１２月２６日 数へ日の自転車多き遊歩道
１２月２７日 終日の雨に身晒す十二月
１２月２８日 年用意牌も磨いてをきにけり
１２月２９日 任さるや下拵への去年今年
１２月３０日 小宅に過ぎたる大や注連飾る
１２月３１日 小走りの妻の返事や屠蘇仕込み
年の瀬が正午を過ぎた。近年、自ら挑戦している正月料理の下拵えがほぼ任されて、粗方終わった。今時点で残る大切な仕事？は「お屠蘇作り」だけである。私の今年の漢字は「怪」である。”不可解なストレスに耐え抜いた”との思いが残る。除夜の鐘に託して「快と無のの心」で亥年を迎えたい。
12月21日 一腹を二腹で食う鱈子かな
12月22日 中腰の余生をつなぐ柚子湯かな
12月23日 曇天の庭で言祝ぐ蝋梅子
12月24日 残されし電飾老ける聖夜かな
12月25日 ディープてふ有馬記念の別れかな
今朝の４大紙は、昨日の有馬記念の、ディープインパクトの「無敗の３冠馬と引退」の記事を１．３．スポーッ面でカラーで伝えている。焼く時は大小に拘らず一腹になる鱈子。北から届いた幸を早速朝餉で妻と賞味した。７３歳になられた天皇様。曇天に国旗を掲揚し、庭先の蝋梅の芽と寿いだ。３人の子供が残した電飾が既に２０年近くなる。妻は決まって持ち出す。鶏の脚を食べながら子供等の家族の生活ぶりを話題に過ごす仏教徒夫婦である。今年も柚子湯で駆け抜ける今年に感謝の一時を持った。
１２月１６日 冬菊や大往生の釘の音
１２月１７日 冬萌や杖に知らせる盲導犬
１２月１８日 走り根の楓落葉も消えにけり
１２月１９日 宅配の子の愛仕込む石狩鍋
１２月２０日 ワーファリンの錠数増やす１２月
棺を閉じる釘音が斎場に響く。明治生れの父親の死を”大往生でした”とご子息。盲導犬の主従が、落葉の中に盛りあげる草を確かめて立ち去った。走り根に溜まる枯落葉が、日替わりの末に掻き出されて消えてしまった。北に住む子から新巻鮭が届くや、夕餉の献立が石狩鍋に変わった。血栓を押さえる薬が又増えた。１２月が折り返し点を越えた。
12月11日 葱は立ち農婦の腰は曲りをり
12月12日 中国の孤児の口癖「落葉帰根」
12月13日 舞い落ちる時の陰陽葉銀杏
12月14日 義士の日の義士より多き消防士
12月15日 万両や諭し遺して卒寿逝く
又一人の「人生の師」は、95歳の師走半ばに大往生を遂げた。、山だしの若者を「倫理を下敷きにした熱情」で叩き上げて呉れた。”2倍考え2倍働け！”。スポーツも謡も銭の扱い方までも．．．。多摩川の向こうの斎場の庭の万両が眩しかった。根深葱を腰の曲った老農婦が引いていた。口癖だと言う”落葉帰根”を残した帰国叶わぬ孤児の記事が哀れだ。47士の討ち入りの昨早朝の近所での火事には数十人の消防士が奮闘していた。
1２月6日 親子猪も杓文字男も来るおらが里
1２月7日 円錐を丸に伸ばして橡落葉
1２月8日 廃業の老舗の庭の枇杷の花
1２月9日 スクラムを解くごと
ブロッコリーのサラダ
12月10日 妙見市人多きほど暮早し
今朝の深谷駅前は”霧の中から妙見市の雑踏が現れた”感じだった。この所の深谷市は全国ネットでの話題が多い。①親子猪、しゃもじ男のヨネスケ、咄家正蔵が街と葱畑に現れ ②懐かしい名作映画上映館の「深谷シネマ」の紹介。武州が仕掛けた甲州・上州との煮ボウトウ合戦勝利 ④老舗が消え往く深谷宿の象徴の1つの2代目見返りの松等など。妙見市が終わるとこの街の冬足は速い。
12月1日 ドーハに吉報予感シャコバサボテン
12月2日 武蔵野を火事に騒がすサポーター
12月3日 秩父路に住んで夜祭知らざりし
12月4日 初霜の刺客に耐える命かな
12月5日 綿雲を纏いだしたる冬木立
1日は、ドーハのアジアンゲームの開会式だったが、浦和レッズのJ1決勝に心を奪われていた。ドーハからはメダル奪取の吉報が続き、2日には真っ赤なサポーター軍団が浦和に悲願の勝利をもたらした。
埼北に住みついて４０余年、未だ秩父夜祭を眼の辺りにしていない。バブル時代のこの時期は家電製品の出荷最盛期だった。その後遺症である。初霜の4日に秋草とJ．Kチルドレンが引導をわたされた。街はクリスマス喧騒。師走初は殊の外騒がしい。
