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わたしには、読了後この間以来、ある本の中のフレーズが気になっていた。ブログでは異例のことであるが、ここに原文のままに採録したい。あの今は亡き山本七平氏が、“日本はなぜ敗れるのか”でとりあげた本である。
小松慎一氏は、『虜人日記--小松慎一-ちくま学芸文庫』の中で、大東亜戦争での日本の敗因を後段で箇条書きの分析をしている。
完全な戦後世代であるわたしにとって、なぜ戦争を始めたのかとともに、歴史的に負の遺産であるこの事態は、多くの教訓を示唆してくれるものだと思う。
小松氏は太平洋戦争(正式名称・大東亜戦争)の頃、東京農大で醸造技術を学び、ガソリンに代わる代替燃料の開発のために、台湾からフィリピンへ技術指導で陸軍省の専任嘱託で派遣されて、ネグロス島で終戦を迎え昭和21年12月に日本へ帰還するまでの貴重な日記だ。
内容は、戦争体験のこと、人間の極限的状況のメモというものであるが、その結果、時代は半世紀以上前のことだが、今でも通用する日本国にとどまらず日本人の特徴を言い当てているように思う。国際性、外国人との交流を考える上で重要なことだ。
皆さんはどう思うだろうか。ぜひとも、コメントをお寄せください。
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日本の敗因、それは初めから無理な戦いをしたからだといえばそれにつきるが、それでもその内に含まれる諸要素を分析してみようと思う。
一、精兵主義の軍隊に精兵がいなかった事。然るに作戦その他で兵に要求される事は、総て精兵でなければできない仕事ばかりだった。武器も与えずに。米国は物量に物言わせ、未訓練兵でもできる作戦をやってきた。
二、物量、物資、資源、総て米国に比べ問題にならなかった。
三、日本の不合理性、米国の合理性。
四、将兵の素質低下(精兵は満州、支那事変と緒戦で大部分は死んでしまった)。
五、精神的に弱かった(一枚看板の大和魂も戦い不利となるとさっぱり威力なし)。
六、日本の学問は実用化せず、米国の学問は実用化する。
七、基礎科学の研究をしなかった事。
八、電波兵器の劣等(物理学貧弱)。
九、克己心の欠如。
十、反省力なき事。
十一、個人としての修養をしていない事。
十二、陸海軍の不協力。
十三、一人よがりで同情心が無い事。
十四、兵器の劣悪を自覚し、負け癖がついた事。
十五、バアーシー海峡の損害と、戦意喪失。
十六、思想的に徹底したものがなかった事。
十七、国民が戦いに厭きていた。
十八、日本文化の確立なき為。
十九、日本は人命を粗末にし、米国は大切にした。
二十、日本文化に普遍性なき為。
二十一、指導者に生物学的常識がなかった事。
順不同で重複している点もあるが、日本人には大東亜を治める力も文化もなかった事に結論する。
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