対TPP戦略 高い「入場料」狙う米国 (04月13日)
環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加問題で、米国の本音がいよいよ明らかになってきた。日米の「事前協議」で農業分野の関税撤廃ばかりか、郵政、自動車でも規制撤廃の圧力を強めている。TPPで硬軟両面作戦を示すが、一部報道による関税撤廃の例外措置の示唆などは危険な「誘い水」と見るべきだ。自国企業の言い分を反映して、日本に交渉参加へのハードルを引き上げ、高い「入場料」を支払えと迫っているのだ。
TPPの本質は、日本農業新聞12日付1面のインタビュー企画「日本の針路」での国際ジャーナリスト・ウォルフレン氏の指摘が的確だ。同氏は「米国の企業に非常に有利な仕組みを押しつけようというもの」「極めて政治的で不公平な協定だ」と明快に述べた。ゼロ関税と同時に、あらゆる規制やルールを米国仕様に切り替えることで「国のかたち」を変えかねない劇薬なのだ。
TPPは、オバマ大統領の経済政策の主要な柱である輸出倍増計画にしっかりと組み込まれた。米国企業利益の障害になるものは政治的な圧力で取り払うという作戦だ。焦点となっている郵政民営化を見直す郵政民営化法改正案の扱いはその典型と言える。同改正案は、株式の完全売却の義務規定を外しており依然として国の関与が残る。これを米国側は「公平な競争を妨げかねない」と反発している。要するに、このままでは米国企業が高いシェアを持つ「がん保険」などで不利になりかねないというわけだ。
「事前協議」は一つの大きな節目を迎えている。5月連休中に予定される野田佳彦首相の訪米、日米首脳会談の期日が3週間を切った。TPP問題にも何らかの言及があるとの見通しが指摘されており、緊迫した事態が続く。米国の対日TPP戦略は2段構えだ。まずは交渉参加に向けての条件整備。そして本交渉に当たっての留意事項を示す。参加への条件整備は「入場料」とも言える。ここで米国があらためて懸念を表明したのが、米国保険業界などから一斉に噴き出した「郵政」改正批判と見るべきだろう。「事前協議」で浮き彫りになった事態をどう見るべきか。「農業」だけでないさまざまな難題、懸案事項があるという事実だ。米国が競争力を持つ「保険・金融」や「医療」、さらには製造業の象徴「自動車」での高圧的な態度はその表れだ。
TPP参加では農業の壊滅的な打撃、地方経済衰退などははっきりしている。しかし政府はその具体的な救済策を一切示さない。一方、参加メリットは「アジア太平洋の成長を取り込む」といった抽象的な表現しかない。加えて明らかになった各種業界への高い「入場料」。もうはっきりすべきだろう。野田政権は「事前協議」は打ち切るべきだ。そしてデメリットばかりが目立つTPPへの交渉不参加を一刻も早く表明すべきだ。
環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加問題で、米国の本音がいよいよ明らかになってきた。日米の「事前協議」で農業分野の関税撤廃ばかりか、郵政、自動車でも規制撤廃の圧力を強めている。TPPで硬軟両面作戦を示すが、一部報道による関税撤廃の例外措置の示唆などは危険な「誘い水」と見るべきだ。自国企業の言い分を反映して、日本に交渉参加へのハードルを引き上げ、高い「入場料」を支払えと迫っているのだ。
TPPの本質は、日本農業新聞12日付1面のインタビュー企画「日本の針路」での国際ジャーナリスト・ウォルフレン氏の指摘が的確だ。同氏は「米国の企業に非常に有利な仕組みを押しつけようというもの」「極めて政治的で不公平な協定だ」と明快に述べた。ゼロ関税と同時に、あらゆる規制やルールを米国仕様に切り替えることで「国のかたち」を変えかねない劇薬なのだ。
TPPは、オバマ大統領の経済政策の主要な柱である輸出倍増計画にしっかりと組み込まれた。米国企業利益の障害になるものは政治的な圧力で取り払うという作戦だ。焦点となっている郵政民営化を見直す郵政民営化法改正案の扱いはその典型と言える。同改正案は、株式の完全売却の義務規定を外しており依然として国の関与が残る。これを米国側は「公平な競争を妨げかねない」と反発している。要するに、このままでは米国企業が高いシェアを持つ「がん保険」などで不利になりかねないというわけだ。
「事前協議」は一つの大きな節目を迎えている。5月連休中に予定される野田佳彦首相の訪米、日米首脳会談の期日が3週間を切った。TPP問題にも何らかの言及があるとの見通しが指摘されており、緊迫した事態が続く。米国の対日TPP戦略は2段構えだ。まずは交渉参加に向けての条件整備。そして本交渉に当たっての留意事項を示す。参加への条件整備は「入場料」とも言える。ここで米国があらためて懸念を表明したのが、米国保険業界などから一斉に噴き出した「郵政」改正批判と見るべきだろう。「事前協議」で浮き彫りになった事態をどう見るべきか。「農業」だけでないさまざまな難題、懸案事項があるという事実だ。米国が競争力を持つ「保険・金融」や「医療」、さらには製造業の象徴「自動車」での高圧的な態度はその表れだ。
TPP参加では農業の壊滅的な打撃、地方経済衰退などははっきりしている。しかし政府はその具体的な救済策を一切示さない。一方、参加メリットは「アジア太平洋の成長を取り込む」といった抽象的な表現しかない。加えて明らかになった各種業界への高い「入場料」。もうはっきりすべきだろう。野田政権は「事前協議」は打ち切るべきだ。そしてデメリットばかりが目立つTPPへの交渉不参加を一刻も早く表明すべきだ。