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池袋暴走・飯塚への禁固7年は軽すぎる【警察認定の98km/hは妥当性?】

2021-07-23 | 事故と事件
池袋暴走・飯塚への禁固7年は軽すぎる【警察認定の98km/hは妥当性?】
 本ブログの7/15付けでも触れたが、検察の求刑は同日禁固7年が求刑されている。これは、単なる業務上過失致死罪の量刑上限に相当するものだ。

 以下私見ながら、かねがね検察が認定したとされる飯塚車(プリウス)の速度は、ペダルの踏み間違いにより98km/hであったとの報を聞く都度、ほんとうかいなと疑念を感じ続けて来た。つまり、もっと端的に云えば、当該路の制限速度が50km/hだとして、この制限速度の2倍を超える場合は、危険運転致死罪での適用も考慮の対象となるからだ。もし、同罪適用となると上限は15年(準危険運転では12年)で、しかも懲役(労務を伴う)刑となる。

 本事故の速度認定については、エアバッグシステムに内包された、EDR記録装置から読み出された値を基に認定されていることは確かだろう。たぶんだが、このEDRの読み出し認定に当たっては、警察なり検事なりが立会し、トヨタ自動車か、もしくは第三者のEDRデータを扱える分析者が証拠人として参加しているのだろうかと想像する。

 ここで、読み出されたEDRに記録された速度が、直ちに98km/hであったと認定した訳ではないだろうと思う。というのは、EDRに記録される車速とは、スピードメーターに表示される車速と同意であるが、もっと噛み砕いて云えば車輪の回転速度であることで、実車速度とは誤差を生じることが知られているからだ。

 自動車の速度計の誤差については、道路運送車両法の保安基準の細則を定める告示【2016.6.17】において下記別添の通りの基準を決められている。

 同基準は速度40km/h時の基準を基に策定されたもので、H19年1月以降車の算定式に当てはめて計算すると、下限値は30.9km/h以上(誤差割合として22.7%)、上限値は42.6km/h以下(割合としては6.4%)となる。ということを根拠にあくまで想定の話しだが警察もしくは検察は、被告人飯塚が官僚上位職の職歴と高齢であり叙勲者であることを考慮して、EDR指示値を下限側に誤差もあり得ようと調整した結果が98km/hではないのだろうかという疑念を持つのだ。つまり、先に述べた制限速度の2倍を超えない様に計らった可能性を疑うのだ。

 もう一つの検討として、プリウス20型の加速性能として、Net記事から拾い集めてみると、停止発進から100km/hまでの加速時間は9.58秒という計測データがあるので、これに基ずいて衝突速度を計算して見たい。事故現場の状況図を別添写真に示が、飯塚プリウスは。ゴミ収集車と大衝突する以前、約140m手前でガードパイプに接触し驚いてブレーキを掛けようとして、アクセルを目一杯踏み込んだと想定される。このガードレールに衝突した速度だが、明確ではないが低めに20km/hの前提としてみたい。

 まず、先の0-100km/hの加速時間が10秒として加速度を計算して見たい。これは、α=ΔV/tで算出できるが 2.8m/sec^2(G値で0.28G)となる。そして、初速20km/hからアクセル全開で加速度0.28Gで加速し140m走行した時の速度は約120km/hとなることが算出することができる。つまり、制限速度の2倍を明らかに超え、危険運転致死罪の妥当性を検討しても不思議ではない様にも考えられる。

 この辺りのことを被害者側弁護人および関わる補佐人は、検事側に求釈明を求める要がある様に思えてくるのだ。

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【別添】速度計の誤差基準
 平成18年12月31日までに製作された自動車にあっては、自動車の速度計が40km/h(最高速度が40km/h未満の自動車にあっては、その最高速度)を指示した時の運転者の合図によって速度計試験機を用いて計測した速度が次に掲げる基準に適合しないもの。

10(V1-6)/11≦V2≦(100/90)V1
この場合において、
V1は、自動車に備える速度計の指示速度(単位 km/h)
V2は、速度計試験機を用いて計測した速度(単位 km/h)

 平成19年1月1日以降に製作された自動車にあっては、イの規定にかかわらず、自動車の速度計が40km/h(最高速度が40km/h未満の自動車にあっては、その最高速度)を指示した時の運転者の合図によって速度計試験機を用いて計測した速度が次に掲げる基準に適合しないもの。

10(V1-6)/11≦V2≦(100/94)V1
この場合において、
V1は、自動車に備える速度計の指示速度(単位 km/h)
V2は、速度計試験機を用いて計測した速度(単位 km/h)


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