“JAPANOLOGY”と言う番組からの受け売り。
日本を世界に知ってもらおうというNHKの海外向け放送である。
カリフォルニアのプライスコレクションは、
江戸絵画のコレクションとして世界的に有名である。
ジョー・プライス(以下、“JP”と略す)氏のコレクションおよび財団の名前としている「心遠館(しんえんかん)」は、
伊藤若冲(いとうじゃくちゅう) の堂号「心遠館」に由来している。
コレクションの中心は若冲の作品。
その他、長沢芦雪 (ながさわろせつ)、森狙仙(もりそせん)などの上方の画家や、
酒井抱一(さかいほういつ)、鈴木其一(すずききいつ)などの江戸琳派の画家たち、
あるいは肉筆浮世絵など、近年愛好家が大きな関心を寄せているジャンルのすぐれた作品が数多い。
JP氏は、20代(1960年代)で日本の絵画に、魅入られ収集を始め、600点以上の作品を集めた。
江戸時代の家の採光・照明を想像いただきたい。
朝・昼・夕方は、多くの場合、自然光であった。
気候がよければ、障子を開け放ち、自然光が差し込み、
太陽が雲に隠れたり、再び現れたりなどの光の変化があったはずである。
夜は、蝋燭又は行灯の揺らぎのある薄暗い照明でしかなかった。
現代の電気照明で、一定の明るさを一日中保っていたのとは、随分異なっていたのである。
JP氏の自宅は、自然光を取り入れる工夫と、明るさを変えられるように、特殊なブラインドを備えていた。
さらに、驚いたことに、自然光が障子を通して差し込むようにまで、配慮しているのである。
彼の自論は、江戸時代の絵画は、
朝昼・・・、天候、そして蝋燭などの照明、さらには、障子を透過した光など、
一日・年間の光線の変化を全てを配慮して描かれているという。
それ故、日本で行ったコレクションの展示会場には、わざわざ照明を緩やかに変化させる装置まで設けていたのである。
彼は、光の達人であると共に、恐るべき観賞の達人でもある。
各地の美術館の日本画展示場で、
氏の提案する、照度を変化させる照明を採用するところが、現れても良さそうに思うのだが・・・