知恵とでもいえようか。ここにひとつの道があるのではないか。そんな予感を覚えている。もちろん、昨年もここで触れたように「みちのく」は単に地域の呼称ではない。「みちのく」は遍く在る。災厄の年の、それぞれの内なる「みちのく」が見たい。このコンテストが、新たなる「みちのく」への道行きとならんことを。


「感じたるまま」の怪談を 東雅夫(アンソロジスト・文芸評論家)

 震災から一夜明けた3月12日の夜半、荒蝦夷の土方正志代表から、私の携帯に着信があった。仙台の事務所も、スタッフの自宅も、惨憺たるありさま、寝泊まりする場所にも事欠く現状だという。あまりのことに、ただただ相槌を打つばかりの私に向かって、どこか吹っ切れたような口調で、土方氏は力強く宣言した。「こうなったらね、みちのく怪談コンテスト、意地でも今年、第2回をやりますよ。鎮魂のためにも、やらなくちゃ!」
 意気に感ずるとは、このことだ。一も二もなく全面的に賛同して、為し得るかぎりの協力を約束した。あれから、ちょうど半年を経て、いよいよ第2回の募集が始まる。
 2011年の現在、怪談という立脚点から〈みちのく〉について何かを考え、書き表わそうとするとき、それぞれの書き手が、それぞれの置かれた立場で、今回の震災と真摯に向き合うことは不可避だろう。とはいえ、だからといって、直接的に震災とか鎮魂に関わるモチーフに、こだわる必要はまったくない。今このときだからこそ視えてくる〈みちのく〉の〈怪談〉を「感じたるまま」(柳田國男『遠野物語』序文より)に書いて欲しいと切望する次第である。



みちのく怪談コンテストのホームページはこちらです。

http://d.hatena.ne.jp/michikwai/