ナベブログ

クルマ好きな元同人絵描き
わたなべやすおのブログです。
(現在は同人活動は無期限休止中です)

変化スル

2011年09月01日 13時23分59秒 | なべ日記(雑記)

携帯電話をいじっていると、
「昔とはずいぶん変わったものだ」と思います。


初めて持った携帯はデジタルですらなかったし、
当然通話しかできないものでした。

というか通話以外の機能がこんなに付くとは
1996年当時の私は思わなかったです。

電話機には違いないけど、もはや別物でしょう。
年月がたって変わったものは少なくないです。





同人も変わりましたよね。

私が同人を始めたころ(1997年夏)は
コピー誌が当たり前……………………だったと思う(笑)

同人誌=コピーしてせっせとおって…みたいなイメージが
ありましたもん(^^;)

そもそもクルマの小ネタをまとめた半まんが、半文章の本を
とりあえず出してみようぜ…的な軽いノリで
当時付き合いの会った仲間と一緒に申し込んではみたものの、
結局いざとなると全てを自分だけでやる破目になった…というのが
その始まりでした(^^;)

一番大変だったのが製本…というのが最初の思い出です。


当時、ぜいたくをして表紙をカラーにしたのですが
これだけは基本的に今まで継続しております。
(色つきの絵を描くのが好きなので、これだけは外せないのです(^^;))

今は当たり前になったカラー表紙も当時はぜいたく品。
逆に今の同人誌でカラーじゃない表紙の方が少ないのでは?と
心配になってしまいます(^^;)



当時はオフセット印刷って超ぜいたくで
基本的にはたくさん売れる大手さんだけのもの。
もしくは一世一代の覚悟でやるものでした。

また思い切って頼んでもうまくできるか微妙という噂もあり
なかなかに敷居の高いものでした。

私が初めて頼んだ時ってのは、それこそ
「当サークルの興廃、この新刊にあり」みたいな覚悟をしたもので
それ以来毎回新刊を出す度に「コケたら即引退」のような覚悟をしながら
原稿を出版社様に送り出しております(^^;)

今はずいぶん安く、そして安定した品質を
多くの人が享受できるようになりました
(ホントに今の印刷ってきれいですものね)
けれど…ついぞ10年前まではほとんどのサークルさんが
「家内製手工業」と言える手法で本をせっせと作っていた訳で、
そういった本ができるまでのプロセスを考えても
同人イベント自体の雰囲気が変わってきたことと無縁ではないような
気もします…(^^;)



今と昔の差といえば外せないのはパソコンとそのソフトでしょう。

当時は吹き出しの中などの文章も手描きが多く、
それが「同人誌の味、らしさですよ」という人もいました。
一部にワープロなどを使って写植をする人もいましたが
やはり少数派だったと思います。
私のまんがで初めて写植を使ったときに
「手書きの吹き出し文字じゃないんですね、残念です」って
言われたことを思い出します。


今はパソコンを使って…というよりパソコンだけで作業が完結する時代になりました。
ペンタブでしか絵を描いたことがない…という人も多いようです。


私が同人を始めた頃…ってのはデジタルによる彩色や作画が
同人においても出始めた頃だったと思います。
前衛的なクリエイターの方々のデジタルを使用した作品を拝見する時、
ペーパーの文章やお話を聞く度に「雲の上の話だー」と感じました。
当時よく見に行っていたケモノ耳娘のサークルさんとそのお仲間が
そういった方に先駆けた方々でして
憧れでしたよね…いろんな意味で。本当にいろんな意味で。


今は自分もカラー含めてデジタル移行中ですが
デジタル化には完全に出遅れた人間でして、
「コピックと絵の具でやれるとこまでやるー」と意地をはったのも
今となっては良かったのか悪かったのか(^^;)




手書きの吹き出し文字、手書きのタイトルロゴ、
絵の具やインク、ペンを上手に使ったイラストや漫画
手による製本。
そして手作り感ある小さいながらも「同好の士」が集うイベント。

昔のイベントって、そういうのもあって「手作り感」がすごく濃かったです。
良くも悪くも作品から「人の匂い」がするというか。
単にまんが…ではなくまんがに纏わる手工業、リアルタスクが
そこにあった…というのは言い過ぎでしょうか?

商業誌には無い「作り手の匂いや雰囲気」を感じられるというのが
当時の同人誌の立ち位置だったと思います。
即売会であると同時にそういったものを愛好する人々の交流の場でも
あったと私は思っています。

今はそれに比べたらホントに「本の即売会」になっていると思います。
本の評価軸が商業誌を見るものと同じか、極めてそれに近いものに
なってきているんじゃないかと思います。


パソコンが入ってきた今でも、まんがや絵は今でも立派に手工業ですが
(パソコンがあるからといって、勝手に絵やまんがが出来上がる訳ではないので)
評価する立場に立った時に書き手も読み手も
「モノとしてどれだけ優れているか」をプライオリティにしている気もします。
昔の同人のように「作品だけでなくそこにまつわる人の行為を楽しむ」ものから
純粋に作品だけで評価される今に移り変わってきたのだと思います。


上記誤解しないでくださいね(^^;)
今の同人も悪くない…というか自分も明らかに今の同人の人ですし
今の姿はそれはそれで純粋に…純化された世界だとも思うのです。
あくまで過去と今の比較を自分視点で述べただけです。



今の私の同人活動も、携帯と同じく今風になっています。
(絵柄は今風じゃないですけど(爆))

コピー誌、もうずいぶん長いこと作っていません。
結果としてコピー誌かそれに準ずる造りになったことはありますが
コピー誌を前提にした本作りは絶えて久しいです。

絵作りもパソコンを中心としたものにシフトしています。
手でカラーイラストを描く…なんてのもしばらくしていません。

本もオフセットがメインになりました。
また見ていただくスタンスとしても「先ずは作品で」的な部分が
自分の中にも大きくなってきたと思います。




昔を懐かしむのは良いとしても、
「やっぱり昔の方が良かった」とは言いたくないし言う気もないです…。
実際今を楽しんで、その恩恵を享受している身ですし(^^;)

ただ、昔を振り返ってみることで自分や自分たち、そして他の人が
どういう風に歩いてきたかが分かりますし、
これから何所へ進むのか…それが分からぬまでも道標にはなってくれると思います。




ここまで書いて自分への道標としたいこと。

「人の匂いのする作品を志向せよ―」

時代が変わっても、スタイルが変わっていっても
わたなべやすおのパーソナリティをきちんと中に残したものを…
それは見て分かる表の内容ではなく、作品の奥底に常に眠っていて
読み手の人が触れたいと思った時にすぐに触れられるものとして…

そして
「時代が変わっても交流を大事にし続けるべし」
やはり人と人との交わりは大事にしていきたいです。

もちろん良いことばかりではないし、
必ずしも全てと分かり合えたり共有できる訳ではないのですが
そういった姿勢は古臭いといわれても大事にしていきたいです。





携帯電話、確かに大きく変わりました。
でも…どんなに変わっても機能が増えても…電話機は電話機です。

電話機のように時代に合わせてスタイルが変わっても
その根底はそのままのものでいたいし、
電話機のようにスタイルの変化が時代を変えるような存在であることを
いつまでも目指すような身でいたいものです。



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