リンのピアノの発表会でした。
この空間で一人ステージにたち、ピアノと向かい合う子どもたち。
味わった人にしかわからない緊張と喜びが響き出す。
今日の舞台に立つまでに費やした孤独な時間と地道な努力。
どんな小さな子でも、そこにたったら一人・・・誰も助けてくれない。
どんな有名なピアニストの演奏会よりも子どもたちの発表会の方が感動と共鳴がある。
たぶん、より自分にちかいから?
弾き終わり、ふかくお辞儀する子どもの姿に何度も目頭を押さえる。
さぁ、りんの番。
メンデルスゾーン:ロンドカプリッチオーソ
今回はりんは緊張よりもとても楽しんでいる。
難しい曲だが、とても気にいっているし自分と向かいあっているのがわかる。
慣れないぶん、ホールというのは難しい。
まだとても響きの計算なんて出来ないしね。
本を読み始めるように静かに弾きだした。
思ったよりやさしい音がピアノからこぼれ、あたしは思わずニヤッ・・としてしまった。
目を閉じたり、目を見開いたり、全身で聴いた。
我が家はいつも写真一枚記録が残らない。
二人の記憶が一番の記録。
もったない気もするが、たぶんこれでいい。
14歳のりんのピアノ、声、姿、だいじょうぶ忘れない。
帰りには二人でささやかなお祝いのご飯を食べた。
どの子どももみんな目映く素晴らしい。
子どもの一年間の成長はなんてよく見えるのだろう。
ピアノが声をだして自分の物語を綴っているようだった。