わたしは、相も変わらず乱読傾向が強いのだが、最近の読書メモをまとめておきたい。
“現代語訳 渋沢栄一自伝” 守屋淳編訳 平凡社新書
本屋の店先で見かけて購入。あれっこんなに薄っぺらな内容でいいのか。わたしがおもうのには 渋沢栄一 は産業界のみではなくて、業績、実務的な部分とか、ある意味で資本主義経済を根づかせたともいえる人物だ。もっと文系の人間が関心を持っていただいて研究するべきだろう。歴史家ももっと、面倒がらずに時代背景とからめて複眼的に読んでほしい分野の本だ。
“楡家の人びと” 北杜夫 新潮文庫
昨年から読みはじめてやっと中巻にいたる。これは上中下の三冊。世評と比べて、わたしにはなんだか穴慢な内容に感じる。文章が理知的過ぎるのか。いっこうに進まない。
“「反原発」の不都合な真実” 藤沢数希 新潮新書
この本は讀賣新聞の日曜日の読書欄で、脳研究者で知られる東大准教授の池谷祐二さんが紹介していた。彼曰く「脳は近視である。・・・そもそもリスク誤認は脳の標準仕様(デフォルト)だと思う。」
原子力発電という科学にたずさわる技術者や研究者は、現在の「反原発」の風潮に対し及び腰である。今までこの産業は保護されて来て甘い世界であったが、説明責任もあり、きちんと主張すべきだ。著者の藤沢氏は経済分析、統計学というロジックのみで、原子力発電推進とここまで自論を展開してくれた。きわめて分かりやすい本である。
現代、世間とは多人数の様々な感情論で形成されるとはいえ、冷静に事実やデータ集積と分析を積み重ねてエネルギー産業自体の育成を再検討願いたい。官庁の安易な補助金や東電の収益構造は見直すこと。そして何よりも、どうか、この先端技術を扱う当事者は倫理的に対応していただきたい。
多分、今起きている福島原発事故の悲しい余波は、わたしたちにとって、世界でも、未曾有の不幸な経験の中にいる。そして、世界では、その後の対処方法・技術を真剣なまなざしで見つめているのだ。
わたしとしては、テーマからややそれるが以下のセンテンスを記憶にとどめたい。
『どうもITや通信の分野での識者は、ムーアの法則のようなコンピューターやソフトウェアの技術革新のスピードと、エネルギー産業の技術革新のスピードを混同する傾向があるようです。エネルギー産業も、コンピューター産業と同様に半導体技術を多用しますし、ソーラーパネルなどは半導体そのものです。しかし信号だけを処理すればいいコンピューターと、巨大なエネルギーそのものを直接扱うパワーエレクトニクスは、全く似て非なるものなのです。そこのところを誤解すると、非現実的な議論になってしまいます。』
“戦略の本質” 日経ビジネス人文庫
戦争論や戦略・防衛論の6人の専門家が大東亜戦争の分析をおこなったこの本は先に出版された “失敗の本質” の第二部とでも称すべき内容の本か。
数年前にわたしは、フィリッピンのコレヒドールやレイテ沖、インパール、ノモンハン戦役など、やたらと戦争本や戦記物を読みこんでいたが、ついには “失敗の本質”中公文庫 にたどり着いた。その時この本をいい加減にめくっていた。今回は新たに手に入れた太平洋戦争のDVD全体を通観するにあたり、精読を試みたいものだ。
でも、コメントの趣旨が分かりずらいのですが・・・。
このコメントが政治や宗教にかかわるプロパンダに類するものならば、願い下げにさせてください。
もし、「反原発」世論についてのことならば、雰囲気やムード的に反応するのはやめたいものです。振り返ると、わたし個人が矛盾にまみれた存在ですので、不特定多数の他人に対し大きな声や巧みな弁舌で発言することに自己嫌悪を感じています。
そういうことで・・・・・。