【埼玉県吉川市議会で女性議員が大量当選】
去る1月24日、埼玉県吉川市で市議会議員選挙がありました。
これを紹介するのは、女性割合が大幅に増えたことに加え、地方議会から国政にモノを言うひとつのモデルの可能性も感じるからです。
まずは前提となる基本情報を整理します。
吉川市議会は、
選挙前は定数20人で、女性市議は2名だったのですが、
この選挙後、20人中女性市議が7名に!
割合でいうと、なんと10%→35%という大幅増です。
いったい何があったんでしょうか?吉川市。
※旧市議会議員(ビフォー)
http://www.city.yoshikawa.saitama.jp/index.cfm/27,370,c,html/370/20150624-133506.pdf
平成28年1月24日選挙結果(アフター)
https://seijiyama.jp/area/card/3624/i4CdB5/M?S=lcqdt0qbph0k
当選した新人市議6名のうち5名が女性なのです(所属党派は、無所属、よしかわ市民ネットワーク、共産、無所属、無所属)。
トップ当選は43歳・無所属・新人の女性議員です。
現職が4名落選し、その4名は全員男性です(4名全員とも所属党派は自民) ※うち1名は、平成27年6月1日時点の市議会議員名簿では「自民・みらい」と記載されていますが、平成28年1月24日の選挙結果だと「無所属」となっていますので、もしかしたら選挙当時は党派を離脱されたのかもしれません。
いったい何があったんでしょうか?吉川市。
ということで、吉川市議会選挙について報じた埼玉新聞記事をご紹介します。
http://www.saitama-np.co.jp/news/2016/02/02/09.html
この埼玉新聞記事によると、選挙告示前に吉川市の「よしかわ憲法サロン」という市民団体が立候補者にとったアンケート結果 (
http://yoshikawakenpousalon.blogspot.jp/)を紹介しています。
「よしかわ憲法サロン」は、昨年9月、吉川市議会に、安保関連法案の慎重審議を求めて請願を提出しましたが、9対9の賛否同数となり、議長採決で否決されたのだそうです。
これについて立候補予定者にアンケートで尋ねたところ、立候補予定者28人中20人から回答があったそうです。自民党の現職(当時)6人を含む8人からは回答がありませんでした。
※なお、HPを確認しますと、回答がなかった自民現職6名のうち4名(または3名)が落選しています。
国会審議について、「尽くされたとは思わない」と明確に否定した候補者は13人。安保法制について明確に「反対」と答えたのは候補者は12人でした。
更に。
吉川市議会への請願については、15人が「否決されたことは残念」と回答しました。
この15人のうち12人が今回の選挙で当選しました。
当選した女性新人市議5人全員が「否決されたことは残念」と答えており、
このうち3人が「集団的自衛権行使を認めた安保法制賛成か反対か」という質問に「反対」と回答。残り二人は「どちらともいえない」。
少なくとも、女性新人議員5人のうち、安保法制に賛成と積極的に回答した人はゼロです。
埼玉新聞記事によると、
よしかわ憲法サロンの高橋洋子さん(65)の分析はこうです:
「(今回の市議選で)女性や無所属の市議が多く当選した背景として、吉川に新たに引っ越してきた市民が流れを変えたことがあると思う。女性市議を支えようという市民の動きもある。アンケートは市民に憲法や議会を考えるきっかけにしてもらえたら」と話していた。
国政では衆院と参院の「ねじれが解消」しており、議院内閣制のもと、内閣がやりたいことは、その気になればなんでも可能、という政治が続いています。
国政への異議申し立ては地方から。
そのキーの一つとして、女性議員の増加があるのではないか。
そんなことが、吉川市議会の選挙結果から感じられてくるというお話しです。