「人間のうちで、もっとも活動的な人は、いつも、もっとも欲望の少ない人であった。」という箴言を耳にしたことがある。
そうすけは怠惰である。
自己の欲望が少ない人が他者のために多くの活動ができる。
それは愛かもしれない。
それは仕事かもしれない。
それは奉仕かもしれない。
そうすけは多分なにかを失ったのだ。与えられることによって喪失したのである。
それがわからなかった。
それは哀しい。
それを感じなかった。
そうすけは強欲な者である。
若者が首を絞めた。
「おっさん、金ネェ?」
助けてぇ~、と声にならない音で叫んだ。
深夜の住宅街の家の灯りがつくことはなかった。
そうすけは殴られて五百円を強奪された。
自宅に戻りハンマーを握り締め、うめきながら彷徨した。
深夜の住宅街は灯りがつくことはなかった。
みんな夢の中でうなされている。
助からないと思っていても助かっている。
絶望したと思っていても希望を持っている。
どうぞ皆様美しくお暮らしください。