あれから50年たった。あれからと言うのは、ジョン・F・ケネディ米国大統領の暗殺から50年たったのだ。1963年11月22日(日本時間で11月23日未明)、ケネディ大統領は遊説先のテキサス州ダラスで凶弾に倒れた。享年46歳。
ケネディ暗殺事件は当時の世界に大きな衝撃として伝わった。現職の米国大統領が突然亡くなるだけでも大ニュースだが、それがライフルの銃弾で狙撃されたという事件だけに、余計にショックだったのである。以後、ケネディ暗殺事件は著作に映画にドラマにと、さまざまなメディアに取り上げられた。そして、今でも事件の背景に、多くの謎が秘められているのではと憶測されているのである。事件の真相は、50年たっても“藪の中”だと言えよう。
暗殺そのものを話し出すと際限がないので、よく知られていると思うが、もう一つの重要な側面を語っていきたい。それは暗殺当日に、ケネディ大統領が日本国民に“特別のメッセージ”を伝えることになっていたのだ。えっ、特別のメッセージだって? と思う人がいるかもしれないが、それは日米初のテレビ衛星中継(当時は「宇宙中継」と言った)が実現する日だったのである。日米初というのは、もちろん日本史上初ということだ。
当時、衛星中継などは“夢のまた夢”という感じだったが、翌年の東京オリンピックを控え放送技術関係者はなんとしても実現させたかったようだ。このため、アメリカの通信衛星を使って、この日「実験」の衛星中継をすることになっていた。(詳しいことは末尾に記事をリンクしたので、興味のある方は読んでもらいたい。)
そして日本時間の11月23日(この日は「勤労感謝の日」で休みだった)未明、実験放送が行なわれたのである。当時、私は大学4年の学生だったが、もちろん衛星実験中継は知っていた。何時ごろかは覚えていないが、朝テレビを見た。そうしたら、ケネディ大統領が撃たれて死亡したというニュースをしているではないか! はじめは寝ぼけていたから“半信半疑”だったが、すぐに事態が読み取れた。大変だ~~ もう特別メッセージどころではない。実は大統領のメッセージは事前に録画されていたが、もうその放送どころではない。ケネディ暗殺の衝撃のニュースが延々と続いたのである。歴史的な日米衛星中継は、大変な一日になったことを覚えている。
あれから50年、世の中やアメリカでずいぶん事件が起きたが、ケネディ暗殺のような衝撃的事件は珍しい。学生だった自分は翌年、某テレビ局に入社したから余計にそう感じるのかもしれないが、忘れられない出来事である。
ケネディは大統領時代にマリリン・モンローと親密な関係になったそうだが、この世界一セクシーな女優の変死事件も忘れられない。彼女は睡眠薬を大量に飲んで自殺(?)したことになっているが、果たしてどうなのか。誰かに謀殺されたという説が後を絶たないのだ。ケネディ暗殺事件といいマリリン・モンロー変死といい、深い闇の中に閉ざされていると言っていいだろう。あれから50年、真実や真相はいぜん藪の中だ。100年たっても分からないかもしれない。
折も折、ケネディ大統領のお嬢さん(キャロラインさん)が駐日大使として着任した。時代は進む。「歳月人を待たず」ということか・・・(2013年11月22日)
(参考) ケネディ暗殺と宇宙中継・・・http://dankai.akimasa21.net/index.php?%E3%82%B1%E3%83%8D%E3%83%87%E3%82%A3%E6%9A%97%E6%AE%BA
なお、拙著・小説『青春の苦しみ』の一節を紹介しておきたい。
「多くの人がそうだったように、彼はその月(11月)の下旬に予定されていた、通信衛星を使った日米間で初のテレビ中継を楽しみにしていた。 ところが23日朝、早起きしてテレビを見たら、飛び込んできたのは驚くべきニュースだった。衛星放送の開始直前に、アメリカのケネディ大統領がテキサス州ダラスで暗殺されたのである。
このため、録画によるケネディ大統領の日本国民へのメッセージは急きょ中止となり、沈痛な面持ちの特派員がケネディ暗殺を伝える中で、歴史的な衛星中継は「追悼特別番組」に切り替えられたのである。 行雄は呆然としてテレビ画面に釘付けとなった。先の熱海での研修で、二つの大事故の中継を見た時と同様のショッキングな出来事だった。 しかし、彼は落ち着くにつれて、これがテレビの世界なのだ、これが未来に発展するテレビなのだ、この現実を良く見ておけよと自分に言い聞かせていた。」
私は東京に出てきて働いていましたが、このときの言雄はよく覚えています。
その時、とても尊敬いている人が言った言葉「アメリカて野蛮人だったんだ!」の一言が忘れられない言葉です、あの時は田舎から出て来てすぐの事だったので、意味が分からず、そのごにいろいろと考えるきっかけになった出来事でした、あの時の答えが出ているのかいまだにわからず、ますます混乱しているのかな?
後にロバート・ケネディも凶弾に倒れ、アメリカは野蛮な国だと思いましたが、伝統や文化が日本とまるで違うので致し方ないと思います。
しかし、そうは言ってもアメリカは、銃規制をもっと強めるべきでしょう。