二重橋わたる松籟春惜しむ にじゅうばしわたるしょうらいはるおしむ
癌に散りし越路吹雪や花吹雪 がんにつりしこしじふぶきやはなふぶき
上を観つ下見つそぞろ西行忌 うえをみちしたみつそぞろさいぎょうき
垣越しのボール隠すや花辛夷 かきこしのボールかくすやはなこぶし
春場所の果つや所在の無き日暮 はるばしょのはつやしょざいのなきひぐれ
片鱗を示す背筋や牡丹の芽 へんりんをしめすせすじやぼたんのめ
リハビリの桜三分を集ひけり
追悼の河原マージャン揔芽どき ついとうのかわらマージャンたらめどき
浪人を解きし家族や花筵 ろうにんをときしかぞくやはなむしろ
旅だちに名残りの雪やひた拝む たびだちになごりのゆきやひたおがむ 時や彼岸。逝きしに冥福を出世者には祝福を、そんな名残りの雪だった。