我々の世代にとって、小説家の開高健氏は生活の伝道師のような人物だったような気がする。
特に趣味(彼の場合は釣り)についての書は、門外漢でもわくわくしながら読み進めたものだった。
そして、サントリーのコピーライターでもあった彼の、こんな言葉の数々が記憶に残る。
◆その真意はご自分で調べてください
「人間らしくやりたいな」
「漂えど沈まず」
「悠々として急げ」
「毒蛇は急がない」
「たとえ明日世界が滅びるとしても、あなたはリンゴの木を植える」
「心はアマ、腕はプロ」
いずれも味があるのだが、その内「漂えど沈まず」について。
この言葉はパリ市の紋章にも刻まれているそうだ。
元は中世に書かれたラテンの詩なのだそう。
そんな背景とは無関係に、人生の来たし方というか行く末に思いを至す時、
誰もが自分自身を重ね合わせたくなる言葉のような気がする。
いろいろあっても、くじけずに、沈没さえしなければ良しということ。
→そうそう、そこだけを守ればいいと考えれば人生は気楽なものなのかもしれませんね。