芍薬の芽だしは踏まず通り猫
しゃくやくの めだしはふまず とおりねこ
居間から見える所に芍薬が芽だしだした。ここは何故か野良猫の通り道だから踏まれるはしないかと心配一入。これを知ってるかのように触りもせず通ってくれる。今年も見事な花をみせてくれそうだ振り向きながら行く野良猫に感謝の昨日今日だ。3月が逝く
3分咲きに2分の人出や里桜
さんぶさきに にぶのひとでや さとさくら
昨日、近くの公園の桜の5分咲きを見て駅裏の花見と洒落込んだ。思惑外れの3分咲きで人影も2.3人のみ。上野の桜は3.4分部咲きでも人出は満開時並みとか。今日は朝から4月陽気、足止めされていた開花が進むだろう。当地の花祭は4月8日とか。
断捨離の進むやそそと雪柳
だんしゃりの すすむやそそと ゆきやなぎ
彼岸が過ぎ春本番と共に衣がえ時。終活の一大仕事の不用品の処理を再開した。今朝は一塊をゴミ捨て場に運んだ。帰り道に遅咲きの猫柳が思いなしかスッキリキリリとした気分を与えてくれた。間もなく駅に通う道の雪柳は足元を浚うだろう。
六地蔵後光の恵いたちぐさ
ろくじぞうごこうのめぐみ いたちぐさ
近くの国道沿いにある六地蔵は何時も新しい前掛けを掛けて貰っている。そのせいか後光は地蔵の背後にある連翹を濃い黄色に輝かせつつ育てている。まるで六地蔵の化身の如くに。
ごみ処理の煙北向きに仏の座
ごみしょりのえん きたむきに ほとけのざ
久し振りに近くの別府沼公園を歩く。公園内は運動の老若男女、一周約1キロのジョギングコースは、多勢の健康者とリハビリ者などが夫々のペース。4週で4キロを歩く。近くの塵処理場の煙は南風で北に傾ぎ、足元の仏の座も茎を北側に曲げながら紅花を積み上げていた。
インターホン押し往く子らやチューリップ
インターホン おしゆくこらや チューリップ
我が家には郵便受けの少横下にインターホーン、その下には小さな花壇がある。花壇の今の主役はチューリップ。通りかかる子らが花の変り時に覗いては、ボタンを押して逃げて行く。”まーいいか!”と寛容さを決め込んでいる。
下校子の総身に荷物さくら咲く
げこうしの そうみににもつ さくらさく
近在の小中学校は、昨日が卒業式で今日が一学期の終り。帰りの子供は普段は学校に置き放しの学具類を一斉に持ち帰ってゆく。新学期になると教室もクラスメイトも先生も変わった昔を思い出す。寒戻りの春休み入りである。
春雨や濡れぬが惜しき齢の波
はるさめや ぬれぬがおしき としのなみ
明日から寒戻りの予報、今朝の霧雨は濡れてもよい程の温みをはらんでいる。しかし濡れると肺炎などを引き起こすい齢になってしまった。「春雨やぬれてゆこうや。。」の歌にあるごと若かった昔を回想する。
日には白蔭には紅のヒヤシンス
ひにはしろ かげにはべにの ヒヤシンス
庭先に風信子が咲き出した。先に咲いたのは日向の白。2日後からは日陰から紅が咲きだした。なぜか日当たりで色合いが違うのか?、同じところには同種とか肥料の違いとかで配色が違うのか?。暇な老人は考え込む。
世に出んと一心不乱さくら哉
よにでんと いっしんふらん さくらかな
東京の桜が例年より一週間早く昨日開花した。今朝方近くの公園に行って当地の様子を確認した。未だ背のびしながらも蕾は開花には遠い。生きるもの全て己の出世に本能を駆りたてる。ここの桜にそんな思いを感じた。