【愛し合った時間は無駄じゃない】
をのひなおさんの漫画『明日、私は誰かのカノジョ』の最終巻言いたい放題記事2回目です。
前回はこちら。
↓
・『明日カノ』最終巻言いたい放題・その1。
愛さん(雪の実母)が彼氏から振られている頃、雪さんは仕事から帰ってきて疲れきっていました。
お客さんが買ってくれた食べ物(百、とあるから千疋屋のイメージかな?果物屋さんの)を冷蔵庫に入れなきゃ…とヨロヨロ這っていって開けると…。
そこには太陽くんがここで料理を振舞ってくれた時に
「またすぐ作りにくるから」
としまってあった残りの食材が…傷んで食べられない状態になってそのままそこにありました。
あの時の幸せな思い出が一気によみがえってきて、雪さんははらはらと泣き出してしまいます。
幸せだったのに。
好きだったのに。
もうあの時には戻れない。
こんな時でさえ雪さんは自分を冷静に分析してしまいます。
「自分で関係を切っておいて泣くんじゃ世話ない…」
「皆みたいに自分は普通じゃない。
皆みたいにちゃんとしなきゃと顔色うかがって欲しいものも欲しいと思わず言いたいことを我慢していきてきた。
そしたら自分の気持ちが何もわからなくなった。
やりたいことも好きなものも、なりたい自分もわからない。
こんな自分に生きている価値があるのか?
人生ってあと何十年もあるのに、こうやってどん底に落ちて這い上がってまた落ちてなんて、苦しすぎる。
何も考えなくなって自分も消えてしまえたら良いのに」
悲しい悲しい胸のうちです…。
(言葉はそのままではないので、ぜひ漫画を読んで本物を確認してね!)
信じてみようと思ったら母親に裏切られて、もう傷つきたくなくて、太陽くんをあんな風に切り捨ててしまった。
後悔するような涙がとても痛い。
悲しい別れを鮮明に思い出した後に、楽しかった記憶幸せな気持ちもまたよみがえっていきます。
愛は消えてなくなるわけじゃないよね…。
あ、母親の愛さんじゃないよ、太陽くんとの愛だからねもちろん(笑)。
マスカラ溶けるまで泣き続け、スマホで二人の大切な映画『ヴィオレッタ』の監督(ヒロインのモデル)が
「子ども時代を奪われた。
母親に損害賠償を請求」
したというニュース(これは実話です)を見て、また自分と同じように毒母に苦しめられた仲間の生き様を見て小さく自分に言い聞かせます。
かつての自分が思って口にした言葉を。
「私も… あの主人公みたいに
ちゃんと嫌って言い続けたいって そう思うよ…」
愛、共感できる仲間、そして頑張ってきた自分自身の歴史。
それらがどん底にいる雪さんを励ましてくれている。
静かだけど心には大きく作用してるエピソードなんですよね…。
っていう美しい娘の涙と成長の後に、例の愛さんが彼氏に振られる場面がきて、
「あたしには可愛い娘がいるんだかんね!!!」
と雪さんのラインブロックを解除するという(笑)。
コメント欄ドン引きでしたよね。
「何も悪くない娘をブロックってシッチィ(愛さんの愛称)ヤバイ!!」
「なんでそんなことしたの!」
「そして恥じなくブロック解除すんの?!!」
と。
いやー、頭おかしい人にふつうの思考回路を求めちゃダメよ皆様。
話が通じる相手だったらこんな悲劇にそもそもなってないんだわ…と私は当時思っていた記憶。
【怒りを取り戻す=心を取り戻すということ】
はい、恥知らずな愛さんは雪さんに電話(ライン通話)をかける。
着信通知を見た雪さんは固まってしまいます。
静かな冷たい怒りが、体を凍らせてしまうのでしょうね。
「本当は、お母さんにやられてきたこと全てに私は怒っていたし、今怒ってるんだ」
冷静です。
でも青い炎の方が赤い炎よりもずっと熱いように、これは計り知れない怒りだ。
「親に蔑ろ(ないがしろ)にされてるって 自分で認めてしまったら
本当に私は価値がない人間なんだと
思い知らされるようで出来なかったけど
本当は傷ついてたし ずっと怒ってたんだ…」
この怒りを取り戻すって私はすごくすごくすごーく大切なことだと思っていて。
雪さんが怒ってくれてとても嬉しかったです。
日本はネガティブ感情を悪く扱いすぎだし、特に女性の怒りは罪悪のごとく扱われます。
(男性の怒りは男らしい~って受容させようとするくせにね)
でも、自分の人生振り返ってみても
「やめろ!」
「ふざけんな!」
って怒ることで危機から逃れられること・大事なことに気付いて人生を好転させたこと・いっぱいある。
奪われた心を取り戻す時にまず感じられるのは怒りだもの。
正当(=正しく理にかなっている)な怒りはとても大事なんです。
ここから雪さんは心を取り戻すのだ。
そして、ここすごくいい描写で大好きなんだけど、雪さんは大切な人達との思い出がわーっとよみがえっていくんですね。
翼くん、彩さん、太陽くん、リナ、留奈ちゃん。
「皆のおかげで築いてきた、ここに自分がいてもいいんだという気持ちも母親にゼロにされる。
私のために皆がかけてくれた大切な言葉も全部響かなくなる」
いやー恋と友情を差別化せず、シンプルに大切な絆と描いているのが画期的。
昔の少女漫画じゃこうはいかないよねえ…かといって同性の絆だけを持ち上げるでもなく…素敵だわー。
そして最初期の伏線回収の言葉がこちら。
「幸福が麻薬なら 不幸だって麻薬だ
辛い辛いと言いながら 現状を変えずに日々を過ごすのは
幸せになるために頑張るよりずっと楽 心地よさすら感じる
でも」!!!!
これはをのさん(作者)がずーっと実体験から口にしていた考えを落とし込んだ言葉で素晴らしい。
そうだよね、本当にそう。
でももう、やめたい。
自分がやめるしかない。
雪さんは気付いたのね…頑張ってきた過去の自分のおかげ、皆のおかげ、そしてそれを選んだ今の自分のおかげ…。
というわけで、愛さんのヘラヘラ連絡を取り、
「海に行こうよ」
の誘いを静かな笑顔で雪さんは受ける。
変わるために。
幸せになるために頑張ると決めたから。
…。
ってので今回はここまで。
いやー短い話なのに濃い良い話だからついつい語ってしまいますわ。
ここまで読んでくださって、ありがとうございます
続き書きました!
↓
・『明日カノ』最終巻言いたい放題・その3。
をのひなおさんの漫画『明日、私は誰かのカノジョ』の最終巻言いたい放題記事2回目です。
前回はこちら。
↓
・『明日カノ』最終巻言いたい放題・その1。
愛さん(雪の実母)が彼氏から振られている頃、雪さんは仕事から帰ってきて疲れきっていました。
お客さんが買ってくれた食べ物(百、とあるから千疋屋のイメージかな?果物屋さんの)を冷蔵庫に入れなきゃ…とヨロヨロ這っていって開けると…。
そこには太陽くんがここで料理を振舞ってくれた時に
「またすぐ作りにくるから」
としまってあった残りの食材が…傷んで食べられない状態になってそのままそこにありました。
あの時の幸せな思い出が一気によみがえってきて、雪さんははらはらと泣き出してしまいます。
幸せだったのに。
好きだったのに。
もうあの時には戻れない。
こんな時でさえ雪さんは自分を冷静に分析してしまいます。
「自分で関係を切っておいて泣くんじゃ世話ない…」
「皆みたいに自分は普通じゃない。
皆みたいにちゃんとしなきゃと顔色うかがって欲しいものも欲しいと思わず言いたいことを我慢していきてきた。
そしたら自分の気持ちが何もわからなくなった。
やりたいことも好きなものも、なりたい自分もわからない。
こんな自分に生きている価値があるのか?
人生ってあと何十年もあるのに、こうやってどん底に落ちて這い上がってまた落ちてなんて、苦しすぎる。
何も考えなくなって自分も消えてしまえたら良いのに」
悲しい悲しい胸のうちです…。
(言葉はそのままではないので、ぜひ漫画を読んで本物を確認してね!)
信じてみようと思ったら母親に裏切られて、もう傷つきたくなくて、太陽くんをあんな風に切り捨ててしまった。
後悔するような涙がとても痛い。
悲しい別れを鮮明に思い出した後に、楽しかった記憶幸せな気持ちもまたよみがえっていきます。
愛は消えてなくなるわけじゃないよね…。
あ、母親の愛さんじゃないよ、太陽くんとの愛だからねもちろん(笑)。
マスカラ溶けるまで泣き続け、スマホで二人の大切な映画『ヴィオレッタ』の監督(ヒロインのモデル)が
「子ども時代を奪われた。
母親に損害賠償を請求」
したというニュース(これは実話です)を見て、また自分と同じように毒母に苦しめられた仲間の生き様を見て小さく自分に言い聞かせます。
かつての自分が思って口にした言葉を。
「私も… あの主人公みたいに
ちゃんと嫌って言い続けたいって そう思うよ…」
愛、共感できる仲間、そして頑張ってきた自分自身の歴史。
それらがどん底にいる雪さんを励ましてくれている。
静かだけど心には大きく作用してるエピソードなんですよね…。
っていう美しい娘の涙と成長の後に、例の愛さんが彼氏に振られる場面がきて、
「あたしには可愛い娘がいるんだかんね!!!」
と雪さんのラインブロックを解除するという(笑)。
コメント欄ドン引きでしたよね。
「何も悪くない娘をブロックってシッチィ(愛さんの愛称)ヤバイ!!」
「なんでそんなことしたの!」
「そして恥じなくブロック解除すんの?!!」
と。
いやー、頭おかしい人にふつうの思考回路を求めちゃダメよ皆様。
話が通じる相手だったらこんな悲劇にそもそもなってないんだわ…と私は当時思っていた記憶。
【怒りを取り戻す=心を取り戻すということ】
はい、恥知らずな愛さんは雪さんに電話(ライン通話)をかける。
着信通知を見た雪さんは固まってしまいます。
静かな冷たい怒りが、体を凍らせてしまうのでしょうね。
「本当は、お母さんにやられてきたこと全てに私は怒っていたし、今怒ってるんだ」
冷静です。
でも青い炎の方が赤い炎よりもずっと熱いように、これは計り知れない怒りだ。
「親に蔑ろ(ないがしろ)にされてるって 自分で認めてしまったら
本当に私は価値がない人間なんだと
思い知らされるようで出来なかったけど
本当は傷ついてたし ずっと怒ってたんだ…」
この怒りを取り戻すって私はすごくすごくすごーく大切なことだと思っていて。
雪さんが怒ってくれてとても嬉しかったです。
日本はネガティブ感情を悪く扱いすぎだし、特に女性の怒りは罪悪のごとく扱われます。
(男性の怒りは男らしい~って受容させようとするくせにね)
でも、自分の人生振り返ってみても
「やめろ!」
「ふざけんな!」
って怒ることで危機から逃れられること・大事なことに気付いて人生を好転させたこと・いっぱいある。
奪われた心を取り戻す時にまず感じられるのは怒りだもの。
正当(=正しく理にかなっている)な怒りはとても大事なんです。
ここから雪さんは心を取り戻すのだ。
そして、ここすごくいい描写で大好きなんだけど、雪さんは大切な人達との思い出がわーっとよみがえっていくんですね。
翼くん、彩さん、太陽くん、リナ、留奈ちゃん。
「皆のおかげで築いてきた、ここに自分がいてもいいんだという気持ちも母親にゼロにされる。
私のために皆がかけてくれた大切な言葉も全部響かなくなる」
いやー恋と友情を差別化せず、シンプルに大切な絆と描いているのが画期的。
昔の少女漫画じゃこうはいかないよねえ…かといって同性の絆だけを持ち上げるでもなく…素敵だわー。
そして最初期の伏線回収の言葉がこちら。
「幸福が麻薬なら 不幸だって麻薬だ
辛い辛いと言いながら 現状を変えずに日々を過ごすのは
幸せになるために頑張るよりずっと楽 心地よさすら感じる
でも」!!!!
これはをのさん(作者)がずーっと実体験から口にしていた考えを落とし込んだ言葉で素晴らしい。
そうだよね、本当にそう。
でももう、やめたい。
自分がやめるしかない。
雪さんは気付いたのね…頑張ってきた過去の自分のおかげ、皆のおかげ、そしてそれを選んだ今の自分のおかげ…。
というわけで、愛さんのヘラヘラ連絡を取り、
「海に行こうよ」
の誘いを静かな笑顔で雪さんは受ける。
変わるために。
幸せになるために頑張ると決めたから。
…。
ってので今回はここまで。
いやー短い話なのに濃い良い話だからついつい語ってしまいますわ。
ここまで読んでくださって、ありがとうございます
続き書きました!
↓
・『明日カノ』最終巻言いたい放題・その3。