私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

メルセデスベンツ社のこと

2018-04-30 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 ちょっと下らない私見として記します。メルセデスベンツ(正式名:ダイムラー)というブランドは、世間一般には高級車としての感があります。しかし、戦前より自動車用だけでなく、戦車や航空機等のエンジンを作り、戦後も現在に至るまで、乗用車用エンジンを圧倒する数の商用車用エンジンを作り続けているのです。具体的にいえば、ベンツ自社の大型トラックであるアクトロスシリーズ用エンジンだけでなく、他社用(たとえばMA . . . 本文を読む

ベルハウジング破壊事故

2018-04-30 | 事故と事件
 PC内の古い写真を見ていたら、おそらく20年ほど前のベルハウジング(クラッチハウジング)の破壊事例の写真があったので紹介してみたい。この事案は、当方が直接対応したものではないが、当時の部下より報告を受け、そんなことが起きるのかと驚いたものだった。しかも、それから数年を経て、ふそうの大量リコール隠しの一件として、該当リコールが報知されたのだった。なお、該当写真の車両がふそうであったかは、今となって . . . 本文を読む

エアバックの作動の不思議その2

2018-04-28 | 車両修理関連
 昨日のBMWミニと反対に、これでエアバッグが作動するのかというBMW・E91の事例を紹介してみます。車両損傷は、たぶん前走車に追突した様な損傷状態ですが、バンパーリインホースメントの右前部の衝撃吸収部位が座屈していました。しかし、車両本体のサイドフレームなど、骨格の強度部位には変形がないがエアバッグが作動したというものです。なお、パッセンジャー側は乗員がなく、乗員センサー付きなので作動はしなかっ . . . 本文を読む

エアバックの作動の不思議

2018-04-27 | 車両修理関連
 近日みたBMWミニですが、右サイドフレーム先端が大きく座屈変形しています。しかし、エアバッグは作動していません。一般にエアバッグは前方左右30度程度の範囲で大きな減速度(有効衝突速度(=バリヤ換算速度)が17km/h)で作動すると云われています。今回の様に、ほとんど車両に正対する大きな入力を受けて作動しないとは不思議にも思えます。  過去にBMWE90でバンパーリインホースメントのサイドフレー . . . 本文を読む

官僚達の夏の時代

2018-04-20 | コラム
 「官僚達の夏」は城山三郎氏(故人)の1975年に出版した、ある程度事実に基づいた小説作品だ。国の行き先を憂い、活躍する通産官僚の活躍を描くという、今では考え難い内容だ。作者の城山氏も晩年、官僚の堕落ぶりを嘆き続けていた。もしかすると官僚賛歌たる本作を書いたことを後悔していたのかもしれない。  さて、物語の中では、特振法という貿易自由化に対応するため日本の産業を整理統合する法案作りに没頭するが結 . . . 本文を読む

旧ドイツ軍のエースとエンジンのこと

2018-04-18 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 クルマからちょっと離れるが、何れもエンジンが搭載された兵器での活躍のことだから、お許し願いたい。なお、戦争を肯定する思いはまったくないが、歴史において無防備もしくは明かな戦闘力に対する見くびりが、国や個人の隷属関係に至るのは必然であり、祖国存亡のための活躍してきた軍人は英雄以外の何者でもないと思う。  一人目は、アフリカの星と呼ばれ、第二次大戦の主にアフリカ戦線(ロンメル将軍でも有名)で戦った . . . 本文を読む

奇妙な既視感のこと(労基と組合の対応類似性)

2018-04-17 | コラム
 整備実務と離れるが、労働者たる立場とか、ディーラーなどでは労働組合もあるだろうから縁ある話としてお許しあれ。  このところ、自己の副業たるアルバイト先の労働問題(詳細は省略)について、労働基準監督署と連絡を取り訪問したのだ。当初の電話内容でまずは揉めた。ご存じの通り労働基準法とは、労働者を保護するために最低限の基準を定めた法律である。従い、この法令に抵触する問題があった場合は、使用者(経営者) . . . 本文を読む

ディアルO2センサーのことなど

2018-04-17 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 最近(といっても10年くらい前から)、排気管に装着されるO2センサー(ラムダセンサー)は、触媒の上流側と下流側に装着されることが多くなった。それと同時期ぐらいから(正式にはH9年の保安基準改正以降)は、触媒部の排気ガス温度の異常高温を検出するセンサーが廃止された。今回は、これらのことについて、知れる限りの範囲で記してみたい。  まずO2センサーだが、ジルコニア素子をいうのを使い、一定雰囲気温度 . . . 本文を読む

こうしてクルマの原価低減はしていく

2018-04-16 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 新型車というのは、一件きらびやかな様でいて、近くで見たり乗るたびに、ああこんなとこも、あんなとこもと、従来より安い部品に置き換えられていることに気付かされます。エンジンルームですが、ヘッドカバー(これは輻射音対策の意味もあるでしょうが)に、インテークマニホールドにと従来のアルミから樹脂に置き換わったクルマが多数でしょう。室内に乗り込んで見れば、セーフティーパットは従来のアンコ入りスラッシュ成形は . . . 本文を読む

鉄の温度と色相の話

2018-04-15 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 あまりクルマの整備や板金には直接の関係は薄いかもしれぬが、知っておいて損のない知識として記してみたい。  昔の刀鍛冶は正に職人だったと思う。炭火をふいごで火力を増し、鉄を加熱していく。鉄は温度により、静温から融点(約1500°)まで温度上昇と共に色味を変化させていく。暗赤色なら650°で、一般のFCローターディスクなら、摩擦係数が低下してブレーキが効かなくなる温度だ。更に過熱していくと、色味 . . . 本文を読む

ギヤのこと

2018-04-13 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 ギヤ関連の昔話として、2つばかり記してみたい。  我が住まい地から100km以内の伊豆半島・河津という地に通称ループ橋というのがある。昔、伊豆半島沖地震というのが生じ、この地域の道路が崩落し、それを復旧するために作った半径30m程の円形ループが2周半ほど渦巻いて高さ数十メートルの落差を結んでいる橋だ。この橋が出来てしばらくした頃、ここでデフ(ファイナルギヤ)が焼き付いたという話を、その信義は不明 . . . 本文を読む

レバーレートのこと

2018-04-11 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 レバーレート(もしくはレイバーレート:labor rate)とは、工賃単価のことを指す。大工や土木屋さんなどは、人工という1日単位(もしくは半人工:半日仕事もあり)というくくりが多いが、自動車整備や板金業だと1時間当たりの単価を基準とすることが多い。そこで、見積書なり売上請求書の金額としては、それぞれ重複しない作業項目において、以下の算式で修理費を算出し計上することになる。  工賃=工数×レバ . . . 本文を読む

プロペラシャフトの歴史(リコール制度の端緒となる事故)

2018-04-10 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 どうも古い話題ばかりのこと、ご容赦戴きたい。私がロートルということもあるが、物事を歴史という視点から思考することが大事なことと認識している。ビスマルクという昔の軍人が述べた格言に「賢者は歴史(多くの知見と考えて良いだろう)に学び、愚者は経験(個人の)に学ぶ。」というのがある。また、「歴史は繰り返す」と良く云われるが、これは、有史以来テクノロジーは進歩したが、人の頭が進歩してきた訳ではない故だろう . . . 本文を読む

ホイールアライメントの話

2018-04-09 | 車両修理関連
 時は30数年前のこと、当時では希少であったBMWのE24(6シリーズクーペ)とかE30(3シリーズセダン)などのボンネットを開け眺めると、いわゆるストラットタワーが前輪中心より当時の国産車よりかなり後方に位置していることに驚いた記憶がある。つまりキャスター角が大きくセットアップされていることが読み取れたものだ。  このキャスター角だが整備解説書などの上っ面の説明では、直進性を良くするものだが、 . . . 本文を読む

珠玉のV8レーシングエンジン

2018-04-08 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 以前に記したF1用コスワースDFVエンジンのことを再紹介してみたい。ちょっと以前に話題となった、クランクシャフトのことは記していないが、振動重視より回転マスの軽減重視となるだろうから、プレーンクランクが採用されているのだろう。従い、常識的な90°V8エンジンであるが、純レーシングエンジンだからアイドルで3000rpm程であろうから、低速回転できないが、アメ車の如きボ、ボ、ボという低速での排気干渉 . . . 本文を読む